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ヤマハFZ250 PHAZER(フェーザー)1985年式 レストア記

BMW i3(レンジエクステンダー装着車)試乗レポート(4)理想のクルマを新しく創造する

2014.05.14

BMW i3に乗って分かったのは、これは新しい乗り物だ、ということです。つまりこれまでのエンジン車のエンジンをモーターに置き換えたものではなく、新しく乗り物を発明しているのです。

そうなると「乗り物とは」というそもそも論に立ち返ります。

乗り物とはこうあるべき

という哲学です。この哲学があるか、ないかで製品の真贋が問われます。

理想のクルマを新しく創造する

確かにすでにあるエンジン車のエンジンをモーターで代替するのは簡単です。エンジン車は100年の歴史をもち、成熟した技術です。しかしエンジンであるがゆえの呪縛もあるはず、あまりにも当たり前になっていて我々がすっかり忘れていた非常識の常識があるのです。

例えばトランスミッション。

エンジンが1000回転から6000回転までしか回らず、しかも低回転では馬力がないためにそれを補うのがギア、トランスミッション。この構造物が意外に大きく、重たく、しかも最近はCVTにツインクラッチだと複雑、さらには冷却を考えなければならずとエンジン以上に面倒な物体。

EVはそのトランスミッションが不要なので、レイアウトが自由に。だからこそRRという一度はエンジン車のスタンダードであったものの水冷化の流れで廃れたレイアウトを再びとることも可能なのです。

BMWの哲学とは何か、i3に乗るとそれが垣間見えます。

そのひとつがレスポンス、アクセルレスポンスです。

過敏とも過激とも思えるアクセルレスポンスは、実はエンジンでは実現できない、しにくいもの。アクセルをあけたときの俊敏な加速感、これはクルマというよりももはやリッターバイクに近いです。

エンジン車はどうしてもその自重と回転数をあげていかないと出て来ない馬力、適正なギア選択といった歯がゆさがありますが、シンプルにモーターに(減速はされているけどほぼ)直結された駆動輪のおかげで、アクセル=加速がタイムラグなく実現できているのです。

そしてアクセルオフしたときの強烈な回生ブレーキ。前荷重をアクセルで作れ、リアに制動がかかることでクルマが安定するというのは理想的な動き。

そう考えて行くとタイヤサイズの謎も解けます。ようはこれまでのタイヤというのは、エンジン車に最適化されたサイズだったということです。

タイヤを幅広にすれば安定する、グリップが増す、でも走行抵抗は増える、燃費は悪くなる、これは当然のことです。じゃあタイヤを大きくしよう、しかしそうすると低回転で馬力のないエンジンでは回しきれないし、効率が悪く燃費も悪くなる、ということでこの選択肢はなかったわけです。

ところがほぼ0回転で最大トルクが出せるモーターにはまったく関係のない話。むしろトランスミッションがなく、回転があがるにつれトルクが下がるモーターは最高速度が伸びないことの方が懸念点。その点からいっても最高速が稼げる大径タイヤは願ったりかなったり。

モーターだからこそ実現できる理想の車。それがアクセルレスポンスにも表れているのです。

ふんわりアクセル? ばかいってんじゃねえ、モーターはそう使うもんじゃねえよ

という職人のべらんめえ口調が聞こえてきそう。だからDBW化でスロットルコントローラに乗っ取られた我々のアクセルコントロールの自由をこのモーターで取り戻すことができたんです。

EVだからこそ出来ること、EVにしかできないこと。それがこのアクセルレスポンスなのです。

モーターだからこそ実現できること

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トランスミッションがないモーターはエンジンと比較してコンパクトに搭載可能。だからリアトランクの下に置くことが出来ました。右側の空間はレンジエクステンダーが収まるスペースです。

見ての通りモーターは左側、デフは真ん中で等長ドライブシャフトが左右輪を駆動します。

何がビックリするってまずこのフレーム。アルミで作られたフレームはモーター、サスペンション、センターの床下に搭載するリチウムイオンバッテリーを含めて一体化してシャーシを構成。

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この軽量で低重心のシャーシの上に、さらに軽量のカーボンシェルを載せてキャビンを構成しました。

つまりどういうことかというと、走りのコンポーネントと、居住性、実用性を完全に分離しているということです。

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今までエンジン車のモノコックフレームといえば、フロントセクション、フロア、サイドパネル、ルーフ、リアセクションなどから構成され、それぞれが合わさって剛性を保つために製造上の制約がありました。

しかしこの i3の構造はそもそものシャーシ自体がフレームとなって剛性をもっており、キャビンは上に載せただけ。しかもカーボンシェルで安全性を確保。この構造であればフレーム、ドライブコンポーネントを共通でキャビンだけ載せ替えることも可能。ええ、可能性でいえば、これをベースにもっと車高の低い2シーターだって作ることができるはずです。

低重心高剛性、運動性能と居住性、安全性の両立が新しい技術で実現できたのです。これはエンジンを使っていたのでは一生できなかったことでしょう。

よりミニ四駆的、ラジコン的。ボディバリエーションの可能性

実はこのシャーシとボディが別々、というのはEVの先駆者、ラジコンやミニ四駆ですでに実現できていることです。そう考えると非常に自然な成り行き。i3が売れることでi3のボディバリエーションが増えるかもしれません。2ドアクーペ、ステーションワゴンタイプ、SUVなどなど。当然オープンカーもあってよいでしょう。MINIがエンジン同じでボディバリエーションが増えたように、i3もその可能性があるということです。

それもこれも、エコカー、ハイブリッドカーのイメージとは一線を画す闘犬ブルドッグだからこそ。自分の意のままに操れない鈍重なEVであったらそんな期待もしませんが、戦えるクルマだから未来が拓けるのです。

まとめ

モーターショーで見たときにはそのデザイン、ディメンジョン、タイヤの細さから

単なるエコカーか

とまったく気にも留めなかった i3。ところが実際にはそのイメージを覆すほど衝撃的でした。鋭敏なアクセルレスポンス、俊敏な加速、意のままに操れるハンドリング。これが本当にエコカーなのか、くねくねと曲がる首都高速をスポーティに走っても、湾岸線を高速巡航してもそのピシッとした走りは盤石。それを支えるのが軽量で高剛性のシャーシとボディ、アルミフレームシャーシとカーボンモノコックキャビン。

これだけアクセルをあけても、使うのは充電した電流だけ。レンジエクステンダーの恩恵で航続距離は電池のみの100km前後から200km前後とほぼ倍。我慢してエコ運転すればもっと伸びることでしょう。

でもこの i3に限っては我慢することなんてありません。むしろ流れをリードするほど「走る歓び」を堪能する方が似合っています。電費よりも、走りの質を問うた方がいいんです。

それが実現できている理由のひとつに、BMWの走りへのこだわり、哲学があります。もともとBMWは航空機エンジンのメーカーですが、自動車、二輪車メーカーとして移動体がどうあるべきか、その哲学が確立して、しかもそれが全社員が、開発者が共有していることが伺えます。

それは何なのか、それはBMW MINIのキャッチコピーに表れています。

自動車にいちばん必要な装備とは何か? ドライビング・プレジャーでしょ! - [の] のまのしわざ

世の中に自動車が誕生して以来、その乗り心地は日々改善されてきました。今ではエンジン音は抑制され、サスペンションは快適になり、高速で走ってもますますゆっくりに感じられるくらいになりました。 MINIも、例外ではありません。高速走行時でも、路面の凸凹を感じさせないことはとても快適だと、知っています。でも、それがすべてではない、とも思っています。もしも快適性、静粛性を追求することがドライビング・プレジャーを低下させてしまうとしたら? このことはMINIにとって、そのまま受け入れるわけにはいかない問題でした。

つまりエコカーであっても、ドライビング・プレシャーを低下させることは受け入れられないということです。むしろEVであるからこそ得られるドライビング・プレジャーがあるのではと果敢に挑戦した結果がみてとれます。

ずんぐりむっくりした見た目と細いタイヤに惑わされるなかれ。

その中には闘志がみなぎっているのです。


(終)


この記事を書いたライター

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のりものブロガー

野間恒毅

スーパーカーと美女が好き。 日々RR, FR, FFと駆動方式を選ばずドライビングスキルを磨き、ドライビングプレジャーを追い求めています。リターンライダーとして大型二輪免許取得、大型バイクに乗っています。ミニ四駆、ラジコン、ドローンなどホビーも幅広くカバーしボート。個人ブログはこちら(のまのしわざ


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