ガンダムを超えた？　誰も殺さない「輪廻のラグランジェ」の丁寧な作り #kamojo

2012.01.23

いよいよ期待の女子高生ロボットアニメ「輪廻のラグランジェ」が始まりました。

すでに試写会での第１話レポートを上げていますが、今回は3話まで見たのでさらに奥深く「ラグリン」に迫ってみます。

ロボットアニメ第1話問題を乗り越えた！　「輪廻のラグランジェ」第1話視聴レポート #kamojo【ワンダードライビング】
この第1話問題の大きな壁は２つ、

1) パイロットがロボットに搭乗する理由付け

2) パイロットがロボットを操作できる理由付け

です。

この「輪廻のラグランジェ」が素晴らしいのは、この「ロボットアニメ、第１話問題」を華麗にクリアした点です。

とにかく自然でAパートとBパートがうまく辻褄があっている、久々にみる「見事な第一話」でした。これはもう必見です。ええ、ファースト・ガンダム世代も絶対みるべきです。第三話まで評価を待つ必要なんてありません、第一話で十分ですから。

あの名作、エヴァですら越えられなかったとクリエイターが白旗をあげたガンダム第一話に匹敵するほどの出来です。

▼詳しくは⇒ロボットアニメ第1話問題を乗り越えた！　「輪廻のラグランジェ」第1話視聴レポート #kamojo【ワンダードライビング】

▼TV版ガンダム第一話が最高すぎる件 ([の] のまのしわざ)

これに2話、3話と続きましたが、その評価は揺るがず。なぜ揺るがないかというと、実に作りが丁寧かつ、思慮にあふれているから。

一番感じるのは、一人ひとりのキャラクターを大事にしていること。そしてロボット1体1体を大事にしていること。これは簡単なようで実は簡単ではありません。

特に登場人物が多いドラマではメインキャラ以外はぞんざいで、適当に扱われることも多く、人物描写が不足しがち。しかしこの「輪廻のラグランジェ」では副読本、アニメ雑誌や公式サイトの紹介などみなくとも誰がどんな役割で、どういった考え方を持っているかが分かるのです。これって自然なのですが、実はとても大変。

いわゆる「キャラかぶり」などあった場合には存在感が薄くなったり、登場したけど意味がないといったこともありがち。しかもそういうキャラは邪魔になったら、主人公たちを奮起させるために戦死させられることもしばしば。まさに犬死です。

第1話で実によく練られたシナリオで主人公をロボットに搭乗させ、初戦を制することに成功しますが、驚くことにこの第1話問題をもう一度繰り返すのです。それが2人目の搭乗者「ラン」。

もともとこの「ラン」がロボットに乗れればよかったわけですが、乗れなかったために急遽地球人で適性のある（この部分はまだ謎）主人公「まどか」を引っ張り出すわけです。しかし「まどか」がピンチに陥ったときに、自問自答するわけですね。私はどうして乗れないのかと。

いわばこれは1話をさらに遡り、第0話問題といったところ。

ロボットアニメ第1話問題を乗り越えた！　「輪廻のラグランジェ」第1話視聴レポート #kamojo【ワンダードライビング】
特殊部隊の隊員や親族、異星人はあらかじめ「敵が襲来することに備えている」という点で共通しています。そのため「この日がやってきたか」ということで自然に乗ることができます。

ランは異星人でパイロットなので本来であれば乗れるはずなのに、なんと逆に何か（伝説、言い伝え）にひっかかり乗れないのです。

何も知らずに乗ってしまう主人公「まどか」よりもトラウマ的でかえって乗りにくい、乗れない状況にしているとはどんだけハードルを上げるんだ、ということです。

でこのハードルをあげたランのトラウマを3話かけてじっくりと解かし、ついに乗ることに成功したのがこの第3話なのです。なんという手の込んだ、丁寧な作り！

で、これで終わりではありません。

そうです、もう一人の謎のキャラ、「ムギナミ」がいるんです。しかも１シーン出ただけでほとんど喋ってない状況。第4話目からはこの「ムギナミ」がどうやって仲間に入ってくるのか、そしてロボットに乗るのか、注目です。

そしてもう一つ、もっとも大事なポイントがあります。

それはまだ「誰も犠牲になっていない」という点です。

ロボットアニメ、戦争アニメで主人公たちの戦うモチベーションを上げる、もっとも簡単なのは

「誰かが犠牲になる（死ぬ）」

ことです。他にアイディアのないシナリオライターはキャラを殺し、安易に動機づけします。ところが輪廻のラグランジェはそれをしない、していません。これは簡単なようで非常に難しいことです。守るものがなければ戦えないのですが、守るものが命だけでなく「鴨川」という土地、地域、郷土愛に訴えかけているのが非常にチャレンジングです。