#FZ250 PHAZERレストア phase-14: MHPリアサスペンションOH完了
2016.11.22MHP(MHプロダクツ)さんへ出していたリアショックOH、完了して取りに行ってきました。
実はお願いしてから1週間ほどで作業終了していたのですが、こちらでスプリング塗装を行ってもっていくはずが、なかなか時間がなく、1ヶ月ほどしてから取りに行きました。
#FZ250 PHAZERレストア phase-12 part2: リアショックOHはMHプロダクツさんへ【ワンダードライビング】
なんでも直せます
このFZ250 PHAZERのリアショックは非分解式。そのため通常はOH不可で、新品交換するものですが当然のことながら部品生産終了、欠品です。そうなるともうどうにもならないのですが、ここMHPさんではこういったものでも対応可能。代表の山下さんいわく、
「人が作ったものだから、なんでも直せます。部品がなかったら作ればいい」
と頼もしいお言葉。
今回このFZ250の場合、ガスを注入するバルブを加工して新設、ピストンは研磨、朽ちて消え去っていたバンプラバーを追加。
スプリングとスプリングシートは自家塗装したものを持って行き、その場で組んでもらい完成です。何から何までありがとうございました!
人と向き合う
今回も色々とお話しをしたのですが、印象深かったことを。
モーターサイクルも自動車もそうですが、メーカーは大メーカーとなって分業体制が進んでいます。また配置転換で色々な部署を転々とすることが多く、これにより全体を網羅的に把握、日本メーカーが戦後躍進したひとつのキーファクターです。
一方でその弊害も当然あり、エンジン設計とサスペンション設計ではそれぞれの部署が行っており、どちらもベストなものを作っても、全体で組み合わせると、乗り手の感性に合わないことがあるというのです。
特にショックではサプライヤーからいくつか仕様の異なるプロトタイプを発注、テストライダーはその中から「ベスト」のものを選び、それを量産品として多数発注するプロセスをとります。
「ベスト」といっても発注したプロトタイプの中のベストなので、本当のベストかどうかは実はわからないこと。そしてそのベストはどう作られているのか、メーカー側ではわかりません。
一方サプライヤーの方はなぜそのプロトタイプが選ばれたか、わからないといいます。
ちょうどその話をきいた日、木材加工業を行っている方と話したところ、スーパーGTのパージボードを受注しているとのこと。しかしその方いわく「なぜ自分の会社のものが選ばれているのか、さっぱりわからない」といいます。
この状態では自分たちで改良、提案することもままならず、仕様どおりに作るしかありません。
設計上、前後重量バランスがとれていてよくなったハズだ、とベストな仕様で作ったとしても、実際にレースで使ってみるとフロントがグリップを失いコースアウトしてしまい、トップレーサーであっても「こわくて走れない」ということも。どんなにサスペンションをいじってもその傾向が強く、探っていくとこの原因はサスペンションではなく、アクセルに対するエンジンのツキが悪かったことが原因でした。
結局設計上ベストと思っても、モーターサイクルや自動車はどちらも人間が運転するもの。もっと「人と向き合って」作らないといいものにはなりません。
「メーカーの設計図に、人は書いてないでしょ」
上記はあくまでも比喩ですが、ヒューマンファクターが大きな二輪では、特に「人と向き合う」ことの重要性が高いです。
素材の問題
今度は素材の話です。設計上問題のないものが、実際につかうとうまくいかない、ということがよくあります。その原因の一つが熱。素材によって熱に対する膨張率が異なり、それによりクリアランスが変化して設計どおりに動作しなくなるといいます。ショックであっても同じで、そのためなるべく素材は同じものを使うことで、熱に対する影響を小さくすることができます。
スペックにのらない「感性に訴えかける」「耐久性が高い」というのはなかなか伝わりません。
中国製のパーツでも見た目は綺麗、素材は同じでも、使ったらすぐに壊れるという粗悪品も多いです。素材の特性を理解せず、大量生産するために加工の手間を省いていたりするからだといいます。
「安かろう悪かろう」
というのは昔よく言われた言葉ですが、今まさにそんな状況です。
手間暇にお金をかけること。これもまたこの時代に必要になってきています。
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