セルモーター(スターター)不調の原因調査:997メンテナンス記録
2014.07.16セルがかっちん、と鳴るから「セルカッチン」
セルモーター(スターター)不調「セルカッチン」:997メンテナンス記録【ワンダードライビング】
修理に先立ち、原因調査を行いました。というのもセルモーター(スターター)が原因ではなくそこに至るまでの配線やもっと厄介なのはコンピュータ制御の問題である可能性もあるから、まずは切り分けです。
ジャッキアップ&アンダーカバー取り外し
エンジン以外ほぼすべてがアンダーカバーによりカバーされている911の底面。そのためセルモーターが付いているミッションケースも台形のアンダーカバーが装着されているのでこれを取り外します。
アンダーカバーにはデフ冷却用のダクト(空気取り入れ口)がついています。
セルモーターカバー取り外し、電圧チェック
ミッションケースの右側、上の方にセルモーターは装着されています。黒い樹脂製のショート防止用カバーがあり、のぞいても分かりにくいです。
樹脂カバーを外し、端子にテスターを接続。ここはショート注意、ショートした瞬間に配線が燃えて車両火災につながります。
そのため厚い樹脂カバーがついているというわけです。
セルモーター(スターター)型番
セルモーターの型番は 996 604 107 00 。2010年式以降の 997 GT3 RS Gen2では末尾が00から01へと変わります。
BOSCH製で、BOSCH型番は 0-001-115-011 です。
セルモーターの動作原理
以下が参考になります。
キーを回してもセルが回らずエンジンがかかりにくい。 - 国産車 - 教えて!gooトヨタ車では昔からよくある症状ですが、10万km近くなるとセルモーターが「カチッ」としか言わず中々掛からなくなります。バッテリーを交換しても同じ様でしたら十中八九同じ原因ですので修理屋に出してください。
私が過去乗っていたEP71スターレット、130系クラウンワゴン、AE90系カローラワゴン、今の職場のすぐ裏に住むお客のUCF11セルシオ、KZN130Wハイラックスサーフ、全てそうですが、セルモーターの「歯」が潰れてフライホイール(リングギヤ)」に咬む事が出来ずにカチカチ言います。
詳しく説明すると、まず仕組みとしてセルモーターの「歯」は普段引っ込んでいて、キーを捻ると電磁石により飛び出してリングギヤと噛み合い、目一杯飛び出たところで電気接点が接触して大電流が流れセルモーターが廻ります。
さらに、エンジンというものは停止する際、どこかのシリンダが圧縮行程になっているところで止まる為、リングギヤの円周上、4気筒なら2箇所、6気筒なら3箇所、常に同じ箇所で止まる事になります。
エンジンを掛ける際も常に同じところでギヤが噛む事になりますが、セルモーターの「歯」がギヤに噛み易い様、お互いの「歯」の対面する面を「山型」にカットしてあり、この「山」同士がぶつかる事によって「歯」同士がズレ、キチンと噛む事が出来ます。
ところが長期使用により「山」が潰れ、丸く、或いは平たくなってしまい、「歯」同士がぶつかっても互いに逃げる事が出来ず、セルモーターの「歯」が飛び出し切れない為接点が接触せず、結果セルモーターが廻りません。こうなったらセルモーターの「歯」を交換するしかありません。「歯」だけ交換出来ればイイですが現実的にはそっくりリビルト品交換になると思います。
先に書いたハイラックスの場合、セルモーターのリビルト品が欠品だったので暫定的にセルモーターの「歯」をサンダーで切り直したところ、半年持ちましたがやはり再発しました。ちなみにこの車のリビルト品で4万ちょっとしました。ご質問のガソリン車と同じ部品か判りませんが。
原因はセルモーター自身
この日はセルの調子がよく、あまり「セルカッチン」が再現しませんでしたが、再現したときテスターがふれて10V以上電圧がきていることを確認。つまり配線やコンピュータ制御の問題ではなくセルモーター自身、電磁スイッチの問題ということが分かりました。
セルモーターの修理、交換が必要ということで今回の確認作業は終了。
次回、セルモーター交換へと続きます。
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