ミニ四駆ステーション・チャンピオン決定戦(タミヤフェア2011)参戦レポート
2011.11.22 寄稿者: のま (元記事)タミヤフェア2011で開催された「ミニ四駆ステーション・チャンピオン決定戦」に参加してきたので、そのレポートです。
実は初のタミヤ公式大会です。
ミニ四駆オンライン全国のミニ四駆ステーションで開催された「スプリングトライアル」「サマートライアル」「オータムトライアル」の優勝者および店舗推薦選手が競うチャンピオン決定戦を今年も「タミヤフェア2011」会場内で開催!!
※このレースには「ミニ四駆ステーション・チャンピオン決定戦の出場認定証」をお持ちの方のみ、ご参加いただけます。
ミニ四駆天下一武道会「ミニ四駆ステーション・チャンピオン決定戦」11月19日開催! #mini4wd【ワンダードライビング】ミニ四駆ステーションというのはミニ四駆コースが設置されている場所、店舗。ここで行われるレースで優秀な成績を修めた人や、店舗推薦選手だけが参加できるのが「ミニ四駆ステーション・チャンピオン決定戦」です。つまり全国からミニ四駆の猛者たちが集まっているという、身震いするような天下一武道会。
このミニ四駆・天下一武道会に選手として参加してきました。クラスはスーパーX/XXシャーシ限定クラス。
・・・スーパーX/XXシャーシ限定?
実はワタクシ、スーパーX/XXシャーシは組んだことはあるのですが、ほとんど実走・セッティングしたことがありません! しかもコースはタミヤの公式コースらしく、立体的な配置でジャンプ対策が必要です。しかしマスダンパーのつけ方やセッティングも今まで見よう見真似で、ほとんど経験なし。ないないづくしでどうしよう、でも時間があるから色々とトライしよう・・・と思っていたら大会前日となってしまいました。
慌ててマシン製作&前日にえのもとサーキットさんへセッティング確認のため訪問。普段はフラットコースなのですが、チャンピオン戦前日ということでジャンプ、テーブルトップのあるレイアウトになっていました。さすが!
今回のマシンのセッティングは、「謎のドラゴンバック」「テーブルトップ」対策にブレーキを利かせる作戦。直線区間もかなりあるためストップ&ゴー、モーターはハイパーダッシュ2を使い、バンクやジャンプの手前で確実にブレーキを効かせます。
またジャンプ後の着地を安定させるためのマスダンパーはフロントに3つ、リアに2つを極力低い位置に、かつヨーの慣性モーメントを小さくするために重心位置に近くなるように配置。
さらにマスダンパーの効果を最大化するため、マスダンパーの振幅(ストローク)を2種類に。
マスダンパーは車体の動きと逆位相になると効果が最大化されるのですが、意外と同相となりがち。同相になるとマスダンパー効果はないばかりか、逆にバウンドを加速させることも。
これを避けるために小さなストロークのものと大きなストロークのものと2種類配置しました。ストロークが少ないものと多いもの、重さをかえて実験して、どれも今イチだったのですが、ストロークの少ないものと多いもの両方を合わせたら効果が現れたのです。
どうやら小さなストロークのものがバウンド後すぐに効き、その後から大きなストロークのものが効くと2段階で効くようです。
また重量が小さくても効果が十分、重量が大きいマスダンパー(おもり)を使わなくてよくなるので、低重心化と低慣性モーメントに寄与、製作の自由度も増すというメリットが。
写真ではフロント中央のものと、リアのプレート下に隠れてつり下がっているものが小ストロークマスダンパー、フロントタイヤ直後の2つと一番リアについているものが大ストロークマスダンパーとなります。すべて重さは4.7gのもの。
全重量はF 82g、R94gの 176g(電池、モーター込み)。
全長は規定の165mmギリギリ。そのギリギリのフロントとリアにブレーキを装着、フロントはスポンジ、リアはグレーの一番強力なブレーキを全面に装着。最低地上高はフロント1.0mm、リア1.5mmで、ブレーキを最大限に効かせています。
・・・
当日は5:10am出発、7:30am到着。8:30に開場し、受付してからピットスペースを確保、コースを見渡します。
想像以上にハイスピードかつ、ドラゴンバックと立体交差、テーブルトップが「発射台」の雰囲気を醸し出しています。
そして実際にオープンクラスがスタートすると・・・
とぶとぶとぶ!
3人ひと組で予選レースを行うのですが、3台とも飛んでしまうケースが多発。まさにタミヤさんの狙い通り、してやったりの図。
えのもと勢もこの様子をみてスピードを落として調整、モーターはトルク・レブチューンモーターが主流に。スピードは抑えめ、コースアウトしないのが肝要です。
MCガッツ「なにもとサーキットですか?」
ぜっとさん「えのもとサーキットです」
他にも「なんとかもとサーキット」ってあるんですかねえ?(ないない)
・・・
そんな様子をみてビビった私はモーターをハイパーダッシュ2からトルクチューンへ交換。あくまでも「完走」「他車コースアウト」狙いという消極的作戦にでました。さてこれが吉とでるか、凶と出るか。
「ファーン」
あ、スタートで出遅れました。というのも音よりも先にシグナルが赤から緑にかわるので、光に合わせないといけないんですね。耐久レースではスタートの差は決定的な差にならないのですが、スプリントレースでのこの差は結構厳しいです。
1周めで1台がコースアウト、ここまでは狙い通り。しかしトップを快走するマシンとの差は開くばかり、あとはコースアウトしてくれることを期待するだけですが、ジャンプ姿勢は安定していてまったくその気配はありません。あっという間に3周が終了し、2位完走で予選敗退、おしまいです。
朝4:45amに起きて、3時間近くかけて静岡まできて、6時間待ってレース30秒で終了。
なにこの儚さっぷり! まさに人の夢とかいて「儚い」です。
ミニ四駆ブームのころ、東京ドームでミニ四駆大会を開催したそうです。数万人が集まる大会、しかし決勝レースまでにその数万人を振り落とさなければなりません。そこで鬼レイアウトを採用、1コーナーをとても難しくすることでマシンがコースアウト続出、大会進行を早くしたという伝説をきいたことがあります。本当かどうかは不明ですが、ミニ四駆の公式レースとは、それほどまでに厳しくも儚いもの。
しかし、無駄死にではない、ぞ。
これは次の大会への布石に過ぎません。なにせ周りは公式レースに参戦慣れした猛者たち。とても安定感のある走行っぷりで、タイムもジャンプも素晴らしいものばかり。非常に参考になりました。
(オープンクラス優勝決定戦)
直線での速度がはやく、ドラゴンバックに至るまでの減速帯となるウェーブ、そしてバンクでの急減速、そしてドラゴンバック、立体交差を安定的にクリア、そしてまた直線区間で加速とただたんにモーターパワーを落としての調整だけでない素晴らしい走り。
特にジャンプ後のリバウンドもほとんどなく、マスダンパーが効果的に使われているのがよくわかります。
ミニ四駆改造マニュアル@wiki - 中・上級セッティング提灯
主に公式戦のスロープセクションを攻略すべく考えだされた、マスダンパーの発展型。
リアステーを基点として、車体中央に向かってFRP(直FRPが多い)を腕のように伸ばし、腕の頂点両側を結ぶようにFRPを渡したら、その左右に吊り下げ式でマスダンパーをつける形式が基本形。
マスダンパーの錘をFRPに吊り下げているその姿から、提灯の呼称が生まれたといわれ、基本形の他にも、レーサーによって様々な派生形が開発された。基点となる部分をFRPごと上下に動くようにすることで、マスダンパー効果を車体中央を中心に、広範囲で得られるのが利点。スロープセクションの着地では非常に高い効果を発揮する。
ボディのさらに上に装着する宿命から、重心が高くなるのが欠点であるが、小径またはローハイトタイヤで、全体の車高を低くすることでカバーできるとされる。公式戦でアイガースロープが一般化した2009年、その対策の決定版として提灯を装備するマシンが急増し、実戦でもかなりの効果を発揮した。
2010年の公式大会からは、特別レギュレーションの適用により、リアステーから伸ばす基本形の提灯はレギュレーションに抵触するため、提灯を装備して公式大会に出る場合は、取り付けに工夫が必要となる。
↓製作例はYRGさん、ぱださんのHPをどうぞ
▼提灯マシンを作ってみる|もばらよん!~Mobile Rush MINI4WD!~
すでに主流となった感のある「提灯(車体後部から前にアームが伸び、その先にマスダンパーをつりさげているタイプ)」ですが、これがなぜ効くのか今までよく理解できなかったのですが、今回の動作をみていてよくわかりました。これは上向きの回転モーメントを打ち消すのに使っているんですね。
ジャンプしてリバウンドしたとき、たとえばリアから着地した場合はその後フロントを打ち付けてフロントが浮き上がるモーメントが発生します。一方、提灯は位相差をもって下に落ちます。このとき下向きの回転モーメントが働き、それぞれ打ち消しあうのです。
アームを使っている分ストロークもタップリ、テコの力点と作用点の関係からマスダンパーが10g~20gにもかかわらず 100g以上の車体重量を抑え込むことに成功しています。
これがフロントから着地し、リアがバウンドするセッティングだったとすると提灯マスダンパーは効果がないどころか、逆にリバウンドを悪化させる可能性があります。
さらに4連レーンチェンジャーで挙動が乱れたとき、この提灯がなにかの拍子で上に開いた場合には狭いレーンチェンジャーの屋根にぶつかってひっかかったりすることも。いわゆる「頭上注意」です。
そこに注意さえすれば、提灯の威力は絶大です。これ考え出した人は天才ですね。
レース後練習走行をみんなでやったのですが、アトミックモーターでも安定して走行、コースアウトすることなく完走できました。タイム的にはトルクとほぼ変わらずですが、多少は速くなっているようです。
タラレバでいえば、
・ギアをEXギア(3.7:1)にしていたので、これを 3.5:1にする
・モーターはアトミック、またはハイパーダッシュ2にする
・電池を直前で追い充電する(前日充電のをそのまま使用していたので)
など攻めた方がよかったのかもしれません。しかしコースアウトしたかもしれないので、一概にはいえません。練習走行なしの一発走行では経験がものをいうので、とにかく経験を積んでいきたいですね。
それにしてもスタート前のドキドキ、緊張感は凄いものでしたよ。ジムカーナの現役時代を思い出しましたが、クルマはまだ操作ができるからマシ。スタートしたらすべてはマシン任せのミニ四駆は誤魔化しがきかないし、ほんとシビアですね。まさにモータースポーツ。
立体コース攻略も今後熟成していきたいですね。
今回はいつもお世話になっているえのもとさん、また一緒にいったえのもとサーキットの仲間たちに感謝感謝でした。タミヤさんも素敵なタミヤフェア&ミニ四駆大会、どうもありがとうございました。また来年も挑戦権を獲得して行きたいです。