NVHはご馳走。アルファロメオ4C プチ試乗レポート
2015.06.30果たしてこれが最新のスポーツカーなのでしょうか? 見た目の流麗さからはまったく想像もつかないほど粗暴なスポーツカー、それがアルファロメオ4C。
前回・助手席インプレッション NVHなんてどうでもよかった話【ワンダードライビング】
今回は街中でプチ試乗させてもらいました。以下、感想メモ。
・エンジン始動から爆音、ディーラーの自動ドアが共振して震えるほど
・パワステなし、車庫入れではハンドルが重くて入れ直す気になれない
・走り出せばなんとかハンドル操作できるがトータルで重い
・カーボンシャーシがむき出しのインテリア
・コストのほとんどはカーボンシャーシに使ったので、それ以外は安っぽい、とはディーラーの弁
・確かにスイッチ類、節度感もイマイチかも
・アクセルだけではなく、ブレーキも下から生えてるオルガンペダル式
・ペダルは真四角で垂直にたってて、まるでレーシングカーのよう(運転したことはないが)
・ペダルはとにかく重く、堅い
・走り出すとDCTの半クラッチの感覚が掴みにくく、ちょっと不安(最初だから)
・走行モード、D.N.A.の切り替えあり。A.にするともうなんというか・・・
・オーナーの試乗時の感想「バッカじゃねーーーーのwww これ下さい」試乗して即注文
・同じく私も「バッカじゃねーのwww」
・アイドリングもうるさければ、走り出したらもっとうるさい
・NVH、なにそれ?
・エンジン「グワワワワ」、吸気「ゴォォォォ」、ターボ「キーン」、排気「フォオオーーーン」、ターボ「プッシャァァァ(ブローオフ)」、タイヤ「ガーーーーー」と、ノイズの大合唱
・ありとあらゆる音がキャビンに飛び込んでくる。
・オレは生きている! 躍動感ありまくり、アドレナリンでまくり
・オーナーいわく、ドライブにいくと行きはよいよい、帰りはグッタリ。だがそれがいい。
とにかくハイライトは重すぎるハンドル、堅すぎるペダル、うるさすぎるエンジン、快適性無視。あのランボルギーニがクラウンに思えるほど、粗野、野蛮、暴力的なのがこのアルファロメオ4C。
よくもまあ、こんなもの、現代のしかも最新のスポーツカーとして出したよなあと感心するほど。気分的には1980年代のクルマという印象、もしくはレーシングカーの公道版。
よくよく考えてみれば自分が最初に接したクルマはパワステなし。パワステは快適装備であって、スポーツカーに必要なものではないのでした。1990年代に登場した初代NSXのマニュアル車も、ビートもパワステなし。でもそれでも良かったわけですから。
NVHを御馳走にかえる技術
1750ccターボエンジンはハイチューンで、馬力は240馬力。これを1000kgちょっとの軽量カーボンシャーシのミッドに載せるわけですからその加速力も凄いもの。まあ一番凄いのはそのエンジン音に排気音なのですけどね。
乗り味も堅く、首都高速の段差や凸凹を全部拾います。つまりNVH無視。
普通快適性を重視したクルマはこのNVH(ノイズ、バイブレーション、ハーシュネス)をスポーツカーといえども多少抑える方向ですが、アルファロメオ4Cはそれをむしろ「御馳走」にかえってしまったかのようです。
つまりNVH、すべてが心地よい。
・キャビンの中に飛び込んでくるエンジン音が気分をそそる
・ダイレクトなハンドリングが気分を高揚させる
NVHを無視して得られたアドレナリンは、現代車の中ではこの4Cだけが持つものかもしれません。これに比べたらランボルギーニだろうが、ポルシェだろうが、快適な高級車に思えてしまうほど。
レーシングカーの香り
ちなみにお値段は800万円オーバー、その理由はカーボンシャーシ。カーボンに重いステアリング、ダイレクトに反応するミッドシップエンジン、このパッケージングはレーシングカーを彷彿とさせます。
レーシングドライバーはNVH無視のレーシングカーに乗って苦痛どころか、楽しんで走っているといいます。
「こんなに気持ちいいことして、お金もらっているなんて、ずるい!」
といったのは、舘内端さんですが、ドライビングハイをMAXにするという意味では、このNVHを利用するのも一つの手なのです。
クルマの速さが見えてきた―「ドライビング・ハイ」を生むメカニズム (カッパ・サイエンス)
だから快適性がないことは悪いことではありません。むしろレーシングカーが初めてカーボンシャーシを採用した頃の乗り味を現代に蘇らせ、一般ユーザーがそれを味わうことができるという意味は大きいでしょう。
毎日御馳走だと飽きる
このNVHは終始、間断なく続くので、さすがにドライブで1日中浴びていると疲労がたまるそうです。これは確かに御馳走は美味しいけど、毎日ずっと食べていると飽きてしまうのと似ているのでしょうか。たまにはあっさり風味の日本食が恋しくなるのも理解できます。
たまの休みの日にエンジンをかけた瞬間から「御馳走」を味わえるアルファロメオ4C。オーナーが羨ましいですね。