BMW i3(レンジエクステンダー装着車)試乗レポート(2)インテリア編
2014.05.12
BMWのピュアEV、i3のインテリアを見ていきます。まず目につくのがドアの仕組み、両側観音開き構造です。
観音開きドア
ドアの構造はまんまMINI Clubmanの構造と同じ。フロントはサッシレスドア、リアはハメ殺しのウィンドウとなっています。
ドアを倒すノブ、リアドアを開くノブの場所もほぼ同じで、MINI Clubmanユーザーとしては非常にすんなりと使うことが可能です。
このドアは軽量化のため、樹脂パネルを使っており、ドア自体は軽く、意外とペラペラとした印象でこれまでのドイツ車のドアにある、剛健なイメージとはかけ離れています。ドアの閉まる音も、走行中の微振動もいかにも軽いものでした。
高くフラットなフロア
この観音開きドア構造、軽量なドアで構わない理由はそのボディ構造にあります。シャーシはアルミフレームでドライブトレーンと床下のリチウムイオンバッテリーを一体化、その上にカーボンシェルでキャビンを載せるという構造。ある意味、トラックや本格オフロードを彷彿とさせるもの。気になる重量は市販車としては珍しいカーボンシェルの採用や先の樹脂ドア、アルミフレームにアルミサスペンションなど、細部に至るまで徹底して軽量化をしています。
フラットなフロアの下にはびっしりとリチウムイオンバッテリーが敷き詰められており、一番の重量物となるバッテリーが床下の一番低いところ、しかもホイールベースの間になるため重量バランスは非常に良いです。
多少乗り降りの際にフロアが高いのかな? と気付くほどで、さほど違和感はありません。
シートは当然のことながらリフターがついており、一番低くするとかなりフロアに近くSUV的なイメージ、高くすればいかにもミニバンっぽいポジションとなります。
サイドシルはカーボン地そのまま。カーボンプレートでもカーボン調ステッカーでもありません、リアルカーボン。
コックピット
ペダルはEVなので当然2ペダル。ブレーキはBMWで多い小さなタイプで、中央より多少右よりについています。
これは左足ブレーキ派にとって操作がツライのですが、アクセルオフで回生ブレーキが強烈だったためフットブレーキを使う場面がほぼなく、そんなに苦ではありませんでした。
ハンドルは珍しい白に青のライン。iシリーズらしいデザインと色合いです。
一番のトピックはシフトレバー。これまでセンターコンソールについていたシフトレバーがハンドルコラムの右上に設置されています。
START/STOPボタンで電源ON/OFF。STARTボタンを押してから右のレバーを前に押すように回すとPからDへ、逆に手前へ回すとDからN-Rへと変わります。
P(パーキング)に入れるにはPボタンを押すことで可能。
サイドブレーキは電動式、(P)スイッチを引きあげてランプが点灯するとサイドブレーキが効いている証拠です。
ただこれは従来のエンジンカーを踏襲したもので、シフトレバーのPボタンを押すのであれば、同時にサイドブレーキ(P)が効いてもいいんじゃないかと思うんですけど、どうなんでしょう。
ハンドルコラム上にメインのディスプレイ。
センターコンソール上にナビゲーション、エアコンなどアメニティを含めてのボードコンピュータ用ディスプレイと2ディスプレイ。エアコン吹き出し口が比較的下についており、これまでのガソリン車とはかなり違うイメージのダッシュボード。
ちょっと不思議なのはメインディスプレイ、随分と黒いところが多いのです。1/3程度しか表示されません。
センターのボードコンピューターはBMWらしいUIでの表示。機能が多くて慣れるには多少の時間が必要です。
無塗装の黒っぽい素材はリサイクル材ということで、黒の中に白い糸っぽいものが混在しているもの。触ってみると手触りは多少ざらざら、指でこんこん叩くと相当堅いものでした。質感という意味ではなんというか不思議、高級感ではなくエコイメージ先行でしょうか。
リア居住性とユーティリティ
リアの居住性は観音開きドアによる乗降性の面倒くささはあるものの、中に入ってみれば非常に快適。
リアウィンドウは平飼いませんが、フロントウィンドウよりもウエストラインが意図的に落としてあり、視界は非常に広く開放的。
リアトランクはバンパー直上からハッチが開き、フロアとほぼ水平。シートは5:5の分割式で、倒すとフラットな荷室となります。ちなみにこのトランクの直下に駆動用モーターと650ccの発電機、レンジエクステンダーが収納されているため、カーペットをめくると隔壁となってます。
オーバーハングの短いハッチバックタイプのため収容力はそんなに大きくないですが、必要十分といったところでしょう。
インテリアまとめ
全高1.550全長4mのミニバンというよりも5ドアハッチバックに近いディメンジョンで4人がくつろぐには十分なスペース。RRに大きなバッテリーのために滅茶苦茶広いわけではありませんが、言われなければこれがEVとは気付かないことでしょう。
次回はいよいよハンドリング編です。
(つづく)