Less is more、引き算の製品学
2013.03.11Less is moreは建築家ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ氏の言葉として知られており、意味は
「Less is more.」(より少ないことは、より豊かなこと)という標語で知られ、近代主義建築のコンセプトの成立に貢献した建築家である。
とのこと。
これを具現化した製品として思い浮かべるのは、ソニーの初代ウォークマン。
当時全盛であったラジカセからこともあろうかとスピーカーという、なくてはならないものを取り去り、ヘッドフォンに置き換えてこれまで皆で聞いていた音楽を、場所を問わず個人で聞くものに変化させました。
さらにこれを置き換えたジョブスの iPod/iPhoneで less is moreの最たるものはボタンの数。それまであった携帯電話のいくつものボタンは消え去り、表面上に出ているのはたった一つの丸いボタンのみ。
どちらもあると便利な機能をあえて取り去ることで、ある機能を際立たせることができた好例です。
これを「引き算の製品学」と私は呼んでいるのですが、世の中の一般的な製品は基本的に「足し算の製品学」に立脚しています。あの機能もいる、この機能があると便利... 1年に何回使うかしれない、いやその製品を使っている間使われない機能が多数あってもおかしくないほど、今では多機能になっています。学者、高学歴、頭のいい人が寄り集まって民主的に作る製品は大抵そうなりがちです。
こういう製品はえてして作るのが大変です。バグ修正からマニュアル作成まで、すべてに手間がかかります。頭がいい人が作るので、頭がいい人しか理解できないロジックが多く、それ故説明に手間がかかります。まあ例えていえば、携帯電話の料金プランでしょうか。私は頭はさほどよくないので、未だに携帯電話の料金プランは理解できず、いつでも詐欺まがい、騙されている感が抜けません。
それゆえ、自分でアプリを作ろうとなったときにはこの「引き算の製品学」を実践することにしました。待ち合わせや集団行動の時にお互いの位置を共有するアプリは数多くありますが、ほとんどがID登録、またはTwitterやFacebookなどのすでにあるIDを利用するものばかり。ID、パスワードを入力する必要があり面倒な上にまたさらにセキュリティ面での不安があります。
そこでこのID登録、ログインをばっさりと「引き算」することにしました。それで生まれたのがRadar Mapsです。
使い方のビデオはこちら。
起動した瞬間、もう使えるんです。簡単でしょう。
アプリ博でも好評を博した Radar Maps。現在審査中で近日公開予定です。