この車だったらおいていいでしょ? GT-R開発責任者・田村さんと行く、ドイツ・ニュルブルクリンクの旅【3】
2016.06.1720年前、日本人は誰もいなかった
GT-R開発責任者、田村さんはニュルブルクリンクにひとかたならぬ思いを抱いています。遡ること約20年前。当時R33のプロジェクトに加わるかどうかという時期、ニュルブルクリンクで24時間の草レースをしていることを知っていた田村さんは、見に行きたくて行きたくてしょうがなく会社に申請。
会社側はそんなの知らん、いくなら勝手に行け(筆者意訳)ということで、休暇をとり自費でニュルブルクリンクへやってきたそうです。
(写真はイメージ、2016年のニュルブルクリンク24時間レース)
初めて来るニュルブルクリンク24時間レース、その雰囲気に田村さんは感動した一方、なにせ身寄りはありません。ドイツ人によるドイツ車のレース、誰ひとりとして日本人はいない中、日本人がのこのこ出かけていってもスーパーアウェイな環境です。
しかも天候はコロコロかわり、雨は降るし、夜は寒いしでとてもじゃないけど24時間観戦できる環境とはいえません。そんな中なんとか知りあいづて、親切にしてくれる人がいてなんとか寒い夜をしのいだそうです。
そこから20年。GT-R開発の現場を離れたときを除き、ニュルブルクリンク24時間レースには16回くらいはきているほどの大ファン。それだけにニュルブルクリンクへの畏敬の念を強くもっています。
ニュルブルクリンク24時間レースをひとことでいうと、ドイツ村で行われる壮大な草レース。昨今日本車がたくさん参加していますが、絶対に総合優勝争いをするような活躍を見せてはいけません。簡単にいうと「空気読め」ということです。いいところで入賞、6位前後で上出来という感じでしょうか。実際2016年はメルセデスの1-2-3フィニッシュ、途中BMWが食い込みましたが、メルセデス強しです。
我々だって、地元の祭りに乱入して、乱痴気騒ぎする外国人がいたら、眉をひそめるでしょう? それと同じです。一緒に盛り上げるのは良いけど、分をわきまえることが肝心。
(2016年 NISSAN nismoの観戦場所 race camp)
サーキットホテルの前に停める資格
20年来ニュルブルクリンクに来ている田村さんは、ドイツ車やドイツ車を育んだドイツを尊敬し、常に控えめな態度です。例えばこちら。
ニュルブルクリンクのストレート脇に隣接しているホテル・ドリント。いわばサーキットホテルなのですが、その車寄せは例えばアストン・マーチンやマセラッティなど高級スポーツカーのもの。別に専用ではないのですが、いわゆる不文律で一般車は所用が終わったらそそくさと尻尾をまいて退散すべき、畏れ多いところなのです。
「この車(GT-R)だったら、資格あると思うんだよね。ここに置いていいでしょ?」
いつか自分で作った車をここ、ドリントの車寄せに置きたかったという田村さん。最新にして最高レベルの量産スポーツカーであるGT-Rならここにおいておく資格はきっとあると思います。
ドイツ・ニュルブルクリンクへの尊敬の念と謙虚さと。その中でGT-Rは育まれていました。
(つづく)
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