ホンダ反攻の狼煙! EARTH DREAMS TECHNOLOGYのスゴイ中身 #TMS2011
2011.12.19▼Honda | 次世代革新技術「EARTH DREAMS TECHNOLOGY」を発表 ~今後3年以内に各カテゴリーで燃費No.1を目指す~
東京モーターショー開幕初日、ホンダは今後3年におよぶ技術計画を発表していました。全部一遍にまとめるもんだからそれぞれ希薄になりそうですが、実は中身がスゴイ。新技術、新機軸てんこもりで今後のホンダに期待ですよ。
■「EARTH DREAMS TECHNOLOGY」の主な内容1.走りと燃費性能で世界トップレベルを実現したガソリンエンジン
2.世界最軽量※1を実現し、クラストップ※1の加速性能と燃費性能を実現した小型ディーゼルエンジン
3.操る楽しさと燃費性能を高次元で両立したCVT
4.世界最高効率※1を実現した2モーターハイブリッドシステム
5.走りと燃費性能を両立した高効率・高出力のハイブリッドシステム「電動SH-AWD」
6.EV用小型高効率電動パワートレイン
1は燃費向上させますよ、という宣言。各排気量クラスにおいてそれぞれトップクラスの燃費性能を出すといいます。
1.走りと燃費性能で世界トップレベルを達成したガソリンエンジン・Honda独自のVTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)技術を進化させ、徹底的な熱効率の向上と低フリクション化により、高い出力性能と低燃費を両立。さらに、拡張性の高い新骨格エンジンシリーズを新たに開発しました。
・軽乗用車「N BOX」を皮切りに順次エンジンを刷新し、3年以内に各カテゴリーで出力特性と燃費性能のNo.1を目指します。
・660ccクラスから、1.3Lクラス、1.5Lクラス、1.8Lクラス、2.0Lクラス、2.4Lクラス、3.5Lクラスまで多様なバリエーションを設定しました。
2.はディーゼルエンジンの話し。小型軽量で燃費性能アップしています。
2.世界最軽量※1を実現し、クラストップ※1の加速性能と燃費性能を実現した小型ディーゼルエンジン・ エンジン剛性、燃焼指圧の最適化により、シリンダーブロックのアルミオープンデッキ化を可能とした1.6Lクラスで世界最軽量※1のディーゼルエンジン。
・ 現行の2.2Lエンジンからのダウンサイジングに加え、各部のメカニカルフリクションを徹底的に低減することで、現行ガソリンエンジンと同等レベルの低フリクション化を達成。
・ 冷却システム改良による熱マネジメントの最適化もあわせ、CO2を15%※2以上低減。
・ 小型高効率ターボチャージャーの採用と往復摺動部の軽量化により、レスポンスに優れた軽快な走りを実現。
日本市場にも導入されるのでしょうか。
3.はトランスミッション、CVT。
3.操る楽しさと燃費性能を高次元で両立したCVT・ 様々なエンジンに適合できる軽クラス、小型クラス、中型クラスのCVT3骨格を新たに開発。
・ 高強度ベルトの採用により、ワイドなレシオレンジ設定が可能な骨格構造を実現。
・ ベルトとプーリー間の接触挙動解析技術と高精度油圧制御システムの導入により、さまざまな走行条件や環境下において、プーリーに最適な油圧を付与することが可能となり、燃費向上に貢献。
・ 電動オイルポンプを採用し高い応答性を実現したアイドリングストップシステムにより、燃費と扱いやすさの向上に大きく寄与。
・ 変速、スロットル、油圧制御系の新協調制御「G-Design Shift」により、ドライバーの要求に素早く反応し、高く伸びのある加速Gを維持して、爽快でスポーティーなドライブフィールを実現。
・ 軽クラスでは、制御系デバイスや軸配置を工夫することで前・後長を短縮するとともに、トランスミッションケースの構成を簡略化するなど部品点数を削減し、軽量・コンパクト化を実現。
・ 小・中型クラスは、軽量コンパクト化に加え、レシオレンジを拡大しながら伝達効率も大幅に向上させることで、従来CVTに対し約5%※2、同クラス5ATに対して約10%※2の燃費向上を実現。
CVTは効率のよいギア比に調整できて燃費性能には有利ですが、どうしても滑りが発生してしまうのでハイパワーに向かないのと、ダイレクト感の薄い操作性が問題。それを解決してくれるとのこと。
ここまでは前座みたいなもので、これからが本番。
4.はついに新しいハイブリッドシステムの投入です。
4.世界最高効率※1を実現した2モーターハイブリッドシステム・走行性能を高めながらCO2低減にも対応した、世界最高効率※1の2モーターハイブリッドシステムを新たに開発。
・専用リチウムイオンバッテリー、チャージャーなどの採用によりプラグインハイブリッド車にも搭載可能。
・2012年にプラグインハイブリッド、2013年にはハイブリッド車としてこのシステムを搭載した中型車を量産化予定。
・市街地などでは「EV走行モード」と、エンジンで発電した電力によりモーターを駆動する「ハイブリッド走行モード」、高速クルーズ時は、エンジンとタイヤが機械的に直結された「エンジン直結走行モード」と3つの走行モードを使い分けることで、さまざまなシーンに応じた最高効率※1のシステムを実現。
・120kWの高出力モーターとの組み合わせにより、環境性能とFUN性能を高い次元で両立。
これまで90年代に開発したIMA、1モーター・パラレルハイブリッド方式を使ってきましたが、ついに次世代2モーターに乗り出します。これはプラグインハイブリッド、つまりEV走行をも可能にしたシリーズ・パラレルハイブリッド方式になるというのです。ようやく構造的にプリウスレベルになってきたということですね。
▼ハイブリッドから電気自動車、燃料電池車まで、次世代自動車の仕組みのまとめ ([の] のまのしわざ)
しかもIMAで使っていた10kW(14馬力)モーターから、一気に120kW(187馬力相当)へジャンプアップ。どこまで加速するんでしょう!
こうなると俄然盛り上がってくるのが新型NSXの行方。一見レジェンドのようにもみえる 5.新型SH-AWDはそのまま前後逆にしてNSXになるのかも。
5.走りと燃費性能を両立した高効率・高出力のハイブリッドシステム「電動SH-AWD」・ 大型車に最適なハイブリッドシステム「電動SH-AWD」を新たに開発。3.5LのV型6気筒エンジンにこのハイブリッドシステムを組み合わせることで、V型8気筒エンジンと同等の加速性能と、直列4気筒エンジン以上の低燃費を実現。
・ エンジンと30kW以上の高効率モーターを内蔵した7速デュアルクラッチトランスミッションを組み合わせながら、後輪を20kW以上の左右2つのモーターで独立して駆動する電気式の四輪駆動システム。
・ 高性能なリチウムイオンバッテリーを搭載し、フロントとリア2つのモーターを最適にコントロールすることで、低燃費で高い出力性能を持つ新ハイブリッドシステムを実現。
・ リアに独立した2つのモーターを配置し、新開発のリア左右トルクの自在制御システムによって、革新的なオン・ザ・レール感覚のコーナーリングが可能。日常のさまざまなシーンで安定した走行の実現を目指しました。
ここでのハイライトはいくつかありますが、まず7速デュアルクラッチトランスミッションを新開発するということ、さらにそれに30kW以上のモーターを内蔵するということがもっとも大きいです。
さらにプロペラシャフトを前後に通すかわりに電線で電気を供給、20kW以上のモーターを2つで左右それぞれ独立して駆動するハイブリッド4WDにするというのですから驚きです。
コンセプト自体は2001年モーターショーで展示したホンダ・デュアルノートに酷似していますし、最近でいえば BMW i8がこのタイプのハイブリッド4WDを採用予定なので今後定番となるフォーマットの予感です。
The 35th Tokyo Motor Show 2001V6 3.5L DOHC i-VTECエンジンとモーターブースターともいえる独自のハイブリッドシステムをさらに進化させたHonda IMAシステムを採用。さらにフロントドライブモーターを加え、400PS※1 というハイパワーとともに18km/L※1 の低燃費をめざし、運動性能と環境性能を高次元で両立します。ミッドシップエンジン・リアドライブ、ハイブリッド4WDのパワープラントに、スムーズで安定したコーナリングを生むATTS※2 や、クルマの横滑りを抑える車両挙動安定化制御システムVSA※3 を装備。これらが協調制御しながら4輪を独立制御し、タイヤの機能を最大限に引き出すことで、駆動・制動・旋回における高度なパフォーマンスを獲得しています。
ATTSとはSH-AWDの先行技術、FFの左右輪の駆動力を自在に調整するものでプレリュードに搭載。コーナリング時に外輪に多くトルク配分するもので、SH-AWDではこれをさらに進化させて後輪の左右輪の駆動力配分を制御しています。
3.5L V6エンジンが仮に300(223kW)馬力、ハイブリッドモーターが30kW、さらに後輪(NSXの場合は逆に前輪)モーター 20kW x 2 で総合出力が293kW、393馬力相当になるかもしれません。特性が違いますが、GT-RやLFAといいライバルになれそうです。
最後はEV。
6.EV用小型高効率電動パワートレイン・高効率同軸型モーター、低フリクションギアボックス、電動サーボブレーキシステムなどにより、米国で定められた条件値の交流電力消費率29kWh/100マイル(116MPGe)という、世界最高※1の電費性能を実現。
・航続距離は、高エネルギー容量のリチウムイオンバッテリーを搭載することで、123マイル※3(LA-4モード:unadjusted)、210km※3(JC08モード)を達成。
・米国の240V電源を使用した場合、3時間以内でフル充電が完了。(充電警告灯点灯~満充電まで)
・「SPORT」「NORMAL」「ECON」の3つの走行モードを用意したことで、電力消費の少ない走行からスポーティーな走りまで、ドライバーが自由に選択可能。
ボディタイプは不明ですが、小型ということなのでフィットクラスのEVとなりそうですね。EVは日産が先行していますがドイツメーカーも続々と参入、激戦区となりそうな気配です。
BMWの Vision Efficientと同じく、エンジン、ディーゼル、ハイブリッド、EVと全方位に対して燃費向上、高効率化に乗り出してきました。
新型NSXコンセプトも1月の北米モーターショーに出てくるというし、ホンダの今後に注目ですね。
[Honda | 次世代革新技術「EARTH DREAMS TECHNOLOGY」を発表 ~今後3年以内に各カテゴリーで燃費No.1を目指す~]