歴史と都市化への理解を深める父子旅 Day5 青森駅・青函連絡船八甲田丸
2016.09.172泊した大沼キャンプ場を離れ、本日は函館から青森へと向かいます。
キャンプ場は土日ということもあり、多くのキャンパーで賑わっていました。
いつものことですが、キャンプ装備はいつもミニマム。台車1台1往復で運搬は終了します。ひとつにはこれ以上になるとMINIに積みきれないからですが、基本的には野営だからシンプルイズザベスト。
フェリーで青森へ
今回利用したのは津軽フェリー。
設備が刷新され非常に綺麗。ここ函館は函館山ロープウェイ、五稜郭タワーといいすべてが今時の海外観光地クオリティにレベルアップしている感があります。とはいえ、青森行きのフェリーに乗るお客はドメスティック。統計を調べても海外のお客さんはもちろん、北海道の観光客も青森まで足を伸ばさないのだとか。
その理由は時間とコストにあります。
青森函館のフェリーは代金がそれなりということと、時間は4時間かかり、ちょいとそこまでという距離ではありません。移動だけで1日かかってしまい、結果として2泊3日は見ておかないと厳しいです。
そして青森側に魅力的な観光地があるかというと、比較的県内にバラバラになっている関係でこれまた移動距離、時間がかかりコンパクトに見て回れないという問題が。路面電車がありコンパクトに見て回れる函館とは真逆ですね。
フェリーの選び方
今回スマホで当日、フェリーの予約をした関係であまり比較検討しなかったのですが、函館から青森へはフェリー会社が2つあります。
津軽海峡フェリー株式会社|函館と青森、函館と大間をつなぎ、本州と北海道を最短ルートで結ぶフェリー
HPの作りや、施設の違いをみればわかるのですがこのふたつ、実はキャラクターが異なります。
青函フェリーは貨物を中心としたカーフェリーで、業務向けのイメージ。一方津軽海峡フェリーはモダンで旅客重視。高速船なっちゃんReraを運行した東日本フェリーは経営悪化後、この津軽海峡フェリーに吸収合併されています。
ウェーブピアサーを使った高速船は4時間の航路を2時間と半分に短縮する画期的なものですが、いかんせんボトルネックは乗船・下船にあり2時間の短縮があまり効果的に感じられないかつ、運賃が高く特にトラック貨物から敬遠されたという経緯がありました。
青函フェリーと津軽海峡フェリー、同じ航路なので値段は同じかと思いきや実は違っていて、4m未満の小型車は青函フェリーの方が2割安いです。
青函フェリー<料金・ご予約> 4m未満 16,000円
運賃・料金 函館~青森|津軽海峡フェリー株式会社 6m未満 20,570円
軽自動車は450円の違いのみ。道理で大きな車が多いと思いました。
快適な船旅
函館の街並み、函館山が一望できます。ペリーもここを通って函館へ寄港したかと思うと、なかなか感慨深いですね。日米和親条約が締結後、ここ函館と下田が開港されますが、東京から遠い函館の方が評判がよかったとか。理由は交換レートがいいことと、物資が豊富だったからと言われています。
それ以上に海路が中心だった当時は北海道の中心地だったからというのもあるでしょう。その後鉄路の普及に伴い札幌に中心がシフトしていきます。
さてこのフェリー、なかなか大型で食堂施設もあるのですがなにせたった4時間の船旅。いってみるとレトルトの自販機しかありませんでした。レンジでチンするだけで、ちょっと寂しいですね。
青森港に近くなるとタグボートが近づき、ロープを渡して引っ張るのか、押すのか、着岸の補助をするようです。最後まで見たかったのですが、自動車に戻れということでみることができませんでした。
実際には着岸がすんで、ゲートがあいて下船するまで数十分も待たされるので、こういうのは観光資源として活用したほうがいいと思うんですけどね。
津軽海峡フェリー上・下船動画
青森駅
青森駅と青森港は多少離れていますが、車であれば数分の距離。ベイブリッジのような橋から駅近くのホテルにいくには多少いりくんでおり、道もだんだんと狭くなります。
駅の周りは閑散としてますがすぐそばにねぶた祭の観光施設「ワ・ラッセ」やシードル工場 A-Factory、青函連絡船・八甲田丸が見えており、コンパクトに観光可能。
青森市はコンパクトシティ化を進めており、複合施設Auga(アウガ)がその旗じるしとなっていますが失敗。市長が辞任するなど、地方都市における地方創生の難しさを物語っています。
アウガのある駅前からの通りには立派な自転車専用レーンが整備されていますが、雪深い青森でどこまで自転車が使われるのか疑問。軽自動車がメインの交通機関となると、ごちゃごちゃした駅前まで来にくいし、アウガのような立体施設はむしろ使い勝手は悪くなりそうです。
そうなるとイオンやヨーカドーのような郊外の大型施設の方がかえって使いやすいとなり、駅前はどんどん寂れていくという悪循環は止まりませんね。
青函連絡船・八甲田丸
青函連絡船の肝は車両甲板にあり。
ということで、函館の摩周丸では立ち入ることができなかった車両甲板に、ここ青森の八甲田丸では入ってみることができました。
4本のレールに最大50両が積載できるとのこと。今では見学用にいくつか線路がふさがっていますが、当時の趣を感じることができました。搭載されている郵便車両などからも当時の面影を偲ぶことができます。
毎回のことですが、鉄分がまったくないうちの子供は興味薄でまったく反応はありませんでした。
歴史への理解とサバイバル力を高める父子旅 Day1 碓氷峠~湯の丸高原【ワンダードライビング】
またここ八甲田丸は東京の船の科学館に係留されていた青函連絡船・羊蹄丸に展示されていたジオラマも移転・展示されています。当時を偲ぶ牧歌的な風景が魅力で再現を頑張っていますが、やはり完成度という点では羊蹄丸にはおよばないのが惜しいところ。それでもなくなってしまうより、全然よいです。
9月30日まで! 船の科学館、青函連絡船・羊蹄丸を見てきました - のまのしわざ
羊蹄丸はこのジオラマを車両甲板に展開していたんですよね。だからできたことでもあります。
青森駅からすぐに引込み線で青函連絡船へ。まさに北海道への玄関口、ここ青森駅が多くの行き交うお客で賑わった光景が目に浮かびますが、それも今は昔。今では北海道新幹線開通により青森は素通り、開通効果はほとんどなかったと言われています。
A-Factory
青函連絡船、ラ・ワッセの横にあるモダンな施設がA-Factory。
寂れた駅前と錆だらけの八甲田丸の間に位置し、きらびやかな内装はギャップがありすぎ。
東京でいえばT.Y.ハーバーか、代官山蔦屋か、といった風情。
特産のりんごをつかったシードルがここの名物。
見た目もオシャレすぎて最初は見た目倒れかと思って一口食べたら前言撤回。ものすごい美味しいし、しかもお値段はお手ごろ。
人も結構はいっており、ビール飲み放題の1Fフロアは賑わっており、青森駅にきたら絶対にここは寄るべき場所といっていいです。お土産物もたくさん揃っており、飲食も楽しめるし、買い物もできます。
こんなモダンなところは東京にいくらでもある、せっかく田舎にきたんだからもっと昭和っぽい雰囲気を味わいたい、ということであれば居酒屋へいけば今ものこる昭和の風情。
海鮮も素晴らしいです。
この餃子はリンゴ入り。
青森といえばどこまでもリンゴですが、歴史は浅く明治以降に輸入されたものがルーツ。鉄道の発達とともに首都圏への輸出が進んだことから、青森といえばリンゴとなったようです。
青森りんごの歴史:明治|青森県庁ウェブサイト Aomori Prefectural Government
ここでも交通網と産業の関連性がみてとれます。
青森駅の夜は早く、9時でこんなかんじに。
公共交通機関が貧弱なのは課題です。