この浮遊感、未体験ゾーン! 霞ヶ浦でジェット推進ボートAR190を体験【2】
2012.08.07霞ヶ浦のいいところはこの波のなさ。
まるで湖、って湖でしたね。陸サーファーならぬ、陸ボーター(?)なワンドラ・メンバーは実は波が苦手。さざ波ならまだしも、うねりのある外洋なんて無理無理無理。一番の得意コースは波のない運河、せいぜい隅田川程度。荒川ですら「お、波があるな、さすが荒い川」というほど。
そういうわけで波がほとんどない、まさに平水といってもいい霞ヶ浦の水面は我々にうってつけ。そしてこのジェット推進ボートAR190にとってもパーフェクト。
ジェット推進ボートも実は波が苦手、もともと沿海限定なのですが舳先が水面からわずか40cm程度しか離れていないため、40cm以上の波があると水を頭からかぶってしまいます。それを避けるためにすることといえば、なんと加速すること。ふつう波が出てくると速度を落とすものですが、このジェット推進ボートの場合は舳先を上げるために回転を上げるのです(5500回転前後)。
だからうねりのある海には向いてなく、霞ヶ浦のような波のない静かな湖面が最高です。
あたる風が心地よく、まるで超低空で空を飛んでいるかのような気分。
特等席はここ、フロントシート。このAR190はすべてのシートがクッションいりのふかふかソファ形状、このフロントシートに足を投げ出してのると、加速時に舳先が上がるので自分が浮遊しているような錯覚を覚えます。
I can Fly!
船尾の引き波も独特。すっとまっすぐ後方に伸びていき、そんなに大きくありません。
そしてロックツーロック3/4回転のハンドル、これで急ハンドルを切るとどうなるかというと物凄い横Gで旋回するので十分注意が必要。インストラクターによる急ハンドル模範操作は動画でどうぞ。
「女の子キャーキャー間違いなし」
というコメントが物語るように、まさに遊園地の乗り物、ジェットコースター的な動きでした。この軽快感は爽快です。まさに乗って楽しい乗り物!
高速で走行するときには軽快、爽快、キャーキャー、ヒューヒューな乗り物ですが、低速になるととたんに難しくなります。特に着岸。
フィン状の舵がないので、スロットルである程度ジェット水流を流すことで意図的に舵が切れるようにするという小技をきかせないといけません。とはいえスロットル操作が非常に微妙かつ難しいので、操作しやすくするTDE設定がついています。
TDE設定とは!
Thrust Directional Enhancer の略で、ジェット噴流の出口にカバーを半分かけることで前方向にもジェット噴流を流して、舵をききやすくするための装置です。ちなみにカバーを全部かけるとジェット噴流は完全に逆側、前向きになりバックします。まさにジェット飛行機と同じ原理で、スクリュー機にあったようなクラッチ、ギア切り替えによるプロペラを逆回転しての後進とは大違いです。
さらにこのTDE設定時のジェット噴流量を調整するのが「ノーウェイクモード」。
もともとは引き波をたてない(ノーウェイク)で航行するためのモードですが、いわば回転数固定のオートクルーズみたいなもので、これを利用して微速で航行できるので着岸にも便利というわけです。3段階設定、1600rpm/2000rpm/2400rpmで調整することができます。このボタンはハンドルの右側に設置されています。
これらを駆使して、着岸といきたいのですが・・・さらにトリッキーなのがありました。それはハンドル操作。
左岸接岸でプロペラ式の場合、右に切ったあと並行になったときに岸に寄せるのに「左に切って後進をかけて行き足を止める」のですが、ジェット推進式の場合「そのまま右にきったまま後進をかける」という操作になります。
理由は舵がないとか色々あるのですが、とにかくいつもの操作をしても予想外の動きにとまどうばかり。とりあえず基本に忠実に、TDE設定とノーウェイクモード、そしてハンドルは切りっぱなしにしてタイミングを見計らってスロットル操作をしてなんとか着岸。これはいつも以上に慣れが必要です。
ただこの操作に一度慣れてしまえばもうこちらのもの。あとは素晴らしい加速性能と安定性で独特の滑走感を楽しむばかり。景色を眺めるというのもいいのですが、このジェットコースター的乗り味を純粋に楽しむというのもまたよし。
さてこの独特の操作感、何に近いんだろうと考えていたら、もしかしたら車でいうところのRR(リアエンジン・リア駆動)かも。
RRはステアはフロントですが、フロントタイヤで舵をきって曲がるというよりもキッカケにしか過ぎず、リアで曲げていくと言います。このジェット推進ボートは舵効きが弱く、ジェット水流=トラクションとして考えると近く、トラクションをかけないと曲がらないんですね。だから常にトラクション=推力をかけて操作する必要があるのです。
まあRRは経験値が浅く深くわかりませんけど、それくらい違うことを意識しなければならないということですね。
逆にRR同様、一度ハマってしまうとその魅力の虜になっていまうかもしれません。それくらいの中毒性がありそうな甘美な香りがしました。いや、やっぱ速いのはいいですよ、シートもクッションがきいていて豪華だし。
ということで、次回は快適性、メンテナンス性、そして運河巡りの様子をご紹介する予定です。
(続く)
[水の郷 さわら]
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