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ヤマハFZ250 PHAZER(フェーザー)1985年式 レストア記

1960年代風アメリカンマッスルカー。テスラ・モデルS 首都高速試乗レポート

2015.09.02

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私はEVが好きだ。むしろガソリンくさくて、オイルまみれになるエンジンは、臭いと汚れの面から敬遠している。そういう理由で大学進学も機械工学科ではなく電気電子高学科を選んだほどだ。

EVが好き

専門はコンピュータであったが、電気電子工学科の教養単位でモーターや三相交流、電磁気学といった高等教育は受けている。就職時は当時EVを手掛けていた東京R&Dの資料を取り寄せたくらい。

手軽に楽しめるラジコンはもっぱらモーターとバッテリーを使うEPだ。バッテリーをたくさん買い込み、充放電して、バッテリー管理をして...ああ、面倒くさい! というのを実感している。

日産リーフも発売前から試乗、発売後も走ったし、リーフのモーターシステムを使ったレーシングカー、リーフRCもステアリングを握ってテストコースを走った。他のEV、テスラ・ロードスターの爆発的加速も味わったし、BMW i3(レンジエクステンダー付)で高速道路も試乗している。太いトルクと静粛性の優れたモーターの特性はエンジンとは別モノで、トランスミッションのないスムースな加速感は爽快だ。

そして今回、IT業界で特に評判の高いテスラ・モデルSに念願かなって試乗することができた。

アメリカではアメ車

アメリカでレンタカーを借りるときは、必ずアメ車を選ぶようにしている。理由は明快で、アメ車はアメリカでしか体験できないこと、そしてアメリカの気候風土にマッチしているからだ。

ばかでかい排気量と低回転でのビッグトルク、オートマの組み合わせ。タイヤはダルダル、ブッシュはブワブワ、サスペンションメンバーごと動いているんじゃなかろうかと思うほどアローアンスが大きいが、路面が悪く、たまに穴が空いている市街地の道路や、郊外の砂漠のオフロードにはこのボワボワのサスペンションがたまらなくマッチしている、と思う。

一方のテスラ・モデルSはそんなアメ車像とは違う、シュッとしたデザインが目をひく。まるでジャガーかアストン・マーチンか、BMWと見まごうような流麗なライン。

タイヤもホイールもでかいので気付きにくいが、サイズは実に全長は5m、全幅は2.2mにも及ぶ。そう、ベンツでいえばSクラス、ポルシェだとパナメーラサイズで、立派なアメリカン・サイズなのである。

5名乗車でもラクラク加速

試乗は小雨が降る夜、首都高速で行った。別に首都高速を走りたかったわけではない、全幅2.2mの借り物のクルマを乗れるほど、都内の道は広くない。違法駐車に無法自転車、ウィンカーを出さずに車線変更をするタクシー、幅寄せされたら一発で側面衝突だ。5ナンバーサイズの170cmより50cmもマージンがない、と考えれば、神経をすり減らす一般道よりも、違法駐車も無法自転車もない高速道路に上がりたいと思うのも理解して頂けると思う。なにしろ夜で雨なのだ。

高速道路のETCゲートを通過し、合流のための短い加速車線でアクセルを踏み込むと0-100km/h加速 5秒台というテスラ・モデルSの実力が発揮される。

男性4名、女性1の合計5名乗車であっても、低回転で最大トルクを発揮するモーターの特性をいかして一気に加速、もたつくことは一切ない。

不足するブレーキ

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5名乗車といっても、テスラ・モデルSはオプションでシートを付ければ定員7名となるためフル乗車、とは言い難い。サイズも大きいが、問題となるのは車両重量だ。2トンを遥かに越える車両重量約2100kgに大人5名乗車のため、回生ブレーキが強力といわれるEVにも関わらず、高速走行ではまったくもって不足、空走感が強い。

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そのためフットブレーキに頼らざるを得ないのだが、見た目はゴツイ割に、タッチ、効きともに甘い。ドイツ車のようなカチッとした制動力は発生しないため、かなり手前から踏みこむ必要がある。

これは重い車両重量により慣性が強く、ブレーキ性能が不足気味なためだ。もちろん100km/h程度であれば別段問題はなさそうだが、最高速度225km/hを謳う自動車としてはかなりもの足りない。

バタつく足回り

首都高速の名物、特に雨の日に気になるのはあの継ぎ目だ。細かなスパンで金属製の継ぎ目がやってくる。これは直線に限らず、コーナーも同じであり、アスファルトではなく金属で、なおかつ摩耗が少ないために継ぎ目だけ相対的に盛り上がっている。ここを乗り越えるのはサスペンション性能が試される。

電子制御サスペンションを採用したテスラ・モデルSは自動的に車高や減衰力を調整する。しかしどうやらこの首都高速、しかもスリッパリーな雨の路面は苦手のようだ。

バタつくサスペンションでタイヤは路面から離れようとし、強大なモータートルクはスリップを誘う。滑ったり、グリップしたりと断続的にトルクがかかっているのが後輪から伝わってくる。

接地感のないハンドリング

後輪が接地していないが、前輪も相当なものだ。ステアリング・インフォメーションは皆無に近く、接地感がまったくない。つまり後輪はスリップし、前輪は接地感が伝わってこないため、雨の首都高という、接地感が必要な状況では「恐怖」だけがドライバーを支配する。

次々とやってくる首都高のブラインドコーナーで、ハンドルを切りこんでいくと不穏な動きだけが伝わってくる。どうやらアクティブステアリングか、レーンキープアシストなどが介入するのか、グリグリという妙なフィーリングでモーターの反力があるのだ。

フロア床下にバッテリーを配置したバッテリーミッドシップレイアウトは重量バランスに優れ、ハンドリングが良いかと思いきや、この電子制御の介入のせいで、爽快とは言い難い違和感のあるものだった。最初ステアを入れても曲がらない感覚、アンダーとは違う、なんというか、後輪が同相で内側に入っていく感覚があり、その後にようやく安定してコーナリング姿勢が決まる。

その間一切のステアリングフィール、接地感はないため、ハンドルを切るたびに、ストレスがたまっていく。

道はまっすぐでも直進しない

この4WS的な電子制御が悪影響を及ぼすのか、ブッシュが柔らかくサスペンションメンバー自体が動くのか、道が真っ直ぐでステアリングを真っ直ぐにしても直進しないことがあった。これでは安心して高速移動することができない。

驚いてはいけない、これがアメ車

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しかしこのフィーリング、精緻なドイツ車をイメージするからいけないのだ。これはアメ車アメ車アメ車。ここはROUTE66、ROUTE66。制限速度は60マイル/h、速度違反はヘリコプターで検挙されるから、オートクルーズを使って走行。そう唱えるとすべてが許容できる。

ステアリング・フィールに接地感が伝わらないのは、伝わっていちいち接地感が変化してたら気になって長時間運転できないから。

ステアリングが勝手に切れるのは、将来の自動運転のアップデートに備えてのこと。クルーズコントロールの元祖はアメリカだよ、アメリカが自動運転しなくてどうするの、という気概の表れ。

アクセル踏んだら、どーんと加速、どうだーー。
強大なモーターパワーは大排気量OHVエンジンに通じる。

未来のクルマかと思ったら、1960年代のマッスルカーだったのだ。

電費はどうなのか?

カタログによると航続距離420km、首都高速を20km走ったところ、走行可能距離は60km分減少。つまり3倍電費が悪かった計算となる。もちろん5名乗車で走ったのもあるだろうが、それにしてもカタログ値よりも 3倍悪くなるのは考えものだ。このペースでいったら、実測140kmしか走行できないことになる。

さすがにエコ運転をすればもう少し行くだろうが、それでも200~250kmくらいがせいぜいではないだろうか。

気になる充電時間

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テスラ・モデルSの最大のポイントは大容量のバッテリーを搭載している点である。今回試乗した70は 70kWhバッテリーを搭載した後輪駆動モデル。最大で90kWhを搭載したグレードが用意され、航続距離は528kmまで伸びるという。

しかし問題は充電時間だ。充電時間は電流が同じであれば電池容量に比例して伸びる。急速充電器であれば充電時間は短縮できるが、それでも30分間でようやく半分である。通常の充電器を使うと何時間もかかるのが現実だ。

デカくて重いバッテリーを大容量積んだことにより、重く、大きなクルマになってしまったのは当然の成り行きである。確かにアメ車としてはスモールサイズセダン、なのかもしれないが、軽自動車が新車販売の50%に及ぶ日本の国土を考えると、バカでかいとしかいいようがない。

そもそもなんでスーパーカー並みの加速力が必要なのか。上級グレードP85Dでは0-100km/h加速 3.0秒とフェラーリ、ランボルギーニ、GT-Rと肩を並べる。エコカーだから遅くていい、とは言わないが、いくらなんでもやりすぎである。

グローバライゼーションとローカライゼーション

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カリフォルニアのIT企業勤めやセレブたちが先進的、地球環境考えてる、EVかっこいい、とテスラ・モデルSも大人気である。しかしカルフォルニアはアメリカである。ちょっと内陸にいけばそこは砂漠である。アメ車はアメリカに最適化されているから、大陸横断しようとロングレンジ化した結果モデルSができた。

1980年代、アメ車が日本で売れないのは非関税障壁だといって、各メーカーにアメ車販売を押しつけた経緯がある。しかし各ディーラーがアメ車をおいても、売れることはなかった。なぜなら、アメリカメーカーは日本の国土、風土、使い方に合わせた日本仕様の小型車を作らなかったからだ。

日本は島国である。日本のクルマは陸路では日本を出ることはできない。せいぜいフェリーで4島を渡るくらいで、ユーラシア大陸や、アメリカ大陸へ渡って走行することはない。いくのは近所のコンビニ、スーパー、ショッピングモールである。ばかでかい、燃費は悪いアメ車が売れるはずがない。

アメリカのいうグローバライゼーションとは、アメリカのやり方を世界に押しつけることである。スターバックスやマクドナルドが全世界で共通なのは、グローバライゼーションの結果である。街に溶け込む様子はなく、派手派手しい看板がでかでかと掲げられ、ローカライゼーションはされていない。

一方で日本車がアメリカで売れた理由はアメリカ用のアメリカ仕様車を設計し、アメリカで製造したからだ。軽自動車をアメリカにもっていって、燃費がいいですよ、経済的ですよ、とは流石に言わなかった。もちろん外国の安全基準を満たさないという理由もあるが、体格に合わない、乗れないというのもあっただろう。

その結果、日本には導入されていない北米仕様車が独立して存在する。

テスラは「日本で売る唯一の問題はサイズと値段だけだ」と豪語するが、1980年代の非関税障壁時代とまったく認識が変わっていない。「サイズと値段」はもっとも重要なファクターである。

だからといって、テスラ・モデルSを否定する気はない。これはこれで立派なアメ車らしいアメ車だからだ。アメ車が好きな人にはたまらない、アメ車EVであることは間違いない。燃費が悪い、環境に悪いと後ろ指さされたアメリカン・マッスルカー好きには特にテスラ・モデルSに選んでほしい。

それ以外の人には、障壁が高過ぎる。非関税障壁ならぬ、使い勝手悪過ぎるだろ障壁である。やはりアメ車はアメリカで乗るのがよいのだ。

試乗メモ

試乗後すぐのメモ。

テスラ・モデルS 首都高速試乗メモ。

・加速がすごい。5名乗車でも難なく加速
・回生ブレーキが強い、ときいてたけど、高速域になると慣性の方がつよくあまり効かない
・だからフットブレーキを使うけど、全然きかない
・足回りがばたつく
・首都高の継ぎ目でタイヤが離れる、空転する
・接地感なし
・ステアリングインフォメーションなし。怖い。
・コーナリングはステアリングに何やらフィードバック? レーンキープアシスト? が効くようで、グリグリという妙なフィーリング。
・最初のステアを切りこんだとき、曲がらない感じがする。
・一度曲がっていけば安定してるけど、接地感がないのと、ステアフィールが皆無、でもグリグリしたなんかのアシストがきいてて気持ち悪い
・ブッシュが柔らかく、メンバー自体が横に動くようなバラバラな動き、直進しない
・総合的にみて、全部が全部、アメ車フィーリング
・未来のクルマかと思ったら、1960年代のマッスルカー的だった。なにこのOHV感。
・アメリカ人に繊細さを求めてはいけない
・ROUTE66をクルーズコントロールしてぼんやり運転するのが吉
・首都高1周で、航続距離60km分を消費。そんなに走ってないのに。
・航続距離公称500kmでも、おそらく250~300kmが実際。
・電池でかすぎ重すぎ、充電時間かかりすぎ。
・EVのよいところは、エンジン音がないところだけ?
・BMW i3はとことんBMWだったけど、これはやっぱりアメ車だったということでFA。

参考記事

ロングレンジEVの未来考察 【2020年以降の未来予想】10年後の自動車はどうなっているのか | FUTURUS(フトゥールス)

【悲報】電気自動車「テスラモデルS」を買った男性がバカだったと価格.comで泣く / やはりアウトランダーPHEVが最強か | ロケットニュース24


この記事を書いたライター

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のりものブロガー

野間恒毅

スーパーカーと美女が好き。 日々RR, FR, FFと駆動方式を選ばずドライビングスキルを磨き、ドライビングプレジャーを追い求めています。リターンライダーとして大型二輪免許取得、大型バイクに乗っています。ミニ四駆、ラジコン、ドローンなどホビーも幅広くカバーしボート。個人ブログはこちら(のまのしわざ


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