これぞ本当のPR、GT-R NISMO MY2022 マクドナルド・ハッピーセットに登場 #nissan_jp #GT-R #マクドナルド
2021.04.16先日、日産GT-R NISMO 2022年モデルの発表会がありました。内容は実に地味、といってはなんですが新色の追加とエンジンのファインチューンのみ。スペックも変更なく、気になる価格は8月発表、発売は10月と少し先の長い話です。
「NISSAN GT-R NISMO」2022年モデル、「NISSAN GT-R NISMO Special edition」2022年モデルを先行公開
日産:NISSAN GT-R [ GT-R ] スポーツ&スペシャリティ | NISMO
なので本題はここから。
この最新にして最高のR35 GT-R NISMOが発売を前に早速TOMICAのミニカーとして、マクドナルドのハッピーセットに登場することになったんです。
(シークレットモデル、といっても発表してしまったので公然の秘密)
そしてこれを記念してのプレゼントキャンペーンも展開。
日産テストドライバーによる限界走行の同乗体験を含むGT-R試乗会へのご家族ご招待です。
危機的状況にあるクルマ文化
この発表会だけを見ると、モデルとして14年経過したR35 GT-Rファイナルモデルの発表であり、ミニカーを作ってマックで配るというキャンペーンに思えます。しかしこれはある意味危機感の裏返しであり、そして正しい戦略なのです。それはなにか。
若者のクルマ離れが叫ばれて久しいですが、さてこの現象はいつからでしょうか。実はもうかれこれ10年以上前から起きていることなんです。これに対してメーカーも手放しだったわけではありません、これまでも大学生向けや20代に様々なキャンペーンをうち、訴求してきました。でもね、それって砂漠に水を撒いているようなもので、まったくの無駄。なぜなら、もうすでに「クルマを欲しい」と思ってない世代にどんなに魅力を伝えようとしても響かないんです。
その原因はどこにあるのか。それは幼少期の原体験がないから。
自動車に触れる機会が少ない都心の子どもや、あってもミニバンや軽自動車の後部座席でDVDやスマホの動画をみて育った子どもが、いきなり免許をとって高価なクルマを買おうとなるわけがないんです。
だからワンダードライビングでは昔からずっと乗り物とホビーは幼少期に体験すべき、幼稚園から小学生に対してキャンペーンをすべきだと訴えてきました。にもかかわらず多くのメーカーはすぐに売上に結びつかないことはしません。その結果ずっと砂漠に水をまいてきて、芽はでるどころか砂漠はどんどん広がってしまっていたんです。
そうでなくともガソリンを燃やして走る内燃機関、エンジンを使った自動車からEVシフトが進んでいます。同時に自動運転技術が発達、制御の関係からEVとの親和性が高いこの技術によりクルマはドライビングから乗せてもらうものにシフトしつつあります。
クルマなんて自動運転でいいじゃないか、という向きもあります。でもそれは自ら動く車ではなく、電車なんですよ。電車と自動車じゃ大違い、電車買うひとなんてどこにもいませんよ。マイ電車とか、マイ線路とかないじゃないですか。クルマだけがマイカーなんです。で、メーカーはそのマイカーメーカーなんです。カーシェアとかリースとかサブスクとかMasSとかいってますけど、それはオーナーズカーが少なくなることを意味して、最終的には大衆車メーカーは淘汰されますって。
その中で一番早く緩やかな死を向かえるのがスポーツカー。つまりスポーツカーは瀕死なんですよ。
じゃあミニバンや軽自動車の後部座席でスマホ見ている子どもたちに対し、何ができるのか。何が原体験になるのか。それがミニカーであり、ハッピーセットなんです。
マーケティングではなくPRを
昨年TOMICA 50周年記念イベントがありましたが、ここで勢ぞろいした3メーカー、トヨタ、日産、ホンダ。メーカーの枠を超えて協力、それぞれのスポーツカーをミニカー化しました。これです、これが本当のPRです。
人それぞれのトミカヒストリー。50周年を迎えたトミカ #tomica 【ワンダードライビング】
PRとはPublic Relations。民衆との関係づくりなんですよ。金ばらまいてやるのがPRじゃないんです、あれはAD、Advertisement、広告です。
いまやスポーツカー買うのは我々おっさん世代が中心。これは日本だけではありません、世界中共通の社会問題となっています。高くて性能のよいスポーツカーを新車で買えるのはオッサンだけで、若者はそもそもスポーツカーを欲しがっていません。一部のスポーツカー好きの若者だけが80年代90年代のスポーティカーを買い求めていますが、中古車なのでカーメーカーの売上にならないんです。
マーケティングの観点からいうと売上にならないものは存在しないも同じ。だからそこに投資するなんてことはありえないんです。ミニカーなんて最たるもの、ミニカー欲しがる子どもはクルマ買わないし、クルマ購入の決定権をもってない。マーケティングが狙うのはお財布を握る奥様であり、旦那や子どもは無視です。
でもそれは焼き畑農業で、今はいいけど世代が進むと次にクルマを買う層がいなくなるんですよ。
とここ10年ずっと言っていたら本当にそうなってきてしまって、免許取得人口も下がってきてしまうし、高齢者は免許返納しなきゃいけないしと。似たような話は二輪車にもあり、社会に受け入れられなくなった二輪車はもうすっかり国内では台数もでなくなり、二輪メーカーは海外に活路を見出すしかなかったわけです。
そんな状況に抗うのがこのハッピーセット。
わざわざおもちゃ売り場にいってミニカーを買わなくても、ちょっとご飯買いに行こう、ハンバーガーにしよう、ドライブスルーでいいよ、せっかくだからハッピーセットでオモチャ付きにしよう。
そこで出てきたミニカーが食パンみたいに四角いミニバンや軽自動車でときめきますかね?
やっぱ見た目がかっこいスポーツカーですよ。
子どもにとって性能とか値段とか関係なんです。ちょっと知恵ついてきた頃にはむしろ、値段が高い方がエライ、くらいなもので、少なくとも我々「サーキットの狼」を読んでたスーパーカー世代ではやっぱりロータスよりもポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニがえらくって、そのロータスで下剋上するところに燃えたわけです。現実にはロータスですら買えませんけど。
でもこれは買える、買えないの問題ではないのです。
ロマンなんですよ。憧れなんですよ。
効率化が求められるこの時代、無駄を省いて断捨離だとか、もうね、この世に生きてこなくていいっていっているようなもの。だってそうでしょう、この世で一番無駄なのはそうやっていきている自分なんですよ、生きてきてゴメンナサイ、なので消えます、ってなっちゃいますよ。そんなデストピア、嫌です。
生きていくためには憧れやロマンがいるんです。それは様々なジャンルであると思うんですが、モビリティ、乗り物は人間が船に乗った時から、動物にまたがった時からあるんですよ。自分の身体能力を越えて移動することができるもの。効率や合理性だけではない、乗って楽しい、見てカッコいい、それがモチベーションになるんです。
日産最高峰のスポーツカーGT-R、それがマックに行くだけで手に入る。なんて、嬉しいんでしょう。しかもトミカだから再現度が高い! ステッカーを貼るんですがピンセット必須です。
NISMOの特徴である赤いラインがきっちり再現されていて、実車感高いですよ。
しかも普通のTOMICAよりも少し大きく、存在感もあります。
きっと大きなお友達もマクドナルドに行って買うと思いますが、むしろこれまでクルマとか興味がない、日産とかトヨタとか区別がつかない幼少の子に直感的に「これ、かっこいいね、なんていうの?」と思われるのが一番大事なことです。これが Public Relationsの真髄です。
じゃあその何割が日産のクルマを買うんだ、GT-Rを買うんだ、なんて野暮なことは言わないでくださいよ。
そんなの分かるわけないじゃないですか。でもそういう分からないこと、定量化できないことが実は大事なんです。むしろ一番大事。
だからこのGT-R NISMO MY2022の発表とマクドナルド・ハッピーセットへの登場はすごく画期的なことなんです。
フラッグシップがあるのは大事。子どもは見てないようでちゃんと見てます。
古いGT-Rは新しいGT-R - のまのしわざ (2005年)