Audi A1 quattro 世界333台限定 左ハンドル 6速MT試乗レポート
2015.08.28久々のAudi試乗は Audiの中でもっとも小さなボディタイプながらも、Audiのもつクワトロをぶっこんだ、リトルモンスター、A1 quattro。しかも男の6速マニュアル仕様、左ハンドルで世界限定333台。この貴重な1台を今回高速道路~ワインディングまで主にウェット路面で試乗してきました。
奥さまでも運転できる寛容さ
乗ってみて最初に気付くのは、全体的に操作が軽いこと。まずDシェイプのハンドルは太めのグリップで握りやすく手に馴染み、重そうだと予想するも、とても軽いです。これなら奥さまでも楽々車庫入れできそう。
そしてクラッチを踏み込むと、これまた軽いです。渋滞でもペダルの重さは気にならないでしょう。奥さまでも楽々。
そして装着される6速マニュアルのシフト、R8に通じるアルミを使った高級感溢れるシフトノブは表面に滑り止め加工がされて手触りもよいです。こちらもチャカチャカ、軽くシフトできます。ほとんどオートマのスイッチ感覚なので、奥さまでも楽々。
ということで、操作系はすべて軽く、奥さまでもまったく問題ないです。
クワトロによる良好なハンドリング
走りだすと、そのホイールの大きさ、35扁平18インチタイヤから想像できないほど乗り心地がよいです。高速道路の継ぎ目が連続するところでは多少ピッチングが出ますけれども、とにかくスムースな動きで、足回りがバタつきません。ちなみにタイヤはブリジストンポテンザ S001、225/35R18 POTENZA S001。サスペンションはKW(カーヴェー)により、10mm程度車高ダウンさせてます。
ハンドリングもハイパワーでフロントヘビーから想像するアンダーステアは皆無、ロールしながら頭を入れて曲がり、立ち上がりでアクセルをONにすると4輪を使って曲がりを継続します。
フロントがストラットサスペンションなのでどうしてもロールしていくとタイヤの外側に荷重がかかってしまい、ステアリングフィールが曖昧になりがち。そういったテイストはどうしても出てきますけれども、アクセルをONにすると前輪だけで引っ張るFFと異なり、リアも使ってトラクションをかけるので、その旋回姿勢を維持して立ち上がっていけます。
このおかげでウェット路面でも接地感があり、タイヤはグリップしていました。
FFの、特にオープンデフの場合、イン側がホイールスピンしてフロントが暴れてトルクステアが伝わり、トラクションコントロールが介入するような場面でも、まったくもってスムース。ウェット路面で試したので、余計顕著です。
荒々しいパワーとエコ運転を両立
エンジンは2.0L TFSI エンジン、通常は200馬力前後を発揮するユニットですが、S3と共通で、ハイプレッシャーターボとなり、250psオーバーの252馬力を発揮、トルクは345Nm。
A1の通常モデルと同様、重量バランスを改善するためにバッテリーはリアトランク部に設置、BOSEサウンドシステムと一緒に収まります。
エンジンフィールはいまどき珍しい、ターボラグを感じるいわゆるどっかんターボ。3000回転くらいまではアクセルを踏んでもほとんど反応せず、3000回転前後からパワフルになり、アクセルにツキが出てきます。
そして5000回転からレッドゾーンまでの7000回転は一瞬で吹け切り、タービンのシューーという音がまさにターボエンジンらしいサウンドを轟かせます。気持ち的には4000回転から7000回転をキープしてシフトチェンジしたいところ。
しかしですよ。
メーターパネル内にはシフトをガイダンスする Efficiency Programなるものがあり、このシフトガイダンスに従っていればもっとも「効率よく」走ることができます。
その指示とはエンジン回転数1000回転以上、2500回転以下をキープするもので、その間になるようシフトアップ、ダウンの指示がきめ細かく出ます。
エンジンとしては1000回転以上回してればノッキングも起きず、問題ないようですがアクセルレスポンスはまったくありません。あえて全開にしても加速しないだけで問題なし。このへんはエコカーのDBW制御とまったく一緒、パフォーマンスモデルなのにエコカーみたいです。
このシフトガイドに従ってシフトチェンジをするのは、かなり忙しいです。1速で発進したらすぐ2速にアップしろという指示が。そしてちょっとでも加速が弱まると平気で2->4, 3->5, 4->6と一段飛ばし指示がくるんです。
このギア飛ばしシフトはまるで昔のタクシーのよう。
昔のタクシー運転手はよく1速でブーーーーンと引っ張って、3速に入れてましたからね。うちの親も営業車に乗ってたころはよくやってました、なんでと聞くと、その方がシフトの回数が少なくなってラクだから、という答えだったような。
それはともかく、とにかく効率のよい運転をしようとするとシフトが忙しいんです。そう考えるとオートマ、S-tronicがあっているのでは? と思うほど。
この部分をオーナーにきいてみると、
「街中は3速固定で乗る」
「交差点でも3速で曲がる」
「発進は2速」
とのこと。止まりさえしなければ確かに3速1000回転でも走れる粘り強いのがいいところ、、、ってなんかハイパフォーマンスモデルなのに不思議です。
燃費
燃費は高速、山道こみで8.5km~9km/Lでした。結構なハイペースと、シフトガイダンスに従ってのエコ運転両方をやっているので、まあまあ平均的だと思われます。250馬力の4WDとしてはかなりいい方でしょう。
気になるところ
もっとも気になったのはペダル位置、特にアクセルペダル。
ペダルは全体的に右にオフセットされており、アクセルペダルはセンタートンネルの際にあり、小さめかつ上についてます。
そのせいで、マニュアル車の必須テクニック、ヒール&トーをしようとしても、かかとでアクセルペダルが踏めないのです。
写真では頑張ってやっていますが、ここでアクセルを踏もうとしてもアクセルペダルには小指側の足が届かない、滑り落ちてペダルは踏めません。
もっとかかとを回転させ、それこそ45度ほど捻ると今度はセンタートンネルにぶつかってしまいます。
結論からいうと、ほぼヒール&トーできませんでした。もう少しアクセルペダルが長いか、下から生えているといいんですけどね。
まとめ
全長4m未満のコンパクトカーに250馬力 4WDを押し込んだスーパーマシン。でも見た目はエレガントでプレミアム、このジキルとハイドの二面性を持たせるところが Audiらしいですね。
S1 quattroやTTの開発ベースとなったともいわれる A1 quattro、限定生産ということもあり生粋のアウディストのための、酔狂な一台といったところでしょうか。
なおこちらの車両、FOR SALEとなっているので気になる人はぜひ、ご連絡下さい。
参考記事
アウディA1クワトロ2.0 TFSI - 初試乗 | オートカー・デジタル - AUTOCAR DIGITAL