歴史と都市化への理解を深める父子旅 Day3 札幌・函館
2016.09.09
台風の影響もあり、札幌の朝は雨でした。ホテルからほど近い時計台観光からスタートです。
時計台=旧札幌農学校演武場=北海道大学
以前来た時は前で記念撮影して終了、素通りに近かったのですが雨ということもあり中に入ることにしました。
「時計台」として親しまれているものの、その素朴な建物と古時計。一体何に価値があるのだろうかと思って中をみたら、謎が解けました。
これ、北海道大学の前身となった札幌農学校の施設、演武場だったのです。
札幌農学校といえば「boys be ambitious!(少年よ大志を抱け)」といったクラーク博士が教えた、日本初の西洋式大学として有名です。
すなわちこの時計台は北海道開拓の歴史、そして明治時代の近代化の象徴でもあった場所なのです。
ハードウェアとして残されたこの時計台は本当に素朴で、スケールも小さく、今では札幌の街中では浮いた存在。一部ではガッカリスポットとまで言われていますが、それは本当に表層のこと。歴史の厚み、そして輩出した人材を考えると、その存在感は際立ちます。
教育はすべて英語で行われていたこと、それにともない学生はすべて英語でノートをとり、しかもそれを授業後清書していたこと。
5000円札にも描かれたことのある新渡戸稲造の直筆ノート(複製)の綺麗なこと。まさにカリグラフです。
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武士道 (PHP文庫)
世界にファンの多い「武士道」は英語でかかれており、これは現代日本語訳されたもの。内村鑑三といい、どれだけ人材を輩出しているんだと驚きを隠せません。
寮の食事は日本食を禁止したという洋食オンリー、現代からみるとその差は大きくないものの当時としては衝撃的だったに違いありません。
当時は江戸時代もそうですが大火が多く、この時計台も大火のおりに火の粉が降りかかったのですが、学生たちが屋根にあがりその言葉どおり「かかる火の粉を払って」延焼を免れたそう。
時計はアメリカ製で精度、耐久性が高くメンテナンスといっても清掃・注油するのみ。当時の日本製とは比べものにならず、そんなアメリカと戦って勝てるわけないだろう、とは当時メンテナンスを担当していた時計屋さんの弁。事実そうなりました。
そんな時計台、じっくりみればみるほど近代日本の礎となっていることがわかり、非常によかったです。
ちなみにクラーク博士は所属していたマサチューセッツ農学校のサバティカル(長期休み)を利用したため約8ヶ月程度しか日本に滞在していません。
また「boys be ambitious」には続きがあり、「like this old man(この老人のように)」と、自分を引き合いに出していたそうです。しかもこれは一度だけいったのではなく、何回かいったようで、最後のお別れの時にもこれをいったあとにすっくと馬にまたがり、振り返らずに去っていったとか。きっと相当な「ドヤ顔」をしていたことでしょう。
この言葉は若者を励ます言葉でもあり、old manとなった我々世代へもエールとなります。そう、どんな年代でも be ambitiousでありたいです。
大沼
函館へは高速道路で移動。1980年代、バイクで来た時には高速道路などなかったので、ある意味目からうろこ。とはいえ基本片側1車線であり、巡航速度はさほどあがらず、3時間まるまるかかってようやく到着したのは大沼。
刻々と変わる夕日を堪能しつつ、ここでキャンプを張ることに。
このキャンプ場はなんと「無料」。受付も管理人もありません。平日ということもあり閑散、さらに雨上がりということもありなんとも快適な雰囲気です。
管理は行き届いており、シンプルな水場と2重ドアのトイレは清潔でした。
非常食
高速道路で札幌から一気にここ大沼にきてしまった道中、店は一軒もありません。買い出しすることも食べるところも見当たらずきてしまったキャンプ場。どうする?
そんなこともあろうかと、ストックしているラーメンと米、そして缶詰で簡単な夕食を。
函館の夜景
夕飯と夕日を堪能したあと、車で30分かけて函館へ夜景を見に行きます。
こちらも1988年に来て以来の函館山。
施設がとても近代的、かつインターナショナルになっており、外国人観光客も数多くやってきていました。これはまるで香港のよう。
もともとここ函館は国際都市として発展したので、国際化についての感度が高いのかもしれませんね。
ピーク時間を外したのでスムースでしたが、ピーク時は相当混雑、待ち時間が発生するようです。
山の上は非常に冷え込みからだがすっかり冷え込んでしましました。この後市内の温泉により、からだをあっためてから再び30分かけて大沼キャンプ場へ。冷えたテントの中に滑り込み、すぐさま就寝しました。
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