#名車シティ再生 (38) 実際のところ、ハンドリングはどうなの?
2016.05.24私が目指すハンドリングの理想は、日本の峠道で楽しく、速く、安全に走れる「ハンドリング市民革命」。ステアリングどおりに曲がっていく素直なハンドリングが好きです。
ブレーキをOHし、タイヤも新品のアドバンネオバ、無限のアルミホイールに組み合せるのはジムカーナ仕様オーリンズ。これでタイトな峠道をはじめて走ってみました。
#名車シティ再生 (22) タイヤ・アドバンネオバAD05/AD06装着【ワンダードライビング】
タイヤの様子
結論からいうと、もう理想のハンドリングからは程遠いもの。その片鱗はタイヤの減り方ですぐに分かります。
フロントタイヤのショルダーに負荷がかかり、リアタイヤがほとんど仕事をしていないのが丸わかりです。ちょっと峠を下っただけでこの体たらく、これはどうして起きるのでしょうか?
フロントグリップを最大限にするジムカーナスペシャル
組み合わされたショックがジムカーナ仕様のオーリンズ、ストロークは極端に制限され、ロールをさせないでフロントタイヤをがっちりと2輪とも接地させる、いわゆる1990年代に流行ったもの。Sタイヤを装着し、ラバーグリップを最大限に活かそうという狙いです。
一方のリアショックはこれまた伸び側を規制し、リア荷重を抜き、前荷重を中心にしてこれまたフロントグリップを確保する方向。リア荷重が抜けるのでもちろんサイドは効きまくりです。
これはフラットな舗装路面では最大の効果を発揮しますが、うねりがあり、継ぎはぎも多い荒れた峠道ではまったくもってあいません。
アドバンネオバはラジアルタイヤの中でもっともグリップ力の高い部類ですが、それでもフロントグリップが足りず、ショルダーをつかう羽目になってしまったのが、さきほどの写真というわけです。
「ハンドリング市民革命」では
・ハンドルを切る、曲がる
・さらにハンドルを切る、さらに曲がる
・もっとハンドルを切る、もっと曲がる
と3段活用をしていく、リニアリティの高いハンドリングを定義しています。このシティは結果的には曲がるのですが、全部フロントタイヤのグリップ力頼みで、リアタイヤがほとんど仕事をしていません。
手応えのないハンドリング
さらに問題なのは、このハンドリングで重要なのは手応え。もっと曲がるかどうか、はハンドルの手応え、タイヤと路面のコンタクトを感じながら、いわゆるクルマとの対話のなかで判断して操作するのですがこの手応えが皆無。
どれくらい皆無かというと、もともと155幅のスタッドレスタイヤから175幅のアドバンネオバに交換して走ってもその差が分からないくらい。
そう、グリップ感がまったくないのです。いつでもどこでも氷の上を走っているような手応えのなさ。
この原因は2つあり、ひとつは強力なパワステ。そしてもうひとつはLSD。
ハンドルのロックtoロックが大きく、たくさんハンドルを切らなきゃ曲がらないのが特徴ですが、このステアリングのギア比も手応えを薄くしている要因。
LSDの効果により前タイヤが引っ張りだすパワーは物凄いのですが、これによりハンドリングはスポイルされているといっていいでしょう。
いつからこうだったの?
このシティは1992年製。そのため色々な部分が経年劣化、ガタが大きくなっています。しかしハンドリングについてのフィールの悪さ、なさは新車当時からこんなものだったかと記憶します。なにせ当時はハンドルはグルグル回せばいい、力任せにハンドルをこじっていた気がしますので。若かったことと、やはり経験のなさですね。
ガタガタという点ではハンドルのガタは大きいし、シフトはグニャグニャだし、ブレーキはフカフカだし、これは経年劣化によるものと思います。
理想のハンドリングはノーマル
いまさらですが、ノーマルショックって凄いなと改めて当時のホンダ・スポーツの奥深さを感じいる動画です。タイヤはREGNO、ブロックもガタガタのコンフォートよりのものなのに。
0:52あたりのS字からヘアピンに至る身のこなしの軽快さ、一瞬リアタイヤがブレイクしてハンドルをニュートラル位置まですばやく戻して安定させ、そのまま立ち上がるFFスポーツならではの動き。きっちりタイヤをストロークさせ、リアタイヤのグリップを最大限に活かし、路面のアンジュレーションを吸収させる点も含め、完全にこの動き、ルノースポールに匹敵します。
正直ノーマルショックを組み合わせたいところですが、せっかくのオーリンズなのでOHしてリアタイヤも含めて4輪のグリップを活かしたセッティングに変更したいですね。
大人になってようやく理解できた
シティを買った当時はまだまだ子供。クルマの経験も浅く、情報も少なく、おそらくまわりも分かっていなかった中で試行錯誤していた時代。だから無茶で極端なセッティングがもてやはされたり、ジムカーナでは0.01秒を競うためにハンドリングと乗り心地は二の次、とにかくタイムを出すのが正義と極端に走っていました。
その結果、フロントタイヤのグリップのみであとはLSDでグリグリと回していけばいい、リアタイヤはオマケみたいなセッティングになってしまったのですね。
それと当時からなかった手応えのなさ、20年たってみて、特に欧州車を経験してようやく理解できるようになりました。タイヤと対話できないのって、色々な意味でダメです。
ホンダ車は当時からパワステが強力で軽い、手応えがない、と指摘されていました。それでもダブルウィッシュボーンのシビック系は手応え感あったような気がします、一方でパワステの容量不足でスラロームを数回やると突然ステアリングが重くなりハンドルが切れなくなったり...
20年ぶりに改めてのると、色々な発見があるのでそれはそれで楽しいですね。自動車って本当に奥深いなあ。