空力と洗車の関係:塗装を痛めない洗車の仕方
2013.01.05ハンドリングにうるさい私ですが、実は洗車にもうるさいのです。
洗車スポンジが4つ...さてこの理由はというと洗車する部位によってスポンジを使い分けているから。
1)ボンネット・ルーフ、サイド上部
2)フロント下部、サイド中部、リア上部
3)サイド下部、リア下部
4)ホイール用
大きく分けてこの4種類。簡単な分類としては上から下に3分割、ホイールは別、という分け方ですが実はこれ、空力に基づいているのです。
雨の中クルマを走らせると空気の流れに沿ってクルマが汚れます。フロント、ボンネット、ルーフは綺麗な雨があたるので水垢が主ですが、サイドパネルとなると様相が異なります。というのもフロントタイヤで巻き上げた泥、砂が付着するからです。
上部はフレッシュな風が抑えるため軽い砂が中部に、そして重い大きな粒度の砂利が下部に付着します(黒矢印)。
リアはさらに状況が悪く、リアタイヤが巻き上げた泥、砂が空力によって大きく上部までひき上げて汚れてしまいます。
直接地面に接するタイヤ、その近くで回転するホイールは砂利の他、ブレーキローターを削って出るブレーキダスト、鉄粉が付着して大きな汚れになります。
例えばこれをひとつの洗車スポンジで洗うとどうなるかというと、本来ボンネットやルーフに付着していない砂利がスポンジに紛れ込み、砥石で塗装面を傷つけることになるんです、ギャーーー!
人間の身体でたとえると、靴用ブラシで顔を磨くと痛いし、肌が傷つきますよね。同じことです。身体の部位に合わせて洗うように、クルマも洗うのです。特にクルマの塗装面は女性のお肌、赤ちゃんのやわ肌と考えて優しく丁寧にするのが肝心。
洗車道 ([の] のまのしわざ)洗車とは、女性の洗顔・メイクと考えかたは同じです。老廃物を落とし、メイクアップをする。いくらメイクしても、以前のものが残っていたりすると、綺麗になるはずがありません。基本は老廃物を落とすこと。そして綺麗な状態から薄くメイク(ワックス)をする。これがポイントです。
クルマによって汚れ方は異なってきます。そのため汚れ方を見極め、どこまでどのスポンジで洗うかをよく考える必要があります。
例えばクーペであれば、ボンネット・ルーフ・トランクが(1)のスポンジで洗う範囲となります。一方ハッチバックであればボンネット・ルーフまで(1)のスポンジを使い、リア全面は(2)が中心。これはリアの巻き込み方によって汚れの付着の仕方が違うからです。
ガラス面についてはスポンジで洗う必要はありません、というのもガラスは非常に硬くおいそれと傷つかないことと、通常上面にあるので余り砂利が付かないからです。スポンジとは別に濡れ雑巾で汚れを拭き取る程度でOKです。
【実際の洗車】
ポルシェ911で実際の洗車を試してみます。
まずホースの水で全体の汚れを流します。これはお風呂でいえばかけ湯と同じ。水圧は高ければ高いほどいいです。
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次にバケツに水とスポンジをいれ、スポンジに洗剤を少量たらし、ホースで泡立てます。泡は汚れを包み込むので水の量1に対し泡1の1:1の関係くらいがベスト。水の量はそんなに多くなくてOK。洗車スポンジに洗剤をしみこませているので十分泡が入ります。
【上から下へ、基本は一方向】
基本は上から下へ、ルーフからボンネットへ。スポンジをかけると汚れを含んだ泡が残るので、すぐさま水で洗い落とします。そうしないとせっかくの汚れ乾いて再付着することになるためです。またスポンジは適宜ゆるしぎます。
スポンジのかけかたは丸を描くようにしてはNG。基本は縦か横、そして一方向のみです。往復運動もやはりNG、というのも往復させると一度付着した砂が傷をつけることがあるからです。スポンジを一度浮かせると砂はスポンジの中に取り込まれるため、傷防止となります。
フロント、サイド上部を洗ったらスポンジを(2)に交換です。
ワンポイントアドバイス:
洗車スポンジは汚れたら(1)1軍から(2)2軍落ち、2軍は3軍落ちとスライドして最後に真っ黒になったホイール用を捨てて、新しいスポンジを1軍として迎えいれると経済的です。
野球と違って2軍から1軍復帰なんてことはありません。また地面に落として砂利まみれになったらその時点で3、4軍へ降格、または廃棄です。洗車の世界は野球以上に厳しいのです。
【サイド中部・リア上部】
このクルマの場合、下回りからの巻き込みはバンパーが顕著だったため、汚れを見極めながらスポンジを選択します。
【サイド下部、リア下部】
曲者はこのリアフェンダーのふくらみ。
べったりと水が付着しているのは実は全部汚れで、ここだけ汚れが特にひどいのです。それもそのはず、フロントに比べてこの部分が貼りだしているためで、フロントホイールから巻き上げた砂利、泥が直接塗装面を叩いています。ですのでこの部分は(2)ではなく、(3)のスポンジを利用。
【ホイール】
ホイールはホイール用スポンジ(4)を使っておおまかに洗ったのち、ホイールクリーナーやホイール用付属ブラシで洗うとスポーク部分が洗いやすくてよいです。
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【ふきあげ】
いうまでもありませんが、スポンジを使い分けるのと同様、ふきあげ用クロスも部位によって使い分けます。その数・・・無数!
ボディのふきあげにはマイクロファイバークロスがもっとも適しています。値段もお手頃、吸水性もばっちり。水をしぼってふきあげましょう。
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雑巾はガラス、ドアをあけたサイドシルなどに利用します。理由は汚れが強いこと、ガラスは硬度が高く傷つきにくいこと、雑巾の方がコストが安いことから。
【樹脂部分の保護艶出し】
ヘッドライト、テールランプはポリカーボネイト製のため、綺麗な濡れ雑巾で汚れをとったのち、プレクサスかバリアスコートなど樹脂クリーナー&ポリッシュで磨くとよいです。なお塗装面に使ってもOK。
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【Amazon】 WAKO'S(ワコーズ) バリアスコート
プレクサスの方は多少においが強いですが、どちらもマイクロファイバークロスで最終的にふきあげると完璧です。撥水効果もあり、塗装面に使っても保護、艶出しになります。
このGT3 RSの場合はリアウィンドウもポリカーボネイトのため、リアウィンドウとリアカーボンウィングも同じくバリアスコートでクリーニングしています。
【ガラス撥水コーティング】
忘れていけないのが窓ガラスの撥水コーティング。私はワイパーを使わない主義なので、撥水は命。
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老舗のスーパーレインX、ガラコのどちらも効果は同じですが、ヘッドがでかく塗りやすいのがいいです。
最初にガラス面を綺麗にしてから乾燥させ、撥水剤を丸く塗りこみ、乾かないうちに濡れぞうきんで吹き上げます。ここだけは丸く動かしてOK。
合わせてウィンドウウォッシャー液やワイパーゴムも撥水対応しておくと完璧ですが、私はそこまでやっていません。
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以上、洗車でしたが、実はまだ終わっていません。内装やドアのサイドシル、タイヤサイドウォールなどまだまだやることはあります。
ワックスについてですが、最近はコーティングした方が総合的に考えて塗装面を綺麗に保てるのでボディ・コーティングをオススメします。
【まとめ】
洗車はあくまでも「塗装面保護」を目的に。間違った洗車は塗装面を痛めつけ、寿命を短くするのでお気をつけて。
▼参考リンク⇒洗車道 ([の] のまのしわざ) (多少情報が古い部分があります)