自動車評論家森野さんのポルシェ911GT3事故死について(追記あり)
2016.04.14悲しい交通事故が起きました。自動車評論家の森野恭行さんが箱根ターンパイクでポルシェ911GT3(997型)を試乗中にコースアウト、激突死をしたとのことです。心より御冥福をお祈りします。
高級スポーツカーが公道で試乗中の事故、ということもあり批判やバッシングも多く、自動車を愛する一人の人間が亡くなったということに対して思慮に欠ける風潮に、心が締め付けられる思いです。
事故原因は「猛スピードを出していた」「運転をあやまった」と警察はするのでしょうが、本当にそうなのでしょうか。
事故の様子
事故車両の911GT3は痛ましいほどの車両の壊れ方、くの字に曲がり屋根は押しつぶされていました。
桜の木に横から当たっていたので当初スピンしながら横を向いて立ち木に激突してしまったのかと思ったのですが、車両の前部、左右のライトもふくめボンネット全体が壊れていることから、実際には前からガードレールに衝突、もぐりこむようにして逸脱、その後なんらかの原因、おそらくはガードレールの支柱にひっかかり右に回転しながらガードレールの支柱をもぎとり、左側から桜の木に激突。
その衝撃により車両は横転気味となり、ルーフの助手席側(右側)まで木による凹みを作り、車両はくの字に曲がって、いったん木にはりついた車両は重力で下にドスンとおちた、というものではないかと推測します。
「自動車評論家が事故死、ポルシェで木に激突」 News i - TBSの動画ニュースサイト
自動車評論家・森野恭行氏、ポルシェで事故死 ターンパイク箱根下りで、スピード出しすぎが原因?日本カーオブザイヤー選考委員メラ速報~めらそく 2ちゃんの感想・反応まとめ
実際目撃者情報によるとカーブを曲がりきれずに激突した、ということからも前からいってしまったようです。
【追記】カーブを曲がり切れずではなく、一旦内側のガードレールにぶつかってから、外側のガードレールをくぐりぬけ木に激突した
なぜ前からいってしまったのか?
後ろが重いポルシェ911だけにてっきりスピンしながらと思ったのですが、前からいったとなるともうリアエンジン、リア駆動というポルシェ911特有の問題ではなさそうです。
ひとつ気になるのは事故車両、左リアのタイヤがパンクしていること。前からコースアウトしたのに左リアがパンクしているのは、もしかしたら激突する前にすでにタイヤがパンクしていた可能性もあります。
また桜の季節で、花びらがたくさん路面に積もっていたことも注目すべき点です。もしかしたらこの桜の花びらに足元をすくわれたのかもしれません。
国沢さんはアクセルが戻らなくなった可能性を指摘しています。
森野さんの事故、無謀運転の可能性は低いと思う | 自動車評論家 国沢光宏
DBWはアクセルワイヤーと違ってトラブルは少なく(ほぼない)、謎が深まります。
911GT3 RSに乗っている経験からひとついえば、シフトダウンミスが挙げられます。
猛スピードで下っていったという証言がある911 GT3。速度は100キロとも200キロとも言われていますが、おそらくその中間くらいの150km/hでしょうか。この速度域はだいたい4速に相当します。
ゆるい左コーナーなのでブレーキを踏んで大きく減速する必要はありません。そこでヒール&トーでのシフトダウン、エンジンブレーキを効かせてコーナーへ入ります。この時4速から3速に落としたつもりが、シフトミスで5速に入ったとしたら。
エンジンブレーキが効かず、車はすっと思い描いたラインよりも外側、つまり対向車線側へと膨らんでいってしまいます。
【追記】内側のガードレールにぶつかっていることから、外側にはらんでいない
またはそれよりも前にブレーキが壊れてしまい、ブレーキを踏んでも速度を落とせなかったか。
そうでなければ、タイヤによるブレーキ痕も何もなく、吸い込まれるように桜の木に激突なんてしないんじゃないでしょうか。
本当のことを知りたい
あくまでもこれは推測にしか過ぎません。本当に知りたいのは、そこで何が起きたかです。タイヤの問題なのか、路面につもった桜の花びらでスリップしたのか、ブレーキが壊れたのか、それともシフトダウンミスなのか。もしくは53歳という年齢から突然の体調不良、気を失ったという可能性もなくはないです。
単純に「無謀運転」と片付けてしまうのは、まだ早いです。真相究明を深く望みます。
(追記:現場確認をした続編につづく 【続報】自動車評論家森野さんのポルシェ911GT3事故死について(現場確認)【ワンダードライビング】)