流行の兆しをみせる水冷式インタークーラーのポテンシャルとは
2014.05.22ダウンサイジング(小排気量化)の潮流にあって、直噴ターボ技術は非常に重要になっています。これまではパワー=大排気量だったものを、小排気量で達成しようとするとどうしても過給しなければなりません。
メルセデス・ベンツ日本公式サイト - AMG - Technology‐AMGAMG2.0リッター直列4気筒直噴ターボエンジン
量産4気筒ターボとしては世界一パワフルなエンジンとして、最高出力360PS/265kW、最大トルク450Nmを誇ります。(欧州参考値)
AMG専用インタークーラーSLS AMG から継承したハイパフォーマンスな冷却システムを搭載。 フロントグリル内と右フロントホイールハウス前に取り付けられた2 つの水冷クーラーが直列に接続されており、高性能電動ポンプによって冷却された空気を効果的に圧縮します。
AMG A45は2リッターで360馬力、実にリッターあたり180馬力を絞り出すエンジンは市販車としては最高レベル。この高出力化を実現した一つのキーテクノロジーが水冷式インタークーラーです。
この水冷式インタークーラーはVWでも採用済み。
自動車技術トレンド - Motown21.comインテークマニホールドと一体化したユニークなインタークーラーによって吸気システムの容積を大幅に削減しています。空冷式ツインチャージャーエンジンの11Lに対して4.8Lまで減少しています。これによって、ターボチャージャーは素早く過給圧を高められるようになり、低回転域の優れたレスポンスを実現しています。
新エンジンの冷却系統と過給(吸気)系統の状況を写真5に示します。ターボチャージャーによって圧縮され高温となった吸気は、水冷式のインタークーラーによって冷却され、冷却後の吸気は高負荷時でも外気プラス25℃に抑えられます。インタークーラーとターボチャージャーには専用の冷却システムが採用され、吸気から熱を奪ったクーラントは、循環ポンプによって過給システム専用のラジエータに送られます。また従来エンジン同様にシリンダヘッドとシリンダブロックで異なる冷却回路を持つデュアルサーキット方式を採用しています。
水冷式は空冷式インタークーラーと比べて構造が複雑になる、エンジン冷却用ラジエーターと共用すると温度が冷却水温度に引っ張られてしまうというデメリットがあり、これまでの小型車では主流ではありませんでした。
インタークーラー - Wikipedia水冷式インタークーラー
市販車ではトヨタ・ソアラ、トヨタ・セリカXXのM-TEU搭載車、トヨタ・セリカ GT-four RC、ホンダ・レジェンド V6 Tiなど一部の車種で水冷式が採用された事がある。 水冷式は同じ熱効率でも空冷式よりもクーラーコアを小型に設計でき、低速走行時の熱交換率にも優れる為、当初はインタークーラーにおいても水冷式の普及が期待されたが、水経路をエンジン冷却系統と共有した水冷式には「吸気温度の下限がラジエーター水温に依存する」という欠点があった。例えばラジエーター水温がサーモスタットで81度に保たれた場合、インタークーラーを通過する空気は81度以下には冷却されない。これを回避するにはエンジン冷却系統とは別に、インタークーラー用のサブラジエーターを設ける必要が生じてしまう。
エンジン冷却系統から独立したサブラジエーターを設けた場合、エンジン冷却系統のウォーターポンプが使用できない為、ベルト駆動あるいは電動式のウォーターポンプが別途必要となる。当然ながら、停車中や低速走行時の冷却も考慮して、インタークーラー用のサブラジエーターには(エンジン冷却系統とは別の)クーリングファンを設けなければならない。このような結果、トータルのシステムで比較した場合、水冷式は空冷式に比べて複雑で大規模なシステムとなってしまい、当初期待されたダウンサイジングは達成できなかった。
しかしVWはこれをエンジンとは別系統の冷却とし、スポーツモデルではないベーシックなモデルに採用したことから非常に野心的です。