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ヤマハFZ250 PHAZER(フェーザー)1985年式 レストア記

BMW i3(レンジエクステンダー装着車)試乗レポート(3)そのクルマ、凶暴につき

2014.05.13

まるでブルドッグ。

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BMWの伝統の豚鼻はそのままに、ワイドなボディに背の高いデザイン。この塊感は闘犬ブルドッグのよう。そうなのです、BMW i3は単なるエコカーではなく、闘うエコカーだったのです。

細くて大きなタイヤ

このブルドッグ・デザインを実現した大きな立役者はこの巨大なホイール&タイヤ。実に19インチホイール。フロント 155/70R19、リア175/60R19のタイヤ、ダンロップ ECOPIA EP500 ologicを装着。

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(▲フロントタイヤ)

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(▲リアタイヤ)

大きなタイヤ・ホイールの割に、幅はまったくもって細い、か細いといってもいいフロント155、リア175。これは軽自動車サイズ、三菱iと同じなのです。

しかも扁平率は70に60と、いまどきの軽自動車ですら55扁平を履く時代によもやの時代錯誤かと思いきや、これには理由があるのです。

ブリヂストンの新技術「ologic(オロジック)」が初の実車装着 | ニュースリリース | 株式会社ブリヂストン

「BMW i3」が持つ高い車両性能を十分に発揮するには、従来のタイヤの枠を超える全く新しいタイヤコンセプトが必要でした。そのため「BMW i3」新車装着タイヤには、タイヤサイズをこれまでに無かった狭幅・大径化することで、低燃費と安全性を高次元で両立する新技術「ologic」を搭載しています。タイヤの大径化により接地部分の変形を抑制し、車両の燃費向上に関わる転がり抵抗を低減するとともに、狭幅化により走行時の空気抵抗も低減しています。更に、タイヤ進行方向に長い接地形状と専用パタンやコンパウンドを組み合わせることで、ウェット路面や乾燥路での高いグリップ性能も確保しています。

細いタイヤは転がり抵抗、空気抵抗が少なく燃費に有利ですが、十分なグリップが確保できません。そこでタイヤの大径化、自動車というよりももはやオフロード、クロスカントリー用かと思うほどの外径の大きなタイヤを採用したのは、縦方向の接地面を広げ、グリップを上げようという工夫です。

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大径タイヤはデザイン面でも有利。フロア面が高いRRのEVにあって、それを余り意識させません。ふっと見た時にまとまり感があります。

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同じEVのリーフと比べてもそのタイヤホイールの大きさは目を引きます。遠近法の問題だけでなく、実際にでっかいのです。

その車、凶暴につき

闘犬ブルドッグ。タイヤの細さとEVというエコカーイメージが先行していましたが、乗ってみてビックリ。アクセルにちょっと足をのせただけで、全開加速なんです。

実際にはアクセルは全開にしていませんが、100回転から最大トルク250Nmを発揮するモーター、そしてピュアEVでは1260kg、レンジエクステンダー付でも1390kgという軽量ボディで、流星のように加速していくんです。え、え、え!

よたよたと走るガソリン車をおいてきぼりにして、あっという間に異次元ゾーンに入るので慌ててアクセルを離すと、今度は強烈な減速G、そうです、あの回生ブレーキってやつです。

この回生ブレーキの効きが強烈、そんじょそこらのエコカーの「ふんわりブレーキ」とは真逆、その効きは回転数が低く、速度が低下するほど強くアクセルオフしているとそのまま回生ブレーキで停止できてしまうほど。つまり加速から停止までアクセルひとつで終わってしまうのです、フットブレーキは飾りでしょうか?

そのため一定の減速G以上になるとフットブレーキを使わなくても追突防止のためにブレーキランプが光るという仕組みも入っているほど。

この加速感はいわば、1.6リッターターボで全開状態での走行、アクセルオフによる減速は一気に1速までシフトダウンして強烈なエンジンブレーキをかけてさらにフットブレーキをかけているようなもの。とにかく、、、

エコカーの走りじゃない!

逆にいうとアクセルペダルへの反応が凶暴すぎて、ギクシャク運転になりがち。とくにペダルの力の抜き具合は慎重にしないと、同乗者の頭が前後にガクガク、そのまま乗り物酔いに直結しそうなほど。

本当に細いエコタイヤなの?

見た目とのギャップはアクセルだけではありません。タイヤもそう。フロント155にリア175幅と細くて不安感のあるタイヤにも関わらず、イメージとは異なりきっちりと踏ん張りつつ、安心感があるのです。

首都高速の環状1号線、まがりくねった場所でハンドルを入れてアクセルをオンオフしながらコーナリングを制御すると、これまたイイ感じで曲がっていくわけです。まさにこの軽快なハンドリングはRR由来のもの。

リアヘビーなRRの悪癖である、フロント荷重の少なさ、プッシュアンダーの強さはセンターに重いバッテリーを積むBMW i3には無縁のもの。むしろ50:50(ピュアEV車)と言われる重量配分で、ミッドシップのようなバランスのとれたコーナリングを披露してくれるのです。

そのため、あの首都高速をひらりひらりと軽快にドライブ。これが、エコカーの走りなの? タイヤは155サイズなの?

矢のように真っ直ぐ進む

加速性能、そしてワインディング性能は申し分ありません。では高速巡航性はどうか。

コツンー、コツンー

ビュー、ビュー

高速道路の継ぎ目に横風。外乱が大きな湾岸線を走ってもその走りは盤石そのもの。これはまさしく高い剛性をもつボディと軽量なサスペンションによるもの。剛体が矢のようにまっすぐ進む安心感。目線はミニバンのように高いのに、横風は1550mmの高い車高によって受けているのに、バッテリーを床下につんでおり、アルミフレームシャーシ、そしてキャビンは超軽量なカーボンモノコックのおかげで重心は低く、ふらつきは最小限に収まってしまうのです。

これが全長4mの車なのか...

ポルシェ911カレラSを凌ぐ追い越し性能

そもそも何が凄いって追い越し加速。スペックでいえば 80kmから120kmまでのフレキシビリティ、これがまた早いんです。ぐわっときますよ、ぐわっと。

BMW i3 : Technical data

これはもうエコカー、ハイブリッドカー全般に対する文句なのですが、この手の車はとにかく加速がノロい。高速道路で追い越し車線に加速せずに横移動で入ってくるわけですよ、どういうことかというと動くシケインでブロック状態。

本来追い越しというのは走行車線で助走をつけ加速してから追い越し車線へ車線変更、「速やかに」前走車を追い抜いて、走行車線に戻るもの。

ところがエコカー、ハイブリッドカーはこの「速やかに」ができないんですね。そのためか「速やかに」車線移動してから「ノロノロと」加速を開始、遅いもんだから抜くまでに何十秒も何分もかかるわけです。すると追い越し車線の渋滞がはじまってしまうというわけ。

BMW i3がそのへんのエコカーと違うのはこの部分。まさに「速やかに」加速、追い越しを完了して走行車線に戻るのがスムースにできるんです。

スペックでいうところのフレキシビリティ、80-120km/h加速性能は、

・4.9秒(レンジエクステンダー装着車 5.5秒)

・8.2秒 (主要諸元・仕様 - ボクスター
・5.9秒(主要諸元・仕様 - 911カレラS

とボクスターを軽く凌駕、911カレラSをも上回るというのですから驚きです。これが高速での追い越しが俊敏な理由。

エコカーとは名ばかり、その実はスポーツカーと遜色ありません。

戦うエコカー

シグナルグランプリ、追い越し加速での加速力はまさにハイパーダッシュモーター。そしてこれを支えるのが一見センシティブに感じるアクセルペダルです。

アクセルペダルのストロークは一般的なガソリン車と比較すると半分程度しかないイメージで、踏み込むとあっという間に底付きします。ガソリン車を10とすると5くらいしかありません。

この5つのアクセル開度を走行中の状態で分類すると

・5 全開
・4 かなり加速
・3 加速
・2 コースティング(ほぼ等速)
・1 かなり減速(回生ブレーキ)
・0 凄い減速(回生ブレーキ)

といったイメージ。実際には1, 2, 3くらいのアクセル開度をうまく使い分けてスムースに走るわけですが、エコカー、ハイブリッドカーのスロットルコントローラのなまったアクセルに慣れてバタバタしたラフなアクセルワークしかできない人は相当ギクシャクした運転になります。
ちなみにゼロ発進時のアクセル開度との関係は

・0 停止
・1 加速
・2 相当加速
・3 ほぼフル加速
・4 フル加速
・5 同上

ですから余計そうです。

i3の美点はアクセルのストロークだけではありません。その俊敏なレスポンスです。

つまりアクセルをぐわっと開けた瞬間に立ち上がるトルク、このレスポンスがまさにレーシングエンジンのあれを彷彿とさせるのです。

この鋭いレスポンスはNAの高性能エンジンを彷彿とさせて、コーナリング中のアクセルコントロールが自由自在。これはRRというフォーマットにも非常によく合っています。

つまりアクセルコントロールでピッチングを制御し、フロントとリアの荷重のかけかた、コーナリング中の車の向きを制御できるのです。しかもドラスティックに。

また回生ブレーキのかかり方も秀逸です。というのも回生ブレーキはリアにかかるから。

リアにブレーキがかかる、つまり後ろから引っ張られるブレーキはクルマを安定させる方向です。回生ブレーキは単なる発電と制動力だけではなく、姿勢制御に積極的に使えるのです。

BMW i3がFFではなくリアモーター、リア駆動(RR)にした理由がなんとなく見えてきました。彼らは単なるエコカー、EVを作ろうとしたのではないということが。

(つづく)


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のりものブロガー

野間恒毅

スーパーカーと美女が好き。 日々RR, FR, FFと駆動方式を選ばずドライビングスキルを磨き、ドライビングプレジャーを追い求めています。リターンライダーとして大型二輪免許取得、大型バイクに乗っています。ミニ四駆、ラジコン、ドローンなどホビーも幅広くカバーしボート。個人ブログはこちら(のまのしわざ


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