RRというパッケージングと未来
2013.01.20世の中的にはとてもマイナー、乗用車として今日ではポルシェ社の 911、三菱アイ、スマートくらいしか採用例のないRR(リアエンジン・リア駆動)のパッケージング。廃れた理由はいくつもありますが、本当にRRは問題のあるレイアウトなのでしょうか。
【RRの欠点】
・運動性能、ハンドリング
FFやFRと比較して、エンジンが後ろにあることでリアヘビーとなり、万が一後輪が滑った時のドライビングが一般人には難しいと言われます。
・荷物の積載性
後ろにエンジンがあるためトランクが作りづらく、積載量に問題があります。
・製造上の問題
エンジンが後ろにあり騒音源となるため、車室と隔絶するための構造体をしっかり作りこむ必要があります。
・メンテナンス性の問題
フロントボンネットのように大きなメンテナンスリッドを作ることができません。そのためメンテナンスはエンジンを下して行うことが多く、工賃がかさみます。
【RRの長所】
リア荷重が高いため、トラクションが抜群です。加速もよし、減速もよし。スポーツカーとしては理想的です。
MR(ミッドシップ・リア駆動)と比較すると室内長がとれること、エンジン、排気管が後ろに集中することで騒音が後ろから遠ざかる方向にいき前席のドライバー、ナビゲーターは快適なこと、フロントにエンジンがないことから衝突安全性の設計自由度が高いことなどがあげられます。
ハイパワー化、効率化の波でエンジンが水冷式に改められた結果、冷却効率を高めるためラジエータをフロントに配置するとなると、どうしてもフロントエンジンが有利。大衆車はフロントにすべて集中できるFFへと流れていきます。
そしてふと気付くとRRがほとんどなくなってしまったという状況。
ポルシェ社の911は大衆車ではなく、スポーツ・クーペなのでRR独特のハンドリングを活かしたスポーツカーとしてのスタンスを持つことになったわけですが、改めて乗ってみるとこのRRレイアウトは意外といいんじゃないかということ。
昨今の車両制御技術、DBWやDSCがあればリアヘビーによるトリッキーなハンドリングも緩和されるでしょう。そして歩行者保護のためボンネットが高くなりがちなフロントエンジン車に対し、フロントにエンジンがないことでボンネットフードを下げることができ、デザインの自由度も高いです。
昔、バイト先の先輩が930ターボに乗っていた時のこと。雨の中央道でスピンし、前後を数百メートル、ガードレールにぶつけながら止まり930ターボは全損だったそうですが、乗員はまったくの無傷。その時にその先輩は
「ポルシェは安全、今後も絶対にポルシェに乗り続ける」
といって次の911を買ってました(たしか964ターボ)。
あくまでも一つの事例ですが、とても興味深いです。
RRの未来
RRが整備上問題なのは何かあるたびにエンジンを下ろさなければならないこと、そしてその時はまずラジエータホースを外さなければなりません。つまりこれが面倒くさい=工賃がかかる原因です。
とはいえ昨今ではエンジンの信頼性もあがり、下から整備できないようなことはそんなに多くないことを考えるともはや開き直って上から整備できなくてもいいのでしょう。最新の911、991型ではもはやエンジンフードは狭小、オイル類しか入れられなくなってます。
時代は移り変わってモーターの時代がすぐそこまで来てます。そうなるとモーターはラジエータ不要、もっとも重い重量物はエンジンではなくバッテリー、となるとモーターは再びリアにおかれるのではないかという予感と期待です。
911がモーターになる、というのは想像もつきませんけど、その時はすんなりとRRの電気自動車を受け入れられるのかもしれませんね。
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2輪駆動・電動バギーはRRが主流。