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ヤマハFZ250 PHAZER(フェーザー)1985年式 レストア記

ハイブリッド VS ダウンサイジングターボ:乗り物文化を体感するドイツ旅行(10)

2013.08.18 寄稿者: のま元記事

ドイツ、ヨーロッパと日本とでは地形が違う、交通が違います。どう違うかというとドイツは平均速度を高く保とう、目的地に短時間で到達しようという意識がつよく、道はなだらかで信号は最小限、交差点はランナバウトという停止不要で抜けられるものが多くなっています。

▼NURBURGRINGのランナバウト
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一方日本はというと、交差点に横断歩道と信号だらけ、幹線であっても速度を出させないという意図からか信号の連携は悪く、必ずブレーキして完全停止する必要があります。たとえ直交する道の交通量がゼロだったとしても、信号は必ず赤になります。

こういった地形、交通の違いが車作りにも表れています。

日本が得意のハイブリッド、モーターをバッテリーを組みあわせてアシストするものは日本やカリフォルニアではとても人気です。市街地でスタートしては信号で止まる、といった時にそれまで捨てていた運動エネルギーを発電機(回生ブレーキ)で回収、電気としてバッテリーに溜め、それを次の発進加速でモーターを駆動することでエンジンの負荷を減らし、ガソリン消費量を抑えることができるためです。ただしモーターやバッテリーなどにより重量が増えます。

一方ヨーロッパで主流となったダウンサイジングターボ、従来の排気量より小さな排気量のエンジンにターボを組み合わせることで、低負荷時=アクセルを開けない、街中走行の燃料消費量を抑えつつ、高負荷時、例えば高速走行時や山岳路の登りでは従来と同等以上のパワーをターボで発揮させることで全体のパフォーマンスを損ねずに燃料消費を抑えることが出来ます。排気量が少なくなったエンジンブロック自体は軽くなり、ターボやインタークーラーなどの付加物もシンプルでさほど重量がさかみません。

どちらも手法の違いですが、走る道が違うとメリット、デメリットの出方も違います。

日本で人気のハイブリッドがヨーロッパで余り受け入れられないのは、ストップ&ゴーが少ない、高い平均速度の交通において回生ブレーキ&モーターアシストといった恩恵が少ない、高負荷連続運転=アウトバーンなど高速道路での150km/h巡航ではたとえ最初モーターが効いたとしてもすぐにバッテリーが空になってしまいあとはエンジンパワーに頼るだけ、なおかつ車両重量が増えることからデメリットが目立ってしまいます。

違いを簡単にまとめると、ブレーキ中心の日本、アクセル中心のヨーロッパ、ということで考えるとよいでしょう。

優劣というより、どういった状況でメリット、デメリットが大きいかという違いといっていいです。

日本のハイブリッドの、というより日本車全体の問題はカタログ燃費競争にあります。

JAF|クルマ何でも質問箱:メカニズムの基礎知識|10・15モード燃費、JC08モード燃費とは

自動車の燃費数値は、気象条件や渋滞等の使用環境や、急発進、エアコン使用などの運転方法に応じて異なるため、車種間で燃費数値を比較するためには一定の測定方法が必要です。そのため、国土交通省では、1991 年に燃費測定方法として10・15(ジュウジュウゴ)モードを定めました。10・15モードは、策定当時のユーザーの自動車使用環境をもとに走行パターンを定められましたが、使用環境の変化や測定技術の進歩を踏まえ、より実際の走行に近づけるため、新たな測定方法としてJC08(ジェイシーゼロハチ)モードが考案されました。

昔は10・15モード、現在はJC08モードと呼ばれる計測方法ですが、このひとつの問題はどんな車両でもひとしく同じ走行パターンだということです。

一見イコールコンディション、公平だと思いますが問題はどんな車であってもこの走行パターンでしかテストしなければいけないのです。早い車は遅く、遅い車は早く走る必要があり、結局はテスト、模擬試験にしかなりません。つまり目安です。

模擬試験にも関わらず、模擬試験対策がいきすぎてJC08モードをよくするためのスペシャルセッティング、ギア比やシフトパターン、アクセル開度の調整などを行いカタログ燃費を競い合っています。

あまりにそれが行きすぎて、実走行燃費との乖離が顕著です。ようはガリベン野郎ってことです。

ガリベン野郎は確かに模擬試験で高得点は出しますが、実際のテストではプレッシャーで下痢を起こしたりと期待した結果を出せません。また運動音痴であったりもします。そんなことが現在起きている様子。

燃費ランキング - カーライフナビe燃費燃費ランキング
(実燃費ランキング)

ハイブリッド JC08モード 燃費達成率ランキング - カーライフナビe燃費
燃費達成率ランキング

(実燃費/カタログ燃費=達成率ランキング)

カタログ燃費で高い数値を出すハイブリッド車ですが、実燃費ではガソリン車と大きな違いは出ず、達成率という点では乖離が激しくランキングに入れません。つまりガリベン野郎ということです。


またあくまでも日本国内で燃費にセンシティブな被験者によるデータ、アウトバーンのような150km/hオーバーの高速巡航が含まれてないことを考えると、ヨーロッパでの走行条件ではもう少し厳しい数値となるでしょう。

燃費を伸ばすことは大切ですが、10km/Lが20km/Lと倍になり、5年 5万キロ走ったとして
5000Lと2500Lと2500Lの違い。150円/Lだと 37万5000円の違いです。買い換えするほどの値段の違いでないことが分かるはず。

総合燃費は16.7km/Lでした。ヨーロッパはガソリンが高く、ディーゼルも190円〜200円と相当な金額ですが、高燃費のおかげで通常のプレミアムガソリンを使うよりは経済的のようです。

先日レンタカーでかりたBMW 1シリーズもダウンサイジングターボのひとつ、2Lターボディーゼルで320Nm、200km/hまでストレスなく加速、150~200km/Lで巡航しても16.7km/Lという高燃費。

▼170km/h 巡航時
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こういった経済性や高速巡航時のパフォーマンスを考慮すると結局ヨーロッパではハイブリッドよりもダウンサイジングターボが好まれると感じました。


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