EVとして現代に蘇ったトミーカイラZZはカーシェアでも楽しめる
2018.04.102シーターEVミッドシップ。トミーカイラZZといえば1990年代に作られたスポーツカーですが、それがEVとして復活。復活にあたり最初はコンバートEV、当時のトミーカイラZZをベースにEV化したものの色々とうまいこといかず、結果的に完全にオリジナルのシャーシ、デザインとして作られました。
今回はこのトミーカイラZZを試乗させてもらいましたよ。
走るだけに特化したシンプルな造り
EVというとハイテクの塊というイメージですが、このトミーカイラZZはその先入観を覆します。たしかにパワートレインはリチウムイオンバッテリーとモーターで構成されているものの、それ以外はむしろシンプルを通り越してレーシングカーの域。
カーナビ、オーディオ、エアコンなど快適装備は一切なし。サイドの窓すらありません。
そして、パワステなし、ブレーキブースターなし。
トラクションコントロール、車両安定装置なし。
車庫入れではハンドルの重さを感じ、モーターの圧倒的な加速の後に待ち受けるブレーキングでは脚力を込めてうりゃあ!と思い切り踏み込まないと止まりません。まるでジキルとハイド。最新なの、懐古趣味なの、どっちなの? と最初は戸惑いを隠せません。
シートはレカロのフルバケットシート。かろうじてスライド調整機構はありました。
タイヤはフロント205/45R17、リア225/45R17のピレリP ZERO NERO。
このハイグリップタイヤの限界をいともたやすく超えていくモーターパワーは305馬力、0-100km/h加速3秒台と圧倒的パフォーマンスを誇ります。
リアミッドシップ
モーターは後輪軸に取り付けられたリア駆動。バッテリーミッドシップともいえ、車両中央の下側に鎮座しています。
その後ろ側に積まれたものはインバーターとコンバーター。それぞれ水冷式となっており、ラジエーターはリアバンパー直前に積まれます。
充電ポートは左側、チャデモ急速充電に対応、通常充電と2ポート搭載しています。
フロントボンネット
リアハッチ内はコンポーネントでギチギチですが、一方フロントボンネット内はスッカスカ。
フレームが丸見えな中にバッテリーが中央に鎮座するのみ。フロントバンパーからの空気は入り込みますが、特に冷却するものもありません。
起動方法
ハザードスイッチを長押しして電源をON、通常のオートマ同様、右のダイアルでP-R-N-Dレンジを切り替え。
面白いのはRレンジはバックなのですが、ギアを切り替えているだけなのでアクセルを全開にすると前進と同じだけの加速をしてしまうこと。シフトチェンジがないEVならではです。
いったんDに切り替え、サイドブレーキを下ろしたらあとは走るだけです。
都内試乗
走り出してまず思うのは久々に体験する重ステ。極低速域でのステアはやはり力が要ります。とはいえ同じ重ステのアルファロメオ4Cよりは軽い印象。
EVは通常アクセルを踏まないと前に進みませんが、このトミーカイラZZは開発者のこだわりでクリープを装備。ブレーキを放すと微速で前進するので、それが多少ハンドルを軽く感じさせるのかもしれません。なおこのクリープがあると都内や高速道路の渋滞での走行が楽だとのこと。
一旦走り出せばハンドルの重さはまったく気にならず、通常のパワステの重めの車両と同じくらいの軽さ(?)となります。
アクセルに対しての加速は素直で、少し踏めばそれなりに、目いっぱい踏めば圧倒的なトルクを無音で振り絞りびっくりする加速をみせます。
0-100km/h加速3秒台は色々な車で体験していますが、音もなく加速していくのはEVならではの魅力。そしてフェラーリよりも低いという着座位置がその加速感、ダイレクト感をさらに増します。
さてここでひとつ気をつけなければならないのは、アクセルオフでエンジンブレーキならぬ回生ブレーキが効かないこと。
通常EVはこの回生ブレーキでエネルギー回収、航続距離を伸ばすために充電をするのですが、このトミーカイラZZは回生しないというのです。つまり常に放電するのみ。これは回生ブレーキの処理が難しいことやドライバビリティを考えた結果の選択とのこと。
そのためにアクセルオフしてもすーーーっと進むのでまずびっくりします。
次にブレーキを踏むとこれまたブレーキブースターがないので、全然効かず、すーーーっと進んだまま。あわてて踏力を高めるとようやく制動力が出てきて安心して止まるといった具合。
これは慣れの問題で、少しなれると逆にこのストローク、踏力で制動力を自在にコントロール、車両姿勢を作る楽しみが生まれます。前荷重のかけ方がよく分かるので、走りこめば走りこむほどはまるという話です。
このトミーカイラZZのオーナーは以前のガソリン車のトミーカイラZZを持っている人も多く、そういった方にも楽しんでもらっているそうです。
確かに見た目は今風のデザイン、EVなので最新鋭のモビルスーツ的な走りをイメージしますが、実際には古典的、懐古趣味的な側面も大きいのです。
気になる電費
フル充電でJC08モード 120km走れるという公称値ですが、回生がないこともあり実際の航続距離はかなり短いです。
今問題になっているのはサーキット走行が面白いけど、鈴鹿サーキットのタイムアタックができないこと。サーキットはインラップ、アウトラップを含めると最低3周することになりますが、全開で走ってしまうとピットまで戻ってこれないというのです。
とはいえ全員が全員サーキットのタイムアタックをするわけではないし、これでしか得られる高揚感があるので、それを楽しみたいですね。
問題はなかなか買えないということ。でも実は楽しむだけなら方法があるんですよ。
カーシェアで楽しむ
タイムズのサービスXにこのトミーカイラZZが導入済み。実はこの試乗車もそのサービスXの車両なのです。
GLMトミーカイラZZのスペック・詳細 - レンタカーならタイムズカーレンタル
サービスXの車両はETC、ナビが装着されているので、お出かけもラクラク。
1時間4,320円からで、電池の持ちを考えると3時間11,880円で十分かも? 充電している時間がもったいですから、使ったらすぐ返しちゃうのが吉です。
ぜひこちらで体験してはいかがでしょうか。