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ヤマハFZ250 PHAZER(フェーザー)1985年式 レストア記

新型ゴールドウイング緊急試乗インプレッション(3) クルーザーからスペースクルーザーへ

2018.02.07

前回はサスペンションについてみてきたが、今回はエレクトロニクス、iPhoneを接続する Apple CarPlayを中心にみていく。

これまでの記事)
新型ゴールドウイング緊急試乗インプレッション(1) 新技術をすべてぶちこんだ意欲作【ワンダードライビング】
新型ゴールドウイング緊急試乗インプレッション(2) ダブルウィッシュボーン式サスでトラクターから脱却【ワンダードライビング】

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世界初二輪搭載Apple CarPlay

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標準装備のインフォテイメントシステムはラジオオーディオに加えビルトインナビゲーションも含まれており、必要十分以上の出来ばえであるが、なによりも iPhoneユーザーとして嬉しいのが CarPlay対応である。

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CarPlayは普段つかっている iPhoneの使い勝手をそのままに車両で使える機能で、対応アプリがディスプレイ上に表示される。iPhoneはUSB/ライトニングケーブル接続を行い、小物入れまたはAIRBAG装備の場合はリアトランクにしまっておくだけでよい。

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具体的にはミュージック、マップ、電話アプリが対応しており、普段のプレイリストを楽しんだり、必要であれば電話をかけることもできる。

さらに便利なのは音声入力に対応していること。

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音声コマンドを入れることで、ハンズフリーでさまざまな機能を使うことができるのだ。

自動車では比較的片手があくこともありハンズフリーの恩恵はそんなに受けないが、両手両足をしっかりと運転に集中させる必要のあるバイクの場合、この機能は大変にありがたい上に安全だ。

ニューヨークに行きたいか?

ここテキサス州から音声コマンドで「ニューヨークに行く」と発話すると自動的にニューヨークへのナビゲーションを開始する。このスピーディさがたまらない。

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目的地があいまいな場合でも大丈夫だ。例えば「近くのガソリンスタンド」といえば候補を表示してくれる。この中から手元のスイッチで選択をするだけでそのガソリンスタンドへのナビゲーションが開始される。

これまで地図上、または住所などを入力して目的地を選択していたがこれには停車して数分かけて行う必要があった。この手間がまったく不要になるのだ。時間的には大したことないかもしれないが、なにより心の障壁が違う。「行先いれるの面倒だなあ」という気持ちがなくなるのがいいことだ。

この「面倒」という気持ちは人のやる気をそぐ。

バイクでもそうだろう、今日は寒いなあ、外でるの嫌だなあ、そういう些細な障壁がバイクから遠ざけてしまいバッテリーをあげて乗れなくなり、乗らないなら売ってもいいかなという気持ちになる。ネガティブスパイラルだ。

ああ、それやりたいなら、こうすればいいじゃない!

というポジティブな気持ちがやる気を作る。モチベーション駆動だ。走り出してから行先を決めていいじゃないか。走りながら行先を言えば、正確なナビゲーションを開始してくれる。

そもそもオートバイは移動の手段の役割よりも、完全なる趣味、運転自体を楽しむ最たるものだ。その過程を大事にするライダーにとって行先とは「オマケ」みたいなものだ。メインディッシュはライディングで、行先でまっているおいしいご飯や温泉は添え物だろう。いや大事な添え物であるが。

ETC装備もそうだ。

高速道路に乗るたびに料金所で停止、チケットを受け取ってはどこにしまうかやりとりし、支払いの時はグローブを外して小銭を出す。後ろの車両からのイライラ光線はプレッシャーとなり、あわててしまい、小銭を落としたり、はてはエンストしたり。

ETCになったことでまったくそういうストレスから解放され、コストのことはいったん置いといて、自由に高速道路に乗り降りすることができるようになった。ちなみに国内仕様のゴールドウイングはETCが標準装備である。

自由を勝ち取るのに努力や我慢が必要だった時代があった。しかしその努力や我慢、はてはストレスはハイテクによりどんどんと軽微になっていく。その結果として喜びが最大化されるのだ。

大容量トランクが旅を加速する

目的地がいくら添え物としても、大事なのには変わりはない。これだけのクルージング性能があれば、日帰りではなくどこまでも走っていってしまうことだろう。そんな時、宿泊することになるがその場合もまったく問題ない。

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TOURは旧型同様センターと左右の合計3つのトランクを備える。バガータイプは左右の2つとなる。バガータイプでもオプションでトランクを装着すればTOUR相当になるし、逆にTOURからトランクを外してオプションのカバーをつけることも可能だ。

Honda | バイク | Honda二輪純正アクセサリー | ゴールドウイング

リアトランクは50Lと大容量。サイドランクはダンパー装備でジェントルに開くので荷物の飛び出しも少ないだろう。このトランク容量があれば2名で2泊3日の旅行くらいは余裕。例えば金曜日の仕事のあとに移動、土日は行楽地でツーリングして帰ってくるのもいいだろう。

数百km走っても疲れないゴールドウイングなら、日本列島の半分は行動範囲に収まるはずだ。東京から青森、広島あたりまではすぐそこと思えることだろう。

軽快にワインディングを楽しめる

ただ遠くにいくだけがゴールドウイングの得意領域ではない。実はワインディングも得意になっている。それは軽量化、前後重量配分の最適化、フロントサスペンションとブレーキのマッチング、良好なハンドリング、すべての改良がよりバイクが本来もつ機動性を高めている。

そして一体感。

そんじょそこらのスポーティカー以上のハンドリングとダイレクト感、そして加速力と減速力。身体の全神経を使ってGと荷重を感じながらめくるめくコーナーを思った通りのラインをトレースする作業は至福の時間になることは間違いない、まさにその作業に集中できるのだ。

本当は景色を楽しめばいいのに、なぜラインをトレースするのだろう、そこにワインディングがあるからだ。

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グッとブレーキを効かせ、コーナーのRにぴたりとリーン角を決めてフラつくことなくコーナリングして立ち上る、この作業がいとおしくなるほどゴールドウイングはそれに応えてくれる。そして改めて問う、これは本当に400kgの重量級なのだろうかと。

ペースを上げる必要はない、しかしふと気づくと相当なペースで走れていることにも気づく。時空を超える瞬間だ。

クルマでもバイクでもないスペースクルーザー

旧型ゴールドウイングはクルマでもバイクでもない乗り物感があった。それを評して「船」「クルーザー」と呼んだ。どっしりとした重量感、そして水平対向エンジンは低重心によるロールと復元力は(本来の意味の)ミッドシップそのもののそれである。

それから17年の歳月。新型ゴールドウイングは生まれ変わった。

ある意味旧型の延長上にない、まったく違う飛躍を感じる。それはこれまで地上の大海原を走ってたものが、宇宙に飛び立ったかのような飛躍である。つまり戦艦大和と宇宙戦艦ヤマトの違いである。

戦艦大和は当時最先端の技術を盛り込み、レーダー、エアコン装備と快適な環境を提供した一方、乗組員は3000名ともいわれた。

一方宇宙戦艦ヤマトはSFではあるが、乗組員はもっと少ない。せいぜい数百名といったところである。そして最終的には古代艦長一人で操船することができた。これが戦艦大和ではそうはいかない。

これがハイテクのなせる技である。人に要求される作業がどんどんとハイテクが肩代わりしてくれるのだ。その結果喜び、楽しみが最大化する。

問題はこの作業が苦痛か、喜びか、という点である。楽しい作業をハイテクが奪ってしまったら、人は怒ってしまうだろう。

ゴールドウイングの場合、DCTがそれである。確かにシフトチェンジの操作自体はオールディーな我々にとっては楽しみの一つである。しかしその作業をDCTが肩代わりしてくれたおかげで、停車時は安心して両足を使うことができ、危険を遠ざけている。また7速という多段ギアと電光石火のシフトチェンジで途切れることのない加速感を味わうことができ、これまでとは異なる新しい次元へと昇華している。失ったものは少なく、得られたものは大きい。

CarPlayの音声入力ですでにSFの域に達した。宇宙戦艦ヤマトのアナライザーのように我々の行動をサポートしてくれるのだ。

オールディーなバイクはすでに発売されており、中古車として入手可能だ。メーカーが新製品を投入するということは、こういうことである。いかに人の楽しみを最大化するか。クルマが自動運転機能でどんどんと移動が目的化し、電車になっていく一方、オートバイは運転する楽しみが先鋭化する。いやそうしなければ生き残れない。

その意味で新型ゴールドウイングは改めて方向性を指し示してくれたエポックメイキングなモデルであり、歴史に名を刻むことだろう。

(終)



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のりものブロガー

野間恒毅

スーパーカーと美女が好き。 日々RR, FR, FFと駆動方式を選ばずドライビングスキルを磨き、ドライビングプレジャーを追い求めています。リターンライダーとして大型二輪免許取得、大型バイクに乗っています。ミニ四駆、ラジコン、ドローンなどホビーも幅広くカバーしボート。個人ブログはこちら(のまのしわざ


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