西川善司の「スポーツカー見積もり隊~RX-8編」
2012.05.09 寄稿者: 西川善司 (元記事)ロータリーエンジン搭載最後のモデルと噂されるRX-8。その有終の美を飾るRX-8の見積りを元RX-7オーナーの西川善司さんがとってきましたよ。さていくらなのか、興味津々。
実は、RX-8はついに6月で生産が終了になるんです。
特定車種の生産終了はそれほどめずらしいことではないですが、RX-8の生産終了はやや意味深いものなんです。
RX-8、そして自分のかつての愛車のRX-7もそうでしたが、RX型番のマツダ車は、ピストンを使わない世界唯一のロータリーエンジンを採用した量産自動車で、6月の生産終了を持って、ロータリーエンジンそのものの歴史が一度、終焉を迎えることになるのです。
RX-7が2002年8月に生産終了した時には「RX-8が出る」ということがほぼ確約されていたので、RX-7を惜しむ声だけが取り沙汰されましたが、今回は、ロータリーエンジンそのものの終幕ということで、かなり感慨深いものがあります。
一応、株価対策もあって開発継続の表明はなされていますが、新ロータリーエンジンとして開発が進められていたコードネーム「16X」は、一端開発が休止され、開発計画自体の見直しがなされたと言われています。
「でも、ロータリーエンジンは終わらないでしょ?」という突っ込みはごもっともですし、マツダも「ロータリーエンジンの開発辞めない」と言ってはいるのですが、最新の報道では「ロータリーエンジンそのものの回転で車輪を駆動する自動車はコレが最後」という説が有力になってきています。
最近では、それを裏付ける報道が出てきていて、こうした報道によれば次世代ロータリーエンジンは、EV(電気自動車)の発電機用エンジンとして開発が進められているようです。
確かにこれだと、ロータリーエンジンの弱点である低回転時のトルク不足問題からは解放されますし、ターボのようなコストアップ要素を考えなくて済みます。ロータリーエンジンは低回転時から高回転時まで振動が少ないのでEV用レンジエクステンダー・エンジンとしては最適だと言えそうです。
ということで、「ロータリーエンジンは死なず」とも、ロータリーエンジンの回転運動が直接、後輪を駆動する車はRX-8が最後になるかも...と言うことで、ファンの駆け込み購入が始まっています。
2011年10月の生産終了発表以降、一ヶ月当たりの販売台数が、平常時の数倍にまでなり、なんと、増産が発表されるほどになりました。もちろん、増産されるといっても今年6月に生産終了する方針に変更はないようです。
購入を希望する人は、ほんと、早くした方が良さそうです。
と言うことで、見積もり隊も出動してまいりました。
生産終了記念モデルとしては「SPIRIT-R」という記念グレードが登場していて、このタイミングではいまや事実上、これが基準モデルといえそうです。
SPIRIT-Rというとなんだか、硬派なイメージがありますが、6速オートマ(312万円)と6速マニュアル(325万円)の両方が設定されています。
6速マニュアルは235馬力、6速オートマは215馬力です。
SPIRIT-Rではない、下位のカタログモデル「TYPE-G」(263万円)も存在しますが、こちらは6速マニュアルの設定がなく6速オートマだけのラインナップです。TYPE-Gの馬力はSPIRIT-Rの6速オートマと同じ215馬力で、基本的な走行スペックには差がありません。SPIRIT-Rとの装備差は内装、外装(エアロパーツ)、タイヤサイズだけです。安価にRX-8を手に入れたいというのならばTYPE-Gは、結構お買い得モデルといえるかも知れません。
まぁ、6速マニュアルを選ぶ人は必然的にSPIRIT-Rを選ぶことになりますが、「6速オートマでいいや。エアロやタイヤはアフターパーツに交換するし」というひとはTYPE-Gで問題なしのはずです。ただ、TYPE-Gには(当たり前ですが)、SPIRIT-Rのエンブレムは付きませんから、リセールバリューはSPIRIT-Rよりもだいぶ下がるはずです。資産価値までを考えるならばSPIRIT-Rの方がいいのかも。
注意すべきはボディカラーで、SPIRIT-Rは、なんと色が白、黒、銀のに3色からしか選べません。赤や青といった有彩色はSPIRIT-Rでは選べず、TYPE-Gでしか選べないんですね。別な視点でいうと、6速オートマが欲しい人は全色から選べますが、6速マニュアルが欲しい人は白黒銀の3色からしか選べません。
SPIRIT-Rの6速マニュアルを選択し、防盗装置、フロアマット、ボディコートなどのオプションパックを合わせ、税金関係、諸経費を全て込みで以下のように約393万円となりました(下記)。
納期は今注文して、6月末頃だそうです。まぁ、6月で生産終了ですから当たり前ですが。
増産前は分かりませんが、増産決定後は売り手市場なので値引きは基本ゼロのようです。下取り車優遇やオプション品などで実質割引を引き出す手段で交渉するのはありかと思いますが。TYPE-Gはトヨタ86と価格帯がわずかに拮抗するので、両方の見積もりをぶつけて値下げ交渉するのはありかも知れません。
そうそう。カタログはSPIRIT-Rが追加された新装版になっています。オプションカタログも前期型RX-8のときのものと比べると大部豪華になっていて内容も楽しげなので、カタログをもらう際には両方もらいましょう。
マツダ車と言えば、RX-7の時もそうでしたが、マツダスピードから格好いいエアロパーツが出てくるのが定番でした。ちなみに、自分の愛車も、実はマツダスピードのフルエアロ仕様にしていたのでした。
RX-8にも前期型モデルにはマツダスピードの格好いいフルエアロがあったのですが、現行の後期型RX-8には設定がありません。
実際には、後期型にもマツダスピードのフルエアロのプロトタイプは発表されていたんですよね。
で、このプロトタイプをモチーフにしたものが、マツダE&Tからひっそりと製品化されて発売されています。
SPIRIT-Rをあえて、このフルエアロにするのもいいかもしれません。