#名車シティ再生 (17)初めてのブレーキOH【リアドラムブレーキ編】
2016.03.08フロントディスクブレーキのオーバーホールに引き続き、リアドラムブレーキをOHします。
ドラムの取り外し
フロントのディスクブレーキとは構造が根本的に違い、リアはドラムを外すことからはじまります。
サイドブレーキは必ず緩めましょう。そうしないとドラムが外れません。ボルト穴2箇所に適当なボルトを差し込み、押しだすようにしてドラムを外します。2ヶ所交互に回すのがコツ。
外してみると、ダストまみれのドラムブレーキが出てきました。うわ、これっていつ以来開けたんだろう?
ひとまずブラシでダストをかき出し、ドラムブレーキを止めているバネを2箇所外して、勢いあまって自動調整用バネも外してみました。この状態でブレーキシューがシリンダーから外れるので、ピストンをシリンダーから外せるのですが...
なぜか間違ってシリンダーを外す
フロントキャリパーを外したことが頭にこびりついていたのでしょう、リアのシリンダーも外さなければならないと思いこみ、裏にあるボルトを外そうとします。
ぐにゅっ。
えっ!? あっ!!
なんとボルトをネジ切ってしまいました。完全に錆びて固着していたためです。
もう後戻りはできません。外すしかない、このシリンダーは、ということでブレーキラインを外すのにネジをなめてはいけないと、またもやお隣さんからフレアレンチを借ります(写真中央)。
全然無事ではありませんが、シリンダーは外れました。
中をみると多少傷がありますけど、さほど悪くない状態です。
毒を食らわば皿まで
続いて逆側もトライしますが、別のお隣さんBに「やめた方がいいんじゃないの?」と忠告されましたが、毒を食らわば皿まで。ドラクエでいえば「パーツ大事に」ではなく「ガンガン行こうぜ」モードに入っちゃいました。
今回は同じ過ちを繰り返さないようにお隣さんAに「ラスぺネ」を借りて、ネジ切らないように予防します。
その甲斐あって、今回はうまく外れました。
ピストン・シリンダーOH
上手く外れた右側のシリンダー、ピストンをみてみると、うわ、なんじゃこりゃ!
完全に固着していました。グリグリと外してみると、ピストンは錆だらけ。シリンダー内壁も相当錆びているように見えます、万事休すか?
取り付けボルトをネジ切った左側シリンダーと、シリンダー内部とピストンが錆びた左側シリンダー。
どうする、そうだ、ディーラーへいってみよう!
部品を発注しようにも...
最寄のホンダ・ディーラーへ電話し部品を発注しようとするも、取引実績・車両情報がないためまずは来店してくださいとのこと。雨の中同じホンダのS2000を走らせ、ディーラーへと急ぎます。
メカニック「シリンダー単体では出ませんねえ」
部品番号 43301-692-003 シリンダーASSY,.,L.リアホイール 5950円
となりますが、背に腹は代えられません。探してもらうことに。すると浮かない顔をしてメカニックの人がやってきます。この顔は・・・
メカニック「すみません、欠品です...」
そうです、24年落ちのシティ、部品は生産終了。在庫もないのが普通なのです。ブレーキは汎用品なので互換のものがあればと思ったのですが...
メカニックの人はそれでも中古パーツ屋さんを当たってくれたりと努力してくれたのですが、残念ながら見つからず。なんでもNSR125を自分でレストアして乗っていて、パーツがない苦労はよく分かるとのこと。あとはもうオークションサイトなどで探すしかないのではというアドバイスでした。
お手数をかけてすみません、お心遣いありがとうございました。
そろそろパーツ欠品も近い将来見えてきた2001年式S2000を走らせ、失意のまま帰宅します。
まだだ、まだ終わらんよ!
パーツ番号が分かったのでこれで検索をかけて探します。するとモノタロウで引っ掛かり、サイトをみてみると無情にも
「取り扱い終了」
の表示。他のブレーキ製品にはある「互換品あり」の文字もありません。互換部品を出している miyakoのサイトを探しても同じく生産終了の文字が。
しかし、amayamaという海外サイトでパーツを発見! 日本で6日以内に調達してアメリカに送ってくれるという・・・ん、本当に? International Shippingにも対応していて、値段は約7000円、ちょっと高いけど日本に送ってもらえるならいっか、いやまても、日本で調達するのに、これってどうなるんだ?
アメリカの底力
日本がダメならアメリカがある。そこで海外パーツ通販サイトを探し始めます。他のサイト HondaPartsNow.comでも見つけるも、こちらはInternational Shippingに未対応。
というか、アメリカにはパーツがあるのか! あるんだな!!
どうのこのブレーキシリンダー、1981年製シビックやプレリュードと共通のパーツ。1992年式のシティに使われているだけでも十分長寿?
そこで得意のebay.comにパーツナンバーを打ち込むと...
Honda Prelude & Civic New Left Rear Wheel Cylinder 43301 692 003
ビンゴ! なんと出てきました。しかも値段は
6.98ドル...
えっ!? 純正が5950円するのにたったの800円? 中古、いや 新品(New)ってなっている。送料は2600円かかるも合わせても純正の半額です。
ぽちっとな。もちろん購入しましたとも。
おそらくアメリカでは古いシビックやプレリュードも大事に乗られていて、部品供給のニーズがあるのでしょう。そして倉庫がバカでかく、コストがかからないのではないかと。そうでなくてはたったの800円でアッシーが出てくるなんて、考えられません。というか、この値段だとOHする理由がないですね、OH用のカップキットの方が値段高いですよ...
アメリカの自動車文化の厚みに圧倒された次第です。
OH続行
ボルトが折損した左シリンダーのアテがついたところで、OH続行です。
右側シリンダーの内壁は紙やすりでならし、状態のよいピストンと組み合せて再利用することに。
OH用のカップキット。こちらはグリスついていません。
まず内側のシールをとりつけますが向きに注意。そしてメチャクチャ硬く、グリス塗るとぬるぬるしてつけるのが大変です。ラジオペンチで押し広げつつ、ピストンの突起にラジオペンチをはさみ、スライドさせながらピストンにひっかけるという方法でなんとかつけることができました。
片側にピストンをいれたら忘れずにスプリングを入れて、逆側のピストンを入れます。
これに、外側のゴムを取り付けます。取り付けにはピンセットをつかってうまく溝に合わせました。
ピストンがスムースに動くかチェック。やはり固着したピストンは腐食による凸凹が原因で動きがザラザラしています。ただこれは新品のシリンダーASSYがきて交換すれば問題なし。
取り付け
いよいよ元に戻します。
その前に錆ついたドラムブレーキの錆をざっと落とし、シャシーブラックで塗装。錆対策と、ドレスアップです。
やはり黒が黒いとしまりますからね。
シリンダーをボルトで固定し、フレアレンチをつかってブレーキラインをつなげます。左側はボルト折損しているため1本で固定。
その他ブレーキシューの固定バネや外した自動調整バネなどを取り付け、シューのあたる場所にはグリスアップ。
ドラムをかぶせ完了。
塗装前と比べると大違いですね。
まとめ・教訓
・リアドラムブレーキのOHでシリンダーを外す必要はない(最重要) ピストンはそのまま抜ける。
・外すのは、シリンダー内が大きく錆びてどうしても交換しなければならない時のみ。
・ディーラー、日本国内で見つからないパーツでもアメリカにはある。eBay.comは要チェック。
今回は九死に一生を得ましたが、基本的にパーツは欠品、「パーツ大事に」が無難です。
(次回ブレーキエア抜き編に続く)
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