エンジンの冷却方法「エンジンを設計するのではない、エンジンルームを設計しろ」
2013.02.09ポルシェ911は言わずとしれたリアエンジン、リア駆動。この方式は1960年前後、FFが実用化するまではとても一般的な方式で、各メーカーから多くでていました。
今はトラック専業メーカーの「日野」も当時乗用車、しかもリアエンジンのクルマを作っていたのです。その名は「コンテッサ」。
コンテッサで問題となったのは水冷エンジンの冷却方法。ラジエータとラジエータ・ファンの配置を試行錯誤、特に特許問題で他社メーカーの配置をそのまま使うわけにいかず、独創性を出しつつ冷却性能を確保することが課題でした。
日野・コンテッサ - Wikipediaまたラジエーターの配置はエンジンルーム後端へ変更となったが、エンジンフード上から冷却空気を吸気しようとする常道的手法を採った場合、「ルノー・8」(en:Renault 8)の設計と同一になってしまうと判明した。それ以前にルノーからは、4CVおよびルノー・ドーフィンとコンテッサ・900の類似性に関するクレームやチェックの前例があった。構造面での同一化は避けねばならなかった。
そこで日野では企業間トラブルとなることを回避するため、当初は両側面後端に張り出したインテークから吸気する方法で開発を進めた。しかし、ミケロッティはこれに難色を示した。リアオーバーハングの隅にある突起物は、狭い場所での取り回しに難があり、なにより、せっかくの美しいスタイルを大きくスポイルするものであった。
ミケロッティは日野の意向によりサイドインテーク付きのモックアップデザインを作成して見せたが、そのインテークは、全体のスタイルをぶち壊しにする何とも不格好なもので、日野の技術陣をして、ミケロッティが意図的に抗議の念を示したものと受け止めさせ、吸気手段を再考させる結果になったという。最終的には、垂直に切り立った後端のグリルから冷却風を吸気するという、常識破りとも言える異例の手法を敢えて採用し、実用上問題ない冷却性能を確保した。
結果的に冷却性能を確保でしたのですが、ここでの名言がこちら。
「エンジンを設計するのではない、エンジンルームを設計しろ」
エンジンルームを適切に設計しなければ冷却の問題だけではなく、ひいては発火する危険性があった時代です。
これをみて思い出したのが一時共同所有していた FD3S RX-7。
シーケンシャルツインターボで255馬力は燃費はともかくパワフルでいいんですけど、その問題はこのエンジンルーム。
補機でびっちり!
本来エンジン自体が小さいはずのロータリーエンジンにも関わらず、リトラクタブルヘッドライトの収納スペースや配管の取り回し、ばかでかいバッテリーのせで見慣れたものが見えません・・・そう、ラジエーター。
この狭くて薄いラジエータグリルの奥底に、なんとナナメについているのです。しかもその前にはエアコンのコンデンサーが...さらにダートラ仕様のためアンダーガードがついていて空気が下に逃げないという悪条件...冷えるものも冷えません。
1回走行するだけで水温計は110度オーバー、連続走行は不可という状況。FD3Sはパワーアップするならラジエーターをどうにかしないといけない、という話に納得でした。
エンジンルーム、余裕もたないといけませんね。
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