トップガン・ヤム選手が鈴鹿をリアルドライブ! ドライビングレッスン AMG Driving Fascination レポート(2)
2011.11.22「いきなり超豪華スーパースポーツ SLS AMG! ドライビングレッスン AMG Driving Fascination レポート(1)」の続き。
そういえば、同乗の参加者はとてもお若い方。ベンツ・ユーザーには見えませんが、おクルマは何を乗っているんですか?
若者「MR2、SW20のNAです」
おお、なんとなく親近感。いいですよねリア駆動、リアエンジンは羨ましい~。それにしても平日昼間に鈴鹿サーキットまでいらして、お仕事はどうしたんでしょう。
若者「まだ学生です。内定が決まって、あとは卒業するだけなんです」
年齢は22歳の学生さんでした。しかしなぜまたベンツ・ユーザーが集まる「AMG Driving Fascination」に参加したんでしょう。
若者「実は私、日本一になったので招待されたんです」
この22歳の若者はPS3のゲーム、グランツーリスモ5を使った「メルセデス・ベンツドライビングイベント」で見事優勝、日本一速い男「ヤム選手」だったのです。
▼「メルセデス・ベンツドライビングイベント」決勝イベントでヤム選手が優勝
この日のためになんでも毎日GT5で特訓していたんだとか。家には自分で組んだパイプフレームのGT5セット、シートはMR2純正シートを組み込み、「センサーがよくないと負ける!」と最新鋭のハンドルコントローラを導入。
そのかいあって見事優勝です。グランツーリスモ5で磨いた腕が今回実際の鈴鹿サーキットで活かされる時が来ました。
期待の若者、日本一速い男、ヤム選手にドライバーチェンジです。
さあグランツーリスモ5で鳴らしたヤム選手の走りはいかに! その走行は動画でどうぞ、使用車両は最初の動画がSLS AMGで、それ以外はC63 AMGです。
(SLS AMG:1-2コーナー)
初回から SLS AMG 571馬力の加速力をつかってかなり奥まで突っ込みます。2コーナーはアウト側ギリギリのラインでしたが、黒澤治樹インストラクターから「アクセルONが早くてふくらんでしまいましたね」との指摘も。
(130R)
(グリッドスタート練習)
(1-2コーナー)
C63 AMGの加速力とあいまって、なかなかの速度でコーナリング。黒澤治樹インストラクターに「もう少し速度を落として下さい」と言われてしまいましたが、実際トラクションコントロールの制御が入るほどでした。でもすごく安定していましたよ。
(逆バンク)
(デグナー)
(ヘアピンコーナー)
加速力もそうですが、とにかくブレーキが強烈。よく効くのでしっかり前荷重がかかります。そこで乱暴にハンドル、アクセル操作をすると制御が入ってくるので「制御が入るね」という話しをしていました。ちなみにモードはS+で制御が入る中では一番介入が少ないもの。
(スプーンコーナー)
さすがは日本一、実車でも操作は丁寧、きっちりと荷重をつかってうまくコーナーリングしています。お上手です。
GT5で日本一のヤム選手ですが、実車経験はこれまでにRX-7(FC)やレガシー、そして現在はMR2(SW20 NA)に乗っています。特にリアヘビーで重心が高いSW20は荷重がとても大事。アンダーやオーバー、ひいてはスピンしてしまうさほどのシビアな車両、うまく荷重を使わないとクルマを制御しきれません。
そんな荷重の大切さを理解しつつ、一方で毎日GT5で練習して日本一になったわけですから、鈴鹿ではじめて乗るSLS AMGやC63 AMGでもうまく荷重を感じつつドライビングすることができたんでしょうね。
GT5は一見「ゲーム」と思われますが、GT1のころから普通の「ドライブゲーム」「レーシングゲーム」とは一線を画し「カーライフシミュレータ」「リアルドライビングシミュレータ」として物理エンジンを搭載し「現実世界」の物理を「仮想世界」に持ち込んでいます。
GT1から約14年、コンピュータは進化しコンピューティング性能は飛躍的にアップ。その結果画質は1920x1080pのフルハイビジョンでリアルタイムレンダリングが可能となりました。見た目ももちろん素晴らしいですがそれと同時に物理エンジンの精度もアップ。まさに「リアルドライビングシミュレータ」の名に相応しいものに。
2年連続でF1のチャンピオンを獲得したあのセバスチャン・ベッテルをはじめ、F1ドライバーもGT5などゲームで走ったことのないコースを攻略するというし、小林可夢偉選手はベッテルやヒュルケンベルグ選手とは「PSP仲間」でどのコースで何秒だしたか競い合ってるとのこと。
私たちが愛したFINAL LAPやOUTRUNとはまったくレベルの違う次元になったんですね。
それほどシミュレータの性能があがってきたので、今ではハンドルコントローラ(ハンコン)は必須、しかも安物ではセンサーの精度が足りないので高いハンコンが有利、その差が分かるほどシビアななってきました。
一昔前は「ゲームと現実は違うからね~」の一言で済ませられましたがシミュレータとなると話は別。
シミュレータで十分に訓練を積み、リアルで本番訓練、そしてそれをまた繰り返す。よく考えるとF1もそうですが航空機開発、宇宙開発では普通にやっているフローです。
▼JALとリンクシェアのすごい整備工場見学2:フライトシミュレータは本物編【ワンダードライビング】
▼ボーイング777フライトシミュレータ実体験(1)リンクシェアJAL日本航空機体整備工場見学会 2011 ([の] のまのしわざ)
ある意味ヤム選手はパイロット養成と同じく、規定時間以上のシミュレータ訓練を受け、さらに全国予選を勝ち抜きファイナリストに選抜、模擬戦で優勝したエリート中のエリート! いわば、
トップガン!
(脳内再生BGM: Danger Zone)
そうです、ヤム選手はトム・クルーズだったんです! あとは美人教官さえいれば完璧です。
GT5なら毎日鈴鹿サーキットを走れるし、晴れだけでなく雨もシミュレート可能。現地に行かなくとも、走りこみすることができます。
今後はレースゲーム界からトップガンがどんどん輩出されるのでしょうね。年齢も22歳と若いし、伸び代タップリ。ヤム選手の今後の活躍に期待です!
P.S. 11月22日現在、トヨタと「グランツーリスモ」がFT-86をフィーチャーしたスペシャルイベントを開催中ですが、ヤム選手はランキング1、2位を争うほどです。
[「メルセデス・ベンツドライビングイベント」決勝イベントでヤム選手が優勝、YAM23 (yam23swbh) on Twitter]
(つづく)
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