軽量ヘルメット・オージーケーカブト RT-33試用レポート(1) エアロダイナミクス形状は伊達ではない
2014.09.22バイクの安全装備で真っ先に思いつくのはヘルメット。なにはなくとも、このヘルメットを調達しないことには話がはじまりません。
エアブレード3と RT-33
しかし25年ぶりのヘルメット選び、最近のヘルメット事情がよく分かりません。そう悩んでいる時、友人から
「Kabutoのエアブレード3を使っているけど、軽くていいよ! 他のヘルメットは被れなくなるほど楽」
と勧められました。
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そこで興味をもって調べてみると、エアブレード3はそれまでの常識を破り、フルフェイスなのにオープンフェイス並みの軽さとのこと。
バイク用ヘルメット&ギア【エアロブレード・3シリーズ】 | KABUTO
毎日被ったり、長時間被る場合に重いと首が疲れてしまうのでヘルメットは軽量であればあるほどいいもの。さらにエアブレード3は空力フォルムで安定性が高いというのも空力オタクな私にとってもくすぐるポイント。デザイン上全体的なフォルムが流滴型になっており、特に「ウェイクスタビライザー」と呼ぶ、テール部分のサイドにエッジをたてることで乱気流を抑える効果を狙っています。
この形状はプリウスやGT-Rといった最新空力デザインを採用したテール・バンパー形状に良く似ていることからも、効果は抜群でしょう。
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(GT-R NISMOではさらにエッジを延長)
そして今年発売になったばかりの最新モデルRT-33。
バイク用ヘルメット&ギア【RT-33シリーズ】 | KABUTO
こちらは軽量だけでなく、MFJ公認、ECE22-05規格(ヨーロッパ)適合とレースに参加可能なレーシングモデル。
重量は1520±50g(XLモデル)です。
今回ご縁があり、この軽量・空力ヘルメットKabuto RT-33を試用することになりました。オージーケーカブトさま、ありがとうございます。
RT-33のエアロダイナミクス
まずRT-33、シェイプがとにかくカッコイイ! まさしく私の好みです。
これまでヘルメットといえば丸、卵型、というのが定番でしたけど、このヘルメットはどちらかというとアニメに出てきそうな直線基調のデザイン。昔、安彦良和氏(ガンダム・アニメーションディレクター、作画監督)がヘルメットを丸く、曲線で書いたアニメーターに向かって、
「ヘルメットを丸くかくな」
と叱ったという逸話があります。どうやら曲線は直線の組み合わせで構成されるから、直線的に書くべきというのが持論だったようです。もっとも本人はかなり柔らかい曲線でヘルメットをかいているように見えるわけなので、なかなか凡人には理解しがたいことですが、つまりはカッコよく見えないんでしょうね。
その点RT-33は明確に直線が刻まれており、完全に卵型から決別しています。
特にいいのがこのリアの複雑な面の構成。バイクのヘルメットというよりも、もはやモビルスーツのヘルメットといってもいいでしょう。そしてこのデザインは伊達ではなく、空力のたまもの。風洞実験を繰り返した結果なのです。
ツーリング向けバイク用ヘルメットの進化とは?|Kabuto |バイクブロスRT-33 は、2つの中間を埋めるモデルとなっています。国内外の規格を満たし、国際レースにも出場可能なスペックを有しながらも、ツーリングにも使える。"自走してサーキットに行って、コースでフルスロットル&フルバンクを楽しんで、また自走して帰る" そのような状況をイメージしていただければ良いかと思います。
3つのモデルにはすべて、当社の得意とする『空力』の考えを取り入れています。あまり知られていませんけどね(笑)。風洞実験装置の導入も先駆けていたと自負しています。20年以上前には、最高速アタック用に後ろの裾の部分を伸ばした形状のヘルメットも、スペシャルで製作しています。風洞実験の目的は "ヘルメットそのものの空気抵抗の減少と、走行時に安定性を増す" ことです。
特にこのテール部分、自動車でいえばダックテールになっています。
RT-33のエアフロー
エアロダイナミクスはヘルメットの中の空気の流れもコントロールします。
↑口元のベンチレーション
完全に宇宙刑事です。
↑頭部のエアインテーク
↑テールのエアアウトレット
いずれもスライド式でパネル全体が移動する形になっており、グローブをつけたままでも操作が楽々。
↑ヘルメット内部(右がフロント、左がリア)
エアインテークからエアアウトレットまで空気が流れやすいように、インナークッションも縦に線が入るような形状になっています。
その他の機能
↑あご紐はDリングにより、しっかりと装着可能。
↑メガネ対応スリットでメガネだけではなくサングラスや透明グラスも装着できます。
↑ブレスガードは脱着可能(標準で装着済)
↑顎部分からの風の侵入を防ぐウィンドシャッターは同梱(出荷時非装着、好みで装着)
↑ピンロックシールド対クリアシールド。標準で曇り止めピンロックシート同梱
被ってみた
被ってみた感触は上々。特に私は頭頂部の横が張り出しているタイプで、たとえXLサイズでも中の発泡スチロールが当たって締め付けられる、痛くなることがあるのですが、そういったこともありません。
被る時、入り口が多少狭いかんじですが、ストラップで広げながら頭を入れればすっとはいるし、脱ぐときも多少締め付け感はありますが、そのまま持ち上げれば脱げます。
被ったとき、チーク部分が多少圧迫されるような印象もありますが、レース用として考えれば適度な圧迫感で、頭をふってもぶれないのでちょうどいいくらいです。ツーリング用としては多少チーク部分を薄手のものに替えた方がより快適かもしれません。
RT-33を実際に往復7時間ツーリングで試したので、そのレポートはまた別途お届けします。お楽しみに。
※ RT-33は株式会社 オージーケーカブト様より試供していただきました。ありがとうございます。