JALとリンクシェアのすごい整備工場見学4:フライトシミュレータ・エマージェンシー編
2011.09.15 寄稿者: いしたにまさき (元記事)いしたにさんによる、JAL整備工場見学第4弾は「エマージェンシー編」。シミュレーションとはいえ、緊迫感はただものではありませんでしたよ。その迫真の様子をどうぞ!
いしたにへろへろ機長の体験フライトの次は、本職の機長さん・副機長さんによるエマージェンシー訓練の様子です。
なんでもエマージェンシー訓練には2種類あるそうです。
- エマージェンシーの内容を事前に知らされず、まさに突発の事態にパニックになることなく対応するための訓練
- エマージェンシーの内容を事前に知らされて、突発の事態に対応するための精度を上げるための訓練
そして、今回は後者。これは、体験するわれわれへの配慮もあるでしょう。
エマージェンシーの内容は、飛行中に気圧が急激に低下し、そして緊急着陸する間に右側のエンジンが火を吹いてストップするという激しいもの。
事前にわかっていても、もうすごいんです。なんだ、この緊張感。おれの人生で一度も味わったことがありません。
エマージェンシー訓練がスタートしてしばらくすると、機内に警告音が鳴り響きます。
ビービービー
こんな音、人生の中で一度も聞きたくない!という音です。
機長さんも副機長さんも、既に酸素マスクを装備しています。
日本語と英語、両方の言葉で、機長が指示し、副機長が応えるという形でエマージェンシーの対応が進んでいます。
隙も無駄もない動き、呼びかけ合い。すごい。
そして、機体は緊急着陸のために、空港に近づきました。
予定通りではありますが、右側のエンジンが火を吹きます。
またしても、人生で一度も聞きたくない音が機体の中に鳴り響きます。
先ほどまでとは、ぜんぜん違う対応が始まります。
エンジンがひとつ動いていない中での着陸です。先ほどまでと、機体の振動も全く違います。
で、ここで私気づいたんですよ。
私が操縦しているときは、あんなにぶれぶれでピンクの十字からはみ出しまくっていた自機を表示する白い□が、エマージェンシー対応中にもかかわらず微動だにしないんです!
すげえ!機長すげえ!
そして、飛行機は無事に着陸。地上もスムーズです。
そして、エマージェンシー訓練が終わったときに教えてもらったのですが、今回のエマージェンシー訓練。
ここの訓練は過去にやったことがあるそうですが、この組み合わせは始めてだそうです。
ということで、今回の訓練を実施してくれた機長と副機長さん。ホントにありがとうございました。
この訓練、一人前に国際線で飛ぶために、ほぼ10年かけての訓練をするそうです。飛行機というのは、ここまで訓練しないと安全に飛ばせないわけです。
その意味では、教習所に行くだけで、ほぼ誰でも運転できる自動車ってすごいなあと変な感心をしてしまいました。
なお、こちらも同じ組で行動していたのまさんのエントリーもどうぞ。
リンク: ボーイング777フライトシミュレータ(3)現役パイロットのデモ飛行:リンクシェアJAL日本航空機体整備工場見学会 2011 ([の] のまのしわざ).
すばらしいプロの技、どうもありがとうございました。
でだ!
まだ、整備工場にたどりつきません。というか、もうすでにみんなけっこうお腹いっぱいですw。
【JALとリンクシェアのすごい整備工場見学】