コペンのりお さんの新型コペンファーストテストドライブ渾身レポート(前編)
2014.05.15 寄稿者: norio (元記事)無用なものは、バッサリ捨てた!覚悟とコダワリの新型コペンをファーストテストドライブ@箱根から(1/2)
先週末、箱根ターンパイクにて開催された「コペン ファーストテストドライブ」というイベントに参加してきたレポートの前編です。
前泊までするなど、かなり気合いを入れて参加してきましたので、以下写真多めでご紹介します!というか、楽しそうだな自分(笑
カラフルに「偽装」されたコペンがお出迎え
今回の集合場所および会場は、箱根ターンパイクの頂上にある、大観山のTOYO TIRES ビューラウンジ。実はこの日はターンパイクを貸しきりでイベントが行われたのでした。なんて贅沢!ただ、ターンパイクが使えなかったので大観山までいくのは意外と大変でしたね。それもあっての前泊です。
会場に着くと、絶景ポイントに偽装をほどこされたコペンがお出ましです。というか、こんなカラフルな偽装ありなのか(笑
それにしても凄い天気。箱根のふもとに住んでいた僕でも、この時期にこのクリアな富士山ってのはあまり記憶に無いです。後で聞いたら、反対側に大島も見えていたそう。こんなこと年に1度あるかないかですよ。どれだけ行いの良い人が主催しているんだ!
僕は午後の部の参加だったのですが、ターンパイクではちょうど試乗から戻ってきた人達の車の列が。みんな総じて楽しそう。いいないいな!早く乗りたい!
ということで、受け付けをしてイベント会場に向かいます。受け付けでは念のための飲酒チェックなどもあって、自動車メーカーのイベント開催に関する繊細な姿を見た気がしました。
まずはランチ兼懇親会からスタート!
さて、イベントではチーフエンジニアの藤下さんがご挨拶。ユーザーにとって近い存在でありたいと願って、このイベントを企画したそうです。後で聞いた話では、仲の良いメディアの人にねじ込みを依頼されても「応募してください」と断っているほどのこだわりようだとか。素晴らしい。
ご飯は富士屋ホテル特製のお弁当。写真をアップし忘れたのでこれは後ほど。
僕の所属していたのはFグループ。さっそくどこから来たのか?などで話がはずみます。山口から来た方と、ご近所の新座から来た方と仲良くなりました。3人とも時間があまったらポーラ美術館に行こうと思っていたという、なんとも波長が合う感じでこの日のイベントではいっしょに行動することに。これがとても良かった。
置いてあるコペンや資料をチェック!
Fグループ最初のスケジュールは展示コペンや展示物の内容をチェックするものでした。
せっかくなので、各所に置いてあったコペンの中身をチェック。ステアリングは3本スポークの握りやすいタイプ。チルトで上下位置は調整できるけど、奥行きはNG、つまりテレスコピックは廃止されたみたい。まあ愛車の2台目スイスポで慣れているから許容範囲。ただ、僕の身長(168cm)・ポジションだと、若干タコメーターと被るかな。
コンソールは、勇気を持ってDINが廃止されている!賞賛しますね。DINコンソールって奧がすかすかで、小型車作るときには無駄以外のなにものでもないものなあ。今後、ナビがスマートフォンに吸収されたり、投影型に移行したりすると考えられるので、この判断は大正解な気がします。
ちなみにスピーカーと廃線はしてあるので、何かヘッドユニットを導入すれば音が鳴るとのこと。
リアシート間にはガラスが設置されていて、風の巻き込みを防ぐ構造になっています。このあたりは、試乗時にチェックですね。
マフラーは大好きな2本出し形態。ただし下向き。バイクっぽさをイメージしたとのこと。僕は水平のほうが好きです。
さて、今度はボンネットの中をチェック。
ぎっしり詰まっていて気分がいいですね。最近は歩行者安全性を考えてか、なかなかボンネット突き出し型(つまりスポーツカー型)の開発をするのが難しいそうなんですが、見事に基準をクリアしてきたとのこと。この形は、人をはねたとき頭部へのダメージを軽減できるような設計にしないとダメなんだそう。デザインにはそうした難しさがあるんだなあ。
やっぱりスポーツカーはこの形にして欲しいから、このコダワリには拍手です。
横から。
吸気口は予想以上に控えめな大きさ。「これでも性能に影響は無いです」とのことですが、やっぱりもう少し大きい方がありがたみがあって嬉しい(笑
こちら素材が書いてあります(ひっくりかえっていてすみません)。
読むとわかるように、ボンネットはPPとUPの合板でできています。だからとても軽くて丈夫。というか、この新型コペンはドアと骨格以外、ほぼ樹脂製ボディだそうです。驚きの仕様!
ただしそうなると心配になるのが、剛性です。新型コペンでは、樹脂ボディでも剛性を保持できる新しいフレーム構造の「D-Frame」を開発し、シートの裏に太い柱を通したり、トランク後方もフレームでつなぐ構造を採用して、先代に比べて上下曲げ剛性3倍、ねじれ剛性1.5倍を実現したそうです。
とりあえず記録。
タイヤサイズはご存じの通り165/50R16です。スペース確保のため、スペアタイヤは搭載せず、パンク修理キットのみの装備となります。これもスイスポと同じ。コンパクトカーはこうなる宿命ですね。もちろんスペアタイヤなんてほとんど廃棄される運命だから、僕はこちらのほうが理にかなっていると思います。
前述の通りドアのみ金属を使用。もちろん剛性だけで無く、閉じたときの音にもこだわっているとのこと。ドアしめたときにヘロヘロな音だと、気持ちが萎えるんですよね。ここ、大事なポイントです。
ドアが大きくないのも、2シーターのいいところですね。クーペのドアはでかいからなあ。狭い駐車場でも安心です。
背面に回って気になるトランクまわり。当然のことですが、ハードトップを開けていればかなり広大なスペースがあります。
こちら、電動ハードトップ収納部分に障害物がないかチェックするためのセンサーだとか。自動で閉まる仕組みは前モデルと変更なしとのこと。ただしスペース的には大きな進化がありまして、機内持ち込み可能サイズのカバンやボストンバックの1つくらいなら入るスペースが生まれました。ただし!ハードトップを収納していると出し入れが出来ないので、使い方には要注意です。まあ、コペン買う人で収納量を気にする人はそんなにいないかな(笑
スリーペダルはこんな感じ。これも試乗でチェックです。この時点にて乗り込んで踏んだ感じ、位置と重さはいいですね。最終型のセリカに乗っていた人は、ちょっと軽すぎると言っていましたが、僕はこれくらいで十分だと思いました。
デザイナー達の魂の叫びを聞いた!
さて、今回のイベントは当然ながらユーザーが一方的に試乗して楽しむだけのイベントではありません。開発メンバーもしっかり参加していて、濃厚なコミュニケーションができるように設計されているのでした。こういうとき、むしろ思いを伝えたいのは開発メンバーのほうですよね(笑
こちら、今回のパネル作成を担当している和田さん。このパネルを見ていってよ!と誘われるがままにパネル前へ。
こちら、もうひとかたの芝垣さん。まさにこのラフスケッチを描いた方です。
まずは内装デザイン。先にも書きましたが、僕はDINの廃止にいたく感銘を受けました。もうね、DINに入るものを売っていた僕がいうのもあれですけど、設計が古すぎて、後ろスカスカなんですよ!そりゃそうでしょ、いまどき高品質のアンプがCD3ケース3枚分のスペースに入るんですよ!?熱の問題があるといえど、あんなでかいDINスペースを確保することありませんって。DINに入れるオーディオにより、せっかくのデザインだって崩れるし、やっぱ、DINは無くてもいいんですよ!
ダッシュボード周りは、安っぽくなく、かといって高級でもなく。ラウンドさせてるところにこだわりを感じます。
今回のデザインには思い入れが深く、それは戦って勝ち取った部分が大きいから、だそうです。なんせコペンは、軽自動車サイズでスポーツカーを実現している上に、電動ハードトップ搭載と、よくよく考えれば「無茶ですね」って部分が多いわけです。DIN廃止もその一環で、恐らく少しずつ詰めた結果として、フレームを強化して剛生をアップできたり、リヤスペースにわずかながらも荷物を入れられるスペースを生み出せたりしたと思うんですよ。少しずつ、少しずつ、何かを捨てて、何かを生み出す。捨てる時は豪快に、生み出す時は繊細に。そんな覚悟とこだわりを感じる一瞬でした。
外装着せ替えに関しても大きな期待をしていて、今までに無い新しいユーザーとの関係ができるのではないかと、キラキラした目で語ってくれました。ユーザー側としたら遊べる部分が大きいってのは面白いですよねえ。樹脂ボディ(つまり外装)のみの販売をする業者とかも出てきそう。レース後は樹脂ボディの交換とか(笑
それにしても、デザイン話をしている時の和田さん・芝垣さんの表情が忘れられません。天職なんだろうなー!って感じですね。もっともっと表舞台に立って話をして欲しいなと思いました。
座談会から、試乗会へ
そうして話し込んでいると、Fグループ招集のお知らせが。藤下さんを囲んだユーザーミーティング開催の合図でした。モータージャーナリストの竹岡圭さんも囲んでの、コペンに関する質疑応答です。
さすがにこの日5度目のミーティングということで、解説もなめらかな竹岡さん。
ユーザーからの質問に、じっくり考えてから答えてくれる藤下さん。僕は「メインターゲットは誰(どの世代)になるのか」という質問をさせてもらいました。個人的に、コペンが「最初の車」にあたるのか「最後の車」にあたるのかが気になったからです。僕らの時代には、レビン、セリカ、シルビア、シビックなど、若者が入門編として乗る中古車がたくさんあったんですよね。やっぱりこれらの車は楽しい運転への入門編みたいなところがあるじゃないですか。ここから次のスポーツカーに乗り換えていくような。
じゃあコペンはどうなのかと。街中を見ると、そこまで若者が乗っているようなイメージってあんまりないんですよね。むしろ既に余裕のある方が、セカンドカートして購入しているような印象です。だから、聞いてみたかったんですよね。
藤下さんからの答えは「コペンは想像以上に女性比率や高齢者比率が高い。幅広い世代に乗ってもらうために、まったく振り向かないということがないように、コミュニケーションしようと思っている。どの世代に!ということは特に考えていない」
ということでした。幅広い世代に選んで欲しい...ってことですね。個人的には入門にも成り得る安価なパッケージが用意されていると、スポーツカー好きの若者増加にもつながるかなーって気がしつつ、そこまでチャレンジングなことはできないんだろうなあと納得しました。
他、以下のような質問がありました。
ー 後継車開発はいつ決まった?
藤下さん 電動ハードトップとして生まれたコペン。この時代に、スポーツカーをモデルチェンジするというのは、とてもリスキーである。低燃費だ省エネだという時代に逆行している。ダイハツが生き残るための新しいチャレンジ、新しい考え方、やっておかなければいけないことの結論として、やるならコペンだ!ということになった。2010年1月から議論が続いた。楽しい車が生み出せるとわかったので、コペンという名前が継続された」
ー コペンのネーミング裏話があれば
藤下さん「K-OPEN(軽自動車オープン)」からはじまって、KよりもCのほうが、ということでCオープンになったが、コンセプトモデルではK-OPENとしている。印象的に、「コペン」は呼びやすいというのはあるのかなと」
ー ティアドロップでなくなったが、デザインに関してのこだわりは?
藤下さん「今回は着せ替えが売りになっている。樹脂ボディだからこそできる形でもある。ボンネットの低いスポーツカーは法律上なかなか難しい。電動ハードトップもあり、デザイン制約が多い中で、このデザインに至っている。新しいデザインもかわいいのではないかと思っている。車体が長く見える工夫もしていて、屋根が黒いのはそのため。ボディ色とわけることで、車体が大きく見える。街の中に溶け込む印象も得られる」
ー ガソリンタンクが樹脂製になったが、耐久性や劣化など、その点はどうか
藤下さん「氷結果汁の缶のような仕組みで、ダイヤモンド型を使うことで衝撃吸収性を高めている。これにより、樹脂を風船のように膨らませるブロー成型をしていても、不必要に厚い・薄い箇所が生まれなくなっている」
というところで今回はタイムアップ。
本当は2つめ、3つめの質問もあったのですが、今回は時間切れとなってしまいました。また別の機会があれば聞いてみたいですね。あと、出来ればみんなから事前に集めた質問と回答を公開して欲しいかなあという気もしました。ぜひ!
試乗へGO!
ということで、やっと来ました試乗タイム!
...なんですが、試乗については次の記事でご紹介します!お楽しみに。
ワンドラで新型コペンを試乗したレポートもあるので、そちらも合わせてどうぞ。
ダイハツ【ワンダードライビング】