ルノークリオ4(欧州仕様)& ルーテシア4(日本仕様)R.S. 同時試乗比較レポート(2)~走行編~
2014.04.23いよいよルノークリオ4(欧州仕様)の試乗レポートです。文中特に断らない場合はクリオ4(欧州仕様)を指します。
ルノークリオ4(欧州仕様)& ルーテシア4(日本仕様)R.S. 同時試乗比較レポート(1)~仕様編~【ワンダードライビング】
1.6L 4気筒ターボ200馬力エンジン
Juke NISMOと同じ日産横浜工場製 1.6リッター4気筒ターボは200馬力/6000回転、240Nm/1750-5500回転を発揮。これにルノー初となる6速DCT、EDCを組み合わせます。
0-100km/h加速は 6.7秒と俊足、高回転までスカッと回るエンジンで速度をあっという間にのせていきます。これに寄与しているのが新開発6速DCT。タイムラグの少ないギアの切り替えと1-2速の低いギアレシオによるもの。
JUKE NISMOと同じエンジンですがCVTとDCTの違いのためかかなり印象は異なり、JUKEの方がよりドッカンターボっぽい味付け。一方のクリオはフラットトルクで全域スムース、ワインディングから高速の加速まで、全域でパワフルという印象。
コーナリング性能
コーナーでのノーズの入りはよく、ハンドルを入れるとスッとサスペンションが動き、さすがルノースポールといった動きを見せます。小舵角から切り足して行ったときのロール、リアに荷重がかかる具合は特によく、S字のように切り返す場所は得意。スイスイと爽快に走ることができました。
一方構造上の問題からフロントノーズの重さは感じ、慣性が強く働き、前荷重が不十分だとフロントエンジン、特にFFに多い慣性で真っ直ぐ行こうとする感じが伝わってきます。
また着座位置の高さ、重心が高いことでロール感が強く、ロールスピードの速さが多少の不安感が呼び起こします。
特にコーナーが回りこんでロールが深くなったときが顕著で、どうしてもフロントストラットサスペンションの悪癖が出てしまいがち。ロールが深くなったときにストラットサスペンションは傾いてタイヤの面を使うことができず、どうしても肩(ショルダー)の部分を使うことになってしまうからです。そのためショルダー部からベリベリといった悲鳴が聞こえてくることがありました。
先代モデルや現行メガーヌR.S.に採用されたDASSはこのストラットサスペンションの悪癖を克服するためのもので、これに劣るのは否めない事実です。
その分ラリー競技では常識となっているハイドローリックコンプレッションストップを採用しているのですが、そもそもDASSとは異なる話なのでカバーできるということでもありません。この点は残念。
ピュアなデキスギ君! SiFo ルノークリオRS CUP 試乗レポート(4) #renault_jp【ワンダードライビング】
RSドライブ
今回の目玉の一つは「RSドライブ」と呼ばれるドライブモードを選択できる機能です。
通常はノーマル、RSボタンを押すとSPORTに。同時にメーター内の renault sportインジケーターが緑色に光輝きます。
マニュアルシフトモードにシフトを倒してからRSボタンを長押しすると「RACE」モードとなり、同時にDSC OFFとなります。つまりドライビングのすべてはドライバーの責任ですよ、という硬派なモード。このRACEモードではシフトもドライバーによるもので、事実上2ペダルMT。ただしエンジン保護の観点から、エンスト直前では自動的にシフトダウンすることもあります。
この3つ、
・ノーマル(オートマ)
・スポーツ(オートマ)
・レース(マニュアル)
をユーザーが使い分けることができるということです。
さて。実際にはどうかというと
・ノーマルはエコ、奥さま用
・スポーツがノーマル、旦那様用
・レースがスポーツ、ワインディング用
という感じです。というのも、アクセルレスポンスがなく角が丸めとられているから。例えば乱暴にアクセルをオンオフを繰り返す、いわゆるセナ足をしてもエンジンの回転がついてこないんです。これは明らかにスロコン、スロットル制御を燃費方向に振っているためで、アクセルをある程度あけないと実際のスロットルが開かないようなフィーリングです。
そのため加速したい場合はかなり大きめにアクセルを踏み込まないといけず、ここでワンテンポずれてしまうんですね。
このダルさはSPORT、RACEとモードをかえていけばだんだんと解消されるのですが、最初は戸惑うポイントかも知れません。
これは最近試乗した新型MINIも同様で、今の車は排気ガス規制や燃費の観点から、ATは特に制御が入っている最近のトレンドに沿ったもの。現代の車では仕方がないですね。
(つづく)
【追記】
初出でエンジンを「日産追浜工場製」としていましたが、正しくは「日産横浜工場」です。お詫びして訂正します。