JC08モード燃費(四輪)とWMTCモード(二輪)の違いと実燃費との乖離
2015.01.10いわゆるカタログ燃費。このカタログ燃費と実燃費の乖離はユーザーにとって疑心暗鬼の元。特に4輪、燃費のよいとされるハイブリッドでは燃費達成率が低い、という現象があり、6割~7割程度しか達成できません。
一方でバイクのWMTCモードはあまり乖離がなく、ほぼ100%で場合によってはそれを上回るケースもあると言います。
WMTCモード
排気量、最高速度によってクラスが分けられ、そのクラスごとによって異なる走行モードでテストを行います。単純なアクセルON、定速走行、減速、というものではなく、グラフでいえばギザギザとなって、速度が変動するのが特徴。当然それに合わせるとなるとアクセルをあけたり閉じたりせざるを得ず、かなり実際の走行に近いもの。
さらに驚くのはその速度域の広さ。例えばヤマハMT-07は700ccのバイクで最高速度は140km/h以上、そのためクラスでいうとクラス3、3-2に分類されます。すると最高速度はなんと120km/hオーバーまでテストします。
全体のテスト時間は1800秒、つまり30分です。
この測定方法はメーカー主導、国を越えて共通となっています。
JC08モード
一方JC08モードは国土交通省が定めた国内専用のテストで、排気量や馬力問わず同じ走行パターンを使います。
最高速度は81.6km/hと高速走行が反映されてない他、1200秒、20分とWMTCクラス3と比べて走行時間も短い点が気になります。
実燃費との乖離
仕様:MT-07 - バイク スクーター | ヤマハ発動機株式会社WMTCモード値 24.1km/L(クラス3, サブクラス3-2) 1名乗車時
ヤマハMT-07のカタログ燃費は24.1km/Lですが、1184kmを走行しての平均燃費は24.4km/Lと上回っています。つまり実燃費との乖離、WMTCモードの場合はほとんどないといっていいでしょう。
一方で四輪の場合、PHEVのアウトランダーは別格としてもよくて90%程度、燃費がよいとされるハイブリッドでは燃費達成率がおち、悪いものでは60%程度と乖離が大きくなる傾向です。
排気量別 JC08モード 燃費達成率ランキング (1301~1600cc) - e燃費
ハイブリッド JC08モード 燃費達成率ランキング - e燃費
JC08モードの場合、走行パターンと実際の走行条件が大きく異なるというのが原因の一つではないかと推測されます。
走行パターンの違い
走行パターンの一部を切りだしてみました。JC08モードで停止状態から80km/h近くまで加速するのに曲線から割り出すと約41秒、40km/hまででも16秒かけています。
WMTCモードクラス3では同じ80km/hまでの加速で16秒となっています。
つまり圧倒的にバイクの方が速いです。
しかしこれはバイクが速いから、というわけではありません。フル加速すれば通常の車でももっと速いです。例えばGT-Rの場合は0-100km/h加速は2.7秒程度でスーパーカーは4秒以下というのが普通です。これは極端な例ですが、一般的な普通自動車でも10秒前後で0-100km/h加速がこなせます。
もっとも遅い軽自動車ですと20秒前後と時間がかかります。
つまりどんなに遅い車でも達成できる加速曲線での走行パターンでJC08モードは作られているため、実際の交通状況と乖離しているといえるでしょう。
感覚的に40km/hに達するまでに16秒というのはどれくらいの遅さでしょうか。ちょっと早めの自転車でも達成できるのではないかと思います。
実際の交通状況はバイクのWMTCモードと同等の加速力で、なおかつ速度域も最高速度120km/h程度を出すのが実勢なわけですから、JC08モードがいかに実勢を反映していないかがこれでも分かりました。
またスーパーカーから軽自動車まで、同じ走行パターンというのもWMTCモードがクラスを細かく分けていることを考えるとやはり無理があると言わざるを得ません。燃費をうたっている日本車がヨーロッパの200km/h前後の高速巡航をすると燃費がのびないというのも、ハイブリッドが売れないというのもこれに一因があります。
「カタログ燃費、世界一」
と言われても実際には違うし、ライバル車とそこまで大きく変化するものでもないので、余り気にし過ぎても落胆するだけ。あくまでも参考値としてのカタログ値です。