歴史と都市化への理解を深める父子旅 Day6 三内丸山遺跡・弘前城
2016.09.18お城ファンとしては見逃せない現存天守のある弘前城。本日は青森駅を離れ、弘前へと向かいます。
縄文文化を伝える「三内丸山遺跡」
青森から弘前へ行く途中、道をさまよっていたら突然現れたのがこの遺跡。当初よるつもりはなかったのですが、縄文時代の大型遺跡があるということで、立ち寄ってみました。
【小型の集落】
ここは比較的、まっとうな縄文時代的な住居です。ある意味ドーム型テントにも似ており、キャンプ場のような風景。
【高床式建物】
まず驚いたのが、高床式住居があったこと。縄文時代は狩猟が中心で、農耕民族と違い貯蔵などをしなかったと思っていたのですが、どうやら貯蔵庫として使われていた模様。つまり食料の貯蔵、富の蓄積があったことを意味します。
【謎の巨大建造物】
圧巻はこの巨大建造物。柱の穴だけ発見されておりそのうえにどんな形の建造物があったのか不明ですが、残っていた柱の種類、そして土の圧力分布から構造物の重量を推定。それに見合う柱をたてたのがこちらの再現ということで、もっと細くなれた高く高くなっていたことでしょう。
さらに驚くのはこの巨大建造物が1つだけではないという点。複数あったことから、これがたまたま作られたのではなく、なんらかの目的で作らなければならないものだったことが伺えます。
これまで縄文時代は比較的フラットな社会構造と思われていましたが、富の蓄積やリーダーシップによる統制というものが伺え、階層化された社会構造だったのではないか、と考えられるようになってきました。
【謎の大型住居】
もうひとつ、住居としては大きすぎる大型住居。集会場として使われたか、共同作業の場所として使われたか。いずれにしても相応の人口と、とりまとめる社会が存在したことを意味します。
【広い交易範囲】
狩猟範囲は狭いながらも、矢じりなどで使われた黒曜石、そして装飾品として使われたヒスイは他の地域からの輸入。ここ青森県にありながら、出てきた黒曜石は海を渡った北海道や、長野まで及んでおり、広い交易範囲を示しています。
交易があるということは人の交流、情報交換があることを意味しており、日本列島をまたにかけた巨大ネットワークが構築されていたと考えられます。
【突然消え去る歴史】
そうやって数千年の歴史を、いまでいうところの持続可能社会として続けていた縄文文化ですが、突如衰退して村から生活が消えます。これはここ三内丸山だけではなく、多摩丘陵の縄文文化も同じで、一体どこへいったのか謎のまま。縄文時代に縄文海進という海岸線が上がった事象がありますが、その後海岸線は下がるなど大きな寒冷化、気候変動が原因なのでしょうか。
文字がなかったことから言葉があったのかどうかも不明で、それこそ巨大建造物は宇宙人の仕業だ、宇宙との交信設備だという説も出るくらい。まさにロマンです。
宇宙人ぽいし。
弘前城
青森県は弘前と八戸を中心とした藩が合体してできたもの。この弘前城は現存天守として名が通っており、特に春のさくらまつりは多くの観光客でにぎわいます。
お城としては平城で、水堀と石垣で縄張りが作られています。
【違和感のある現存天守】
これが噂に高い現存天守、でもなんかへん。天守っぽくありません、そう、なんというかポツーンと置かれた感がありませんか?
特にこの石垣っぽい白いタイル、なにこれ。全然現存じゃないじゃん、フェイクじゃない!作りもんだよ、ここはディズニーランドか! と感じてたら思い出しました。
それもそのはず。
この天守、石垣補修のためになんと移動していたのです...まじか!
本来はここにあったはずの天守。石垣が膨らんで傾いてきたためになんと天守を移動し、石垣をこれから全部バラして、基礎を作り直して、また元通りに石垣を積みなおして、天守を元に戻すというなんとも気の長い補修工事の最中なのでした。
ですからこの状態を見られるのはある意味期間限定、今しか見られない貴重な姿、400年に1度の補修ですからね。
実用的な現存天守
天守といってもそんなに高いわけではなく、中はまさに守りの要といったところ。櫓といった方が近いでしょうか。
櫓の石垣側は外からの守りをしっかりするために木の扉がついており、一方の内側は採光と換気のために大きな格子状の窓となっています。豪華さはかけらもなく、質実剛健。
中ではコスプレ写真もとれます。
石垣ファンとしては、品質が一定しない石垣に疑問符。野面積みから打ち込みハギまで様々で、どうも改築に増築を重ねた結果ではないかと推測。
さて曳屋に石垣を堪能したのですが、どうにも天候が不順。台風が向かってきているということでいろいろ検討した結果、ここ弘前から一気に700kmを走行して帰宅することに決定。
最後はドタバタでしたが、無事に帰宅、歴史と都市化への理解が深まりました。次回はどこにいきましょうかね。