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ヤマハFZ250 PHAZER(フェーザー)1985年式 レストア記

0-100km/h加速2.7秒、急制動体験:日産GT-R 2013年モデル試乗レポート(5)

2012.11.29

高性能と耐久性の両立。

今回の2013年モデル試乗の目玉のハイライトは ローンチコントロールを使った 0-100km/h加速体験、100km/hからフルブレーキして停止する急制動体験、その後パイロンスラローム、ワインディング、首都高速段差、ヨーロッパ舗装を再現した周回コースを回るといった体験走行を 2周連続で行います。

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乗りこんだら操作説明、ローンチコントロールはまずセットアップスイッチを左からR-N-R(トランスミッション RACE、サスペンションノーマル、VDC-R RACE)にします。

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(写真:2012年モデル)

その後左足でブレーキを強く踏み込んで、アクセルを全開に。こうすると自動的に4000回転でエンジン回転数を維持、あとは3秒以内に左足のブレーキを放すだけ。簡単です。なおアクセルは踏みこんだまま。

実際にこれをやってみました。アクセルを踏み込むと4000回転で維持されたのを確認、左足をバッと外します。

シーン・・・

あれ、何も起き...

ドン! グワッ! シュゴーーーーー!

ひえええええええええええ

見る見るうちにスピードメーターが上がっていき、ふと気付いたときにはもう100km/hを遥かに越えていました。

ブレーキを外したときにすぐにブレーキ圧を抜くのではなく、どうもタイミングをはかっているよう。その後ガンとクラッチをつなぎます(ドン)。

エンジンの出力が一気にタイヤにかかり、タイヤのゴムで路面を掴みホイールスピンすることなくその力が、推進力へと変わります(グワッ)。

動き出すともうあとはエンジン回転数の上がるがまま、速度も比例して上がっていきます(シュゴーーーーー)。

シフトチェンジは電光石火の0.13秒。この数値、昔子供のころデジアナといったストップウォッチ付きのデジタル時計が流行った時に一生懸命指でスタート・ストップの最速タイムを刻もうとして何十回もやっていたことがありますが、その際の平均がだいたい0.20秒、速くて0.15秒くらい。無理やりテーブルに押しつけてようやく0.10秒にいくかどうか。つまり指でカッカッとボタンを押すのと同じくらいのタイムラグ、もうほとんど感知できないくらいで、加速Gがまったく途切れないのです。

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実はGT-R、タイヤと路面のグリップ力が強すぎて、ホイールとタイヤの接合部(ローレット)が滑り始めるほど。そのためローレットの摩擦力を上げるためにローレットを加工、ホイールに凸凹(ギザギザ)をつけることで滑りを防止しています。減速の際にずれるというのはたまに聞きますが、加速Gが凄すぎてずれるというのはもはや想像以上です。なお、タイヤは内圧変化を抑えるために標準で窒素封入。整備をする日産ハイパフォーマンスセンターでは窒素ガス充填装置を設置、充填が出来ます。

100km/hまでの加速を体験したら、次は100km/hからフルブレーキングで停止する、急制動体験。100km/h巡航に速度を調整して、パイロンのところでガツン!

グガガガガガガガガ!

踏んだ瞬間からABSが効いて一気に停止。その距離、たったの30m...

これ2周 x 2グレードの合計4回試したのですが、どれもほとんど30m前後で停止。ズレは進入スピードの違いだけ、130km/hくらいからでも33mくらいで止まれていました。100km/hからの急制動、普通のクルマは軽く40mオーバーですよ、ポルシェでも33m位。改めてどれだけ止まるんだ、という気持ちでいっぱい。

興味深いのはABSの介入が早い点。ABSがガガガと連続的にきくと結局はブレーキ圧を逃がしているので制動距離はロックしないのに比べれば伸びると思っていたのですが、どうやら4輪独立して制御しているようで、当然のことながらラインを乱さず、姿勢も前のめりになることなく4輪全部を使って最大効率で止まっています。

最適重量化による加速がいいことは、すなわち減速もいい、という水野理論の実証でした。

その後コーナーを回り、次は広場で50km/hで進入してのパイロンスラローム。スラロームには自信あります、なにせ昔スラローム競技、ジムカーナをやってましたから。しかもたまたま同乗してくださったのは開発メンバーであり、全日本ジムカーナ PN2クラスチャンピオン 河本選手。下手な運転はできないぞと、慎重にハンドルとアクセルのON/OFFをリズミカルにこなして右に左にとスイスイ進みます。自分の腕がいいのか(笑)、クルマがいいのか、正直50km/hでは物足りないほどで、もっと回転数あげてブン回して(=リアを多少流しながら)走らせたくなるほど。

そんな中多少失敗、突っ込みすぎてハンドルを切りこみつつ、アクセルONでプッシュアンダーが出そうになると制御が入ってクルマを中に戻してくれるところがさすがのVDC-Rです。どうも後内輪のブレーキ制御が肝のような感じでした、あくまでも推測ですが。

次はアップダウンのあるワインディングコース。ヒルトップから下りになるところでは荷重が抜けてアンダーが出るはずなのが、ハンドルを切りこむだけでスムースに中に入っていくのに驚嘆。もはやこれは電子デバイスがどうとかの世界じゃなく、きっちりとハンドリングを作りこんでいることの証左。だってアクセル踏み込んでないし、電子制御、何も入っていませんから。これは2012年モデルの試乗、狭い林道をコースティングしながら走ったときも感じましたけど、右に左に荷重の切り替えが非常にうまい&スムース。まるでスキーのスラロームが上手になった感じです。

(凄すぎて)ムムムとおもいつつ、今度は首都高段差の再現コースへ。ようは継ぎ目がついているのですが、ここも

タタン、タタン

と軽快にいなすではありませんか。しかもサスペンションモードをCOMF(コンフォート)にすると、さらに

トトン、トトン

と滑らかに。この違いが非常に明確で分かりやすく、河本選手いわく街中から高速道路の巡航はCOMFが最適とのこと。確かにこれは上質です。

さて今回2台のGT-Rを乗り替えて試したのですが、後の方にのったGT-Rはこの首都高段差で一回り硬い印象。最初のGT-Rの方が乗り心地がよいと思ったのですが、実はこの最初のGT-Rは Pure edition For TRACK PACK、いわゆるハードなサーキット用サスペンションが組み込まれたもので、後の方は Premium edition(標準サスペンション)とのこと。あれれ、私の感覚がおかしくなったのかな、余りにサーキット走りすぎてサスペンション硬い方が乗り心地がよいと感じるようになってしまったのか・・・と落胆して後で開発主管の水野氏に尋ねたところ、衝撃の言葉が。

「ああ、あれね、バルブあけて初期の減衰逃がしてるんだよ

なんでも標準モデルはスプリングに頼れないので減衰力を初期からあげている(つまりは硬い印象を受ける)けど、TRACK PACKはスプリングがしっかりしているので初期の減衰力を抜くことができるのだとか。

さらには

乗り心地と操安性(操縦安定性)は両立するんだよ(ニッコリ)

との弁。べ、勉強になります...後で確認してみたらスプリングもプログレッシブスプリングで初期のあたりを和らげつつ、高負荷では粘る作り。メーカーが本気で作ったサスペンションセッティングは懐が深いです。

テストコースを普段の街乗り速度で乗る分にはまったくもって余裕のよっちゃん。ナチュラルな操作感とさらに洗練された乗り心地、コーナーだってもうブレーキなんて不要、ハンドルによる荷重移動だけで曲がって行けちゃうんだから、これほど楽なクルマもありません。

その後ドライバーを交代、クルマは休憩なしで再びローンチコントロールで2.7秒で100km/hで達し、100km/hからのフルブレーキングを約30mでこなし停止、周回・・・この繰り返し。

えっ、フェードもしないし、クラッチも焼けないの!?

普通のクルマでこんな無茶な使い方したらあっという間にクラッチは滑り、ブレーキはフェードしてしまうはず。にも関わらずこんな乗せ方を何十組、数時間に及ぶ体験試乗をさせてもGT-Rはなんてことないんです。

ガラスのミッション。よくこわれるミッションのことをこう表現することがあります。

ではGT-Rはどうかというと戦車なみのタフネスさを持っているといっていいでしょう。もしくはもはや周回している間に十分クーリングしてしまうだけのキャパシティをもっているともいえます。

次回はプロドライバーによる全開走行体験。さすがに今度ばかりはクルマもへこたれて休ませるはず・・・ってえっ、連続走行、クーリングしないの!?

(つづく)⇒【動画】250km/hの世界へGO! 開発ドライバー運転の同乗走行:日産GT-R 2013年モデル試乗レポート(6)


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のりものブロガー

野間恒毅

スーパーカーと美女が好き。 日々RR, FR, FFと駆動方式を選ばずドライビングスキルを磨き、ドライビングプレジャーを追い求めています。リターンライダーとして大型二輪免許取得、大型バイクに乗っています。ミニ四駆、ラジコン、ドローンなどホビーも幅広くカバーしボート。個人ブログはこちら(のまのしわざ


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