ポルシェ911GT3 RSのアクセル全開! 公道を100キロオーバーで爆走してきた【合法】
2015.09.17日本もようやくヨーロッパ並みのクルマ文化が根付こうとしているのでしょうか。今回林道の上り区間を駆け上がるタイムトライアルレース「ヒルクライム」競技に参加してきたのでそのレポートです。
BRIGヒルクライムチャレンジの開催背景
公道である山の中にある林道を専有して行われるヒルクライム。競技時間中、安全のため一般車両の立ち入りは禁止となるため、警察に届け出(専有許可申請)を行って競技は開催されます。簡単にいうと、ラリーのSS(スペシャルステージ)です。
さて問題となるのは、そもそもラリーが日本においてマイナーな草の根競技ということ、そして林道という山間部で行われるため開催されていること自体が一般的に知られていないということ、さらに狭い公道をアクセル全開で走行する行為自体が一般的には「危険」「狂っている」「近所迷惑」と思われ、近隣住民、警察の理解が得られにくいということです。
このBRIGヒルクライムチャレンジが開催されるのは御嶽山周辺。
昨年の噴火では多くの登山客が亡くなり、今も山頂付近は立ち入り禁止となっています。その余波で観光客、登山客は激減、周囲の観光産業も大打撃を受けています。そんな地元、木曽町に再び観光客を呼び込みたい、活気づけたいということからこのヒルクライムは地元の理解と協力を得て開催されているのです。
周囲には緑豊かな自然が広がり、温泉も名物です。旧中仙道を訪ねるのもよいです。ヒルクライムを楽しみつつ、周囲の自然、歴史、温泉を訪ねる旅としてセットで楽しむと、参加者も地元の人にもよくなることでしょう。
なおギャラリーコーナーもあるので、競技に参加しなくとも、見るだけでもOKです。
公式サイト BRIGヒルクライムチャレンジシリーズ公式サイト
安全装備・マシンメンテナンス
久々となる24/24スケール(約分すると1/1スケール)、実車での競技参加。サーキットは当然ですが、エスケープゾーンのない一般公道で、一部ガードレールのない場所もあるところでは安全装備にはより細心の注意が必要です。
911 GT3 RSにはもともと6点式シートベルト装着用のボルト穴があるので、それを利用してシュロス・6点式シートベルトを取り付けました。ボルト穴は11mm、普通のアイボルトが取り付けられる穴です。
競技規則上、牽引フック、牽引ロープの携行が義務付けられています。なお念のため消火器もロールバーに装着(義務ではありません)。
空気圧もチェック。走行直前に再度確認が必要です。
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オイル漏れ?
そんな中、気になるものが。オイルが垂れていたのです。
オイルレベルをチェック、正常値。
念のためガレージグループ4でジャッキアップしてエンジン・ミッション回りをチェック。どうもオイルシールから染み出ているようで、これは昨年のセルモーター交換時にもあった現象。911の持病みたいなもので、多かれ少なかれオイルが漏れてしまうようです。
量的には僅かなので、とりあえず綺麗にしてもらって完了。いつもオーリンズのセッティング相談から整備までありがとうございます!
バラエティ豊かな参加車両
公認ラリーと違って、このヒルクライムの面白いところは参加車両が様々ということ。バリバリのランエボ、インプレッサはもちろん、旧車、外車、ヒストリックカー、EV、ハイブリッドまでバラバラ、統一性がありません。
確かにタイムトライアルのレースで、クラスによっては0.1秒をガチで競うところもありますが、どちらかといえば自然豊かな山道を愛車で楽しく駆け抜けよう、というゆるふわ系イベントです。
そんなお祭り的な雰囲気なので、私も今回は賑やかしに 911 GT3 RSを持ち込んだという次第です。
競技手順
簡単にいうと一般的な草の根競技、Bライセンス競技であるラリー、ダートラ、ジムカーナと同じ。そういった競技経験者であればすんなり、自然に受け入れられるものとなっています。
・受付(ゼッケン受け取り)
ゼッケン貼りつけ、荷物下ろすなど準備
・車検(安全装備の確認)
・ドライバーズミーティング
・練習走行(レッキ)
・昼休み(お弁当配布)
・1本目走行
・2本目走行
・表彰式
ラリーは主催のお手伝いをしたことしかないので、この練習走行がどんなものかと思ってましたが、コースの下見、危険個所のチェックがメインです。とはいえベテランの皆さまはかなり全開走行していた様子。
なお競技区間以外は一般道なので安全運転、地元車優先でゆっくりと静かに走行です。地元の理解があって初めて成り立つものですから、立つ鳥後を濁さずの精神で。
ヒルクライムチャレンジ!
競技は2回走行の「合計タイム」で競われます。ダートラやジムカーナでは2本中速いタイム1本で競われますけど、ここは平均的に早くなければなりません。ですので1本目から失敗は許されませんが、そもそも失敗イコール即クラッシュなので、それ以前に「ビビリミッター」発動。とにかくクルマを無事にゴールまでもっていかなければ...
スタートは各車1分毎。だいたい3分前後で走り切る3.6kmほどのコースなので、クラッシュさえなければ速度差があっても追いつかれることはないもの。
ビビって走行している姿は動画でどうぞ。
走り終わって
無事2本とも走り切りゴール。2本目は猿が3匹でてきて途中アクセルを緩めましたが、それでもタイムは1秒アップ。
はじめて走るコース、しかも両脇には草ぼうぼう、その下は蓋のない側溝、基本ガードレースがあるけどたまにない、ちょっとコース上にはみでている杭など、ラリー屋さんにしてみれば普通なのですけど、クローズドコース派としては恐ろしいものばかり。
一番笑ったのは、ふと気付くと道路の左側走っているんですよね、左ヘアピンなのに。
公道専有してやっているので当然右端ギリギリからアプローチするべきなんですけど、いつもの公道のくせが出てしまってます。イニシャルDでいえば、七曲りの京一みたいなものですね。右コーナーではなかなかインにつけません。
結構「いやあ、左側はしっちゃったよ~」という人は多かったので、そんなものみたいです。
通称いっちゃってる人たち
前回フレッシュマンクラスでデビューウィンをとって「もう出るな」と言われた菅原選手は今回オープンクラスに出場。
「ブレーキロックしてさー、まっすぐ行きそうになって鼻水でちゃったよ~」
「右後輪、側溝に落としちゃったよ~。でも前輪は落とさないで後輪だけ落とすところがオシャレでしょう。4WDだから立ち上がれるんだよね~」
とオープンクラスも見事優勝。
というか、もうあと一歩でクラッシュじゃないですか。さすが、スピードの向こう側の男です。おめでとうございます。
もぎのしわざ
モギさんといえばCJ、CJといえばモギさん、と言われるほどのCJ乗り。齢約18年のCJに鞭打ってまだまだ走り続けます。
これまでモギさんとはジムカーナ、サーキット、ダートラ場で数々のバトルを繰り広げてきましたが、久々のモギさんとの直接対決はクルマのおかげで勝たせて頂きました。ありがとうございます。
2名乗車もOKよ
こちらは夫婦で参加の小笠原ペア。ラリー形式でもあるので、ナビをのせてペースノートを読み上げてくれるのもOK。ラリードライバーも「やっぱナビは偉大だわ」というくらい、ブラインドコーナーばかりの峠道はペースノート大事です。お疲れ様でした。
シニアドライバーの活躍
ニュルFF最速ラップを刻んだルノー・メガーヌRS TROPHY-Rも参加。ドライバーはなんと御歳68歳、そして911 GT3 RSよりも1秒速いタイム、いやはや脱帽です。熱い走りを感じてまだまだ走れるぞ、と勇気をもらいました。
この大会の特徴はシニアドライバーが多い点。
約60歳以上の方が9名もいて、7%を占めます。というか20代ドライバーは1名しかおらず、平均年齢は明らかに40代。競技を昔やっていて、今も悪い虫が収まらないタイプのドライバーが多いようです(自分も含めて)。
クルマ、そしてモータースポーツが文化として根付くにはこういったカタチで親から子へ、子から孫へと「悪い虫」を受け継いでいくことも必要なのではないかと思った次第。もちろん近隣住民との相互理解、協力も必要で、F1は知らなくてもランサー、インプレッサは分かるという地元の方ができていくのも、大事ではないでしょうか。
こういった地道な活動を通して、ヨーロッパのような草の根モータースポーツ文化が根を張っていくのを期待しています。皆さまお疲れ様でした。
さて次回はどのクルマででようかな。次回は11月21日開催予定。皆様のご参加をお待ち申し上げます。ギャラリーも大歓迎です。
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