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ヤマハFZ250 PHAZER(フェーザー)1985年式 レストア記

#逗子ビート通信 phase-00 出会いは突然に

2019.10.12

そう、あの日は5月の初夏を思わせる爽やかな空と海でした。

いつものようにディンギー練習のため逗子へとやってきたところ、ロードサイドに真っ赤なビートが置いてあったんです。しかも値札付きで。


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「ビートかあ・・・いいなあ」

きっとその日がお天気で爽やかな陽気だったこともあるでしょう。そして我がS2000は長期入院中で手元になかったこともあるでしょう。真っ赤なボディカラーは鮮烈でとても気になる存在となりましたが、そのまま素通り、海岸へとむかいました。

ディンギー練習が終わり、帰り道。ビートのことなどすっかり忘れていたのですが、帰りがけにみるとやはり置いてある。気になる。気になってしまった。ああ、気になったらもう素通りなんてできない。せめて見ておきたい、来週きてなかったら後悔してしまうに違いない。

有料道路手前でUターンをしてビートのところに戻り、カフェの駐車場に車をとめます。その日はカフェの定休日、誰もいません。

しかしビートと、そしてその奥にあるホンダS600の2台がS2000をもつ一人のホンダファンの心をくすぐります。

「ビートはコレクションに加えたい一台だよな、しかし程度次第である」

FZ250 PHAZERのレストアでかなり懲りたこともあり、古い年式のものは値段ではなく、その個体の状況を見極めることが大事だとよく理解できました。そこで一通り外回りチェック。

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「ずいぶんと塗装が綺麗だな、そしてホロもやれがない。ホイールハウスも綺麗だ、走行距離はいっているがかなり手入れされている一台だぞ。なによりノーマルというのがいい、この年式くらいになると純正が一番だから。」

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「ウェザーストリップはダメだな、Aピラーもステッカーがひび割れているがこれは交換だな」

すでに頭の中ではレストア計画が立てられていきます。そう、レストア後のイメージを持つことが大事で、何ができて何ができないか、それと予算との兼ね合いが大事。

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プライスは46.8万円、走行15万キロが気になるがいかんせん28年落ちの車体であるし、以前レストアしたシティは20万キロをこえてもきっちり走ってむしろエンジン絶好調だったので、メンテ次第。このころのホンダエンジンは特にF1で常勝だった黄金期であるので、たとえ量産エンジンであっても信頼できます。

心はほぼきまった、あとはエンジン、走り、エアコンなどのチェック。ということで早速電話。

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(葉山時感)

すると10分ほどでオーナーがやってきました。逗子でレストアショップを営むZATさんで、このカフェは車好きが集まる場所として週に3日ほど開けているとのこと。中にもレアなビンテージカー、フォーミュラカーがおいてあり、旧車好きにはたまらないです。

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エンジンをかけ、内装チェック。やれはかなりあり、シートにもほつれはあるもののなんとか原型を保っている状況。シフトノブは15万キロの走行のしるし、すり減ってツルツル、シフトパターンが削れているような状態。

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エアコンは動作し、オーディオも作動、ただし音は左側からのみ。スピーカーか、定番のオーディオの電解コンデンサー不良といったところか。

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ボンネット内も比較的綺麗で、ブレーキなどもメンテナンス、部品交換がされています。

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サビが出やすいヒンジも問題なし。

それでは試乗へと向かいます。

ミッション、エンジンと機関系問題なし。なにより足がよく動き、ボディ自体もヤレはそんなに感じられないレベルにとどまっています。エアコンもきくので大物は問題なし。

唯一の難点はマフラーからでる白い煙。

これはZATさんいわく、

「オイル下がりで部品(ステムシール)も調達しているから、直して納車しますよ」

とのこと。それなら安心して乗れるでしょう、ということでその場で確約、買うことにしました。

通りすがりで車を買うなんて初めての経験ですが、出会いとはそういうものです。

ただこれは長い戦いの始まりにすぎませんでした。

(続く)



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