トヨタのGR戦略は間違っている
2017.09.20トヨタが新しいブランドGRを立ち上げました。
19日、トヨタが発表した新たなスポーツカーブランド「GR」。実はトヨタはこれまで「Gスポーツ」という別のブランド名を使ってきましたが、浸透しませんでした。そこで、なんとか知名度をあげようと、今回、これを一新。「GR」ブランドに統一し、セダンからミニバンまで幅広い車種をスポーツ仕様にして販売します。狙いは団塊の世代を中心としたクルマ好きの囲い込みと若者のクルマ離れを食い止めることにあります。
その狙いが残念でなりません。
「若者のクルマ離れ」
というのは実は「若者のトヨタ離れ」というのが本当なのです。むしろ日産など他のメーカーでは軽自動車シフト、地方の足としての重要度が高い軽自動車が若者に支持されています。
トヨタは軽自動車をもっておらず、ユーザーの高齢化が進んでいるために統計上そうみえるのでしょう。ただこれがまずいのは大のトヨタが「若者がクルマ離れしている!」と喧伝することにより、一般大衆までもがそういったイメージになってしまうことです。
実際子どもたち、ここでいうのは小学生くらいの子ですが、クルマが好きです。むしろ好きな子は大人顔負けなマニアックな博識ぶりを示しており、逆にそのへんの大人より詳しいくらいです。
そもそも若者がトヨタから離れたんじゃないです。つまんないクルマばっかり出して、トヨタが若者を遠ざけたんじゃないですか。今の若者世代はそのつまんないトヨタ車ばかり見て育ってきたんですよ。
トヨタが本当にやらなければならないのは、これはワンドラでは何度でもいっていることですが、免許取得層の18歳以上ではなく、幼稚園から小学生といった10年後~15年後に免許をとる子どもたちに、のりものは楽しいよ、というメッセージを伝えることです。
実際にワンドラが主催するイベント、ワンダードライビング・フェスティバルや、先月開催したワンファブフェスではミニ四駆やラジコンでリアルに体験してもらっています。
日産では子供たちに地球環境の大切さやEVの原理やメリットをつたえるワークショップ「日産わくわくエコスクール」を開催、地道に活動をしています。
ここでリアルに「楽しさ」を感じてくれた子が、結果のりものに興味を示してくれたら本望です。
正直、ヴィッツをどんなにデコデコして空力付加物をつけたところで、子どもたちに「カッコよさ」は伝わりません。どうせ子どもは買えないし、乗れないから純粋な「カッコよさ」を求めます。価格はむしろスペックと同じで高いほうがエライと思っているほどです。
だから憧れの存在としてのクルマを仕立てないと、10年後はないですよ。とにかく10年後のための投資をしてくださいよ、ということです。マーケ的要求が強いから今すぐ、今期や来期みたいな近視眼的施策に陥りやすいです。これまで10年間、いや20年間してこなかったツケが今回っているんだから、トヨタはもっと長期的施策を頑張ってもらって、子どもたちに夢を与えてほしいものです。