アップダウンの激しいワインディングでRRのハンドリングはどうなのか
2015.04.29RRはフロント荷重が極端に少ないため、アンダーステアが強くなる、直進安定性が悪いなどデメリットもよく指摘されています。実際様々な理由から現在RRを採用する代表格はポルシェ911。
このポルシェ911はスポーツカーとして世界に認知されており、今なおベンチマークとされています。RRがオールドファッション、懐古趣味なだけではなく、人々を魅了する何か理由があるに違いない、そう思って日々RRのハンドリングの探求をしてきましたが、今回はアップダウンの激しいワインディング(低中速)でそのハンドリングをチェックしてきました。
上り
タイトなコーナーが連続する、キツイのぼりでは、荷重が抜けやすいフロントの反応が気になります。しかし実際にはコーナー手前でちょんブレしたり、アクセルオフするのでその分荷重がかかり、ハンドルを切りこんでいくときちんと反応し、ヨーモーメントが生まれます。ヨーが生まれたら、あとはロールとフロントグリップでそのコーナリングを維持、さらにアクセルを入れることでリアで旋回を助けることができます。
下り
圧巻なのは下り。ブレーキがフロントだけではなく、リアできっちりと効くおかげで安全なのはもちろん、何もしなくてもフロントに荷重がかかっている状態なので、舵を入れるだけですぐさまフロントが反応し曲がっていきます。そしてさらに舵を入れていくとさらに曲がっていき、S字の振り返しもフロントが軽いおかげでその切り替えの軽やかなこと。
RRが速いわけ
コーナリングスピードを高く保てるために、結果コーナー手前であまりブレーキを踏まなくてもいいことに。そのためブレーキの負担はさらに軽くなり、アベレージスピードは高くなります。
フロントに重いエンジンがあると、慣性の法則でどうしてもフロントがまっすぐいこう、曲がらない方向にいってしますます。
逆にリアに重いエンジンがあると、今度は重心を中心に重いエンジンが慣性でまっすぐいこうとすると回転する力=ヨーモーメントになります。この回転力が旋回性能を高めてくれるわけです。
この旋回力が高過ぎるとクルンとスピンしてしまうわけで、それをフロントを弱めて逃げを作る、つまりアンダーステア気味にセッティングするという方法もあります。一方でリアが逃げなければいいわけだからとリアをグリップ方向に振るのもアリです。それにはリアタイヤを太く、トレッドを広げればいいということになり、911はこちらの方向です。
911の特徴・重心は低く
もうひとつ大事なのはエンジンの高さ。タイヤを太く、トレッドを広くすると同時にエンジンは低く、そのために911は水平対向エンジンをドライサンプ式にして低く搭載することで、低い重心に収めています。これによりリアの振りだしを抑え、安定志向にしているのです。
その結果、峠の上りでも下りでも、抜群のハンドリングとコーナリングスピードをキープできるわけですね。おみそれしました。
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