ヒューストンからやってきたスゴイ凧・ゲイラカイトはNASA最先端技術のフィードバック
2011.12.21 寄稿者: のま (元記事)ひと風80メートル。
場所は昭和記念公園。秋も深まり、冬の足音が高らかに鳴り響いて北風も強くなってきました。風が吹いている時の広場の遊びの定番、それは
凧揚げ!
昭和記念公園で「ゲイラカイト」タイプの凧があったので早速買ってあげてみました。
標準で付いている凧糸が短いのでわざわざ80mの凧糸をオプションで買ったにもかかわらず、それすらも使い切るほどの性能です。
私が小学生時代、このゲイラカイトが突如登場したのですがその飛びっぷりに日本中が愕然、小学生がこぞって買いに行って品薄状態。私もようやく探し当てて購入したのですが、その飛びに本当にびっくりしたことを鮮明に覚えています。
シンプルな構造なのに、この驚異の飛び。その秘密は実は設計にあったということを今更知りました。
ゲイラカイト35周年それまでの凧は伝統的なお正月の風物詩的な紙製で、なかなかうまく揚がらないものでしたが、NASA(米国航空宇宙局)の科学者の設計によるゲイラカイトは、誰でも簡単に揚がり、しかも風を受けると、それまで日本の子供たちが経験したことのないような強い引きを感じる性能を持っていました。
なんとNASA科学者による設計です!
航空力学を駆使して合理的かつ効率的な飛びを実現、しかも構造はシンプルとまさしくNASAの航空宇宙技術の結晶といってもいいでしょう。考えてみれば当時のNASAといえばスペースシャトル(=コストダウン)以前の時代、湯水のように予算を投入して最先端技術をばんばん開発していた頃なので、まさに栄華を極めていたところといっていいでしょう。そのNASAの技術がホビーに活かされているんですから、そりゃ今までの経験則と試行錯誤だけで作られた、自然素材の和凧が駆逐されてしまうのも致し方ないこと。
大人になって少し空力、航空力学を理解できてから改めてその形状、構造をみると実に深いです。
・三角翼(デルタ翼)
今までの和凧は四角い、つまり直線翼で左右に反った形状、上半角がきつくついた設計でしたが、ゲイラカイトは平面的な三角翼。いわば後退翼から発展したデルタ翼形状で、速度と安定性が抜群です。
・翼端のビラビラ形状
三角翼の下側は直線状ではなく、コウモリのようにビラビラになっています。これは翼から剥離する空気を整流する役割があり、安定性を増し、抵抗を減らす効果があります(今回かった模倣品はここが直線的になっており、この翼端の意味を理解していないことが伺えます)。
・無尾翼、ブレンデッドウィング
通常和凧は安定性を増すために「しっぽ」と呼ばれる細長い紙をつけますが、ゲイラカイトにはそれがありません。本体は翼だけ、つまり無尾翼のブレンデッドウィングといってもいいでしょう。通常無尾翼機は安定性が悪いはずなのですが、中央にある引き糸をとめる三角の翼が垂直尾翼の役割を果たして安定性を稼いでるようです。
・軽量、高剛性
和凧は素材に和紙や竹といった天然素材を使用していますが、ゲイラカイトはビニールにプラスティックと化学素材で構成されています。そのためひっぱり強度、曲げ強度ともに高く、なおかつ軽量に仕上がっています。
骨は中央と左右の翼それぞれに入りますがこの状態ではびらびらのままです。左右の翼端の骨を横の骨でつなぎますが、本体形状は固定されず不定。このしなやかさが風をうまく受け流すようです。
どの角度からみてもひとつひとつ意味があり、しかも深い考察で設計されているにもかかわらず実装がシンプル。無駄がありません。そしてあげてみるとあっという間に天まで昇るんですから本当にすごいです。
ここで当時のCM動画をどうぞ。
CMの映像はアメリカっぽく、なおかつ英語歌詞。
TO BE
TO BE
TEN MADE TO BE
違いました、
とべ~
とべ~
てん まで とべ~
ですね、はい。
NASA科学者による設計だからヒューストン(NASA打ち上げ基地)からやってきた凧なんですね。
▼公式サイトはこちら⇒ゲイラカイト35周年
▼製品ラインナップ⇒ゲイラカイト|プリヴェAG株式会社
まさに天まで飛んできそうです。もっと糸伸ばしてみたい誘惑にかられますね。
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ゲイラカイト スカイスパイ
ゲイラといえばこの目玉が目印。