ロータリーエンジンは死なず! Audi A1 e-tronにレンジエクステンダーとして搭載
2011.11.21Audi A1 e-tronが日本初上陸です。
asahi.com(朝日新聞社):アウディがEV「e-tron」2車種を日本初公開 - 愛車「A1 e-tron」はコンパクトカー「A1」をベースに電動化を図ったもので、発電機と一体化された小型ロータリーエンジンを搭載したレンジエクステンダー式のEV。シリーズ式ハイブリッド車とも言え、搭載したリチウムイオンバッテリーだけで50キロの走行が可能。さらにラゲッジスペースのフロア下に配置された内燃エンジン(排気量254CC、燃料タンク容量は12リッター)の発電により、走行距離を最大でさらに200キロ延ばすことができる。内燃エンジンは純粋に発電用で、駆動輪と機械的な接続はされていない。最高速度は130キロ。
バッテリーによる走行時はモーター音もほとんど感じない。レンジエクステンダーが起動してエンジンが回ると「ウィーン」という低音が聞こえてくるが、タイヤの接地音の陰で目立たない。NSUから引き継いだ、ロータリーエンジンの静穏性という遺産を十分に活用しているようだ。バッテリーは230ボルト電源を使用して約3時間でフル充電が可能。
ロータリーエンジンは構造が簡単かつ小型という特性を活かして「発電機」として活用です。NSUとはロータリーエンジンを実用開発した会社で、現在はAudi傘下。マツダはロータリーエンジンを実用化する際、NSUからエンジンやライセンスを購入したという歴史的経緯を持ちます。
ロータリーエンジン - Wikipedia昭和34年(1959年)、西ドイツ(当時)のNSUがフェリクス・ヴァンケルと共にロータリーエンジンを試験開発したと発表した。国内では、昭和40年(1965年)の乗用車輸入自由化に向け、通商産業省主導による自動車業界再編が噂されていた。後発メーカーである東洋工業はその波に飲み込まれ、統合・合併の危機が迫っていた。「技術は永遠に革新である」をモットーとする当時の松田恒次社長は事態打開を目指し、昭和35年(1960年)にNSUと技術提携の仮調印を行った。契約に際してNSUから提示された条件は以下のようなものだった。
・10年で契約金は2億8000万円(当時の従業員8000人分の給与に相当)
・東洋工業が取得した特許は無条件でNSUに提供
・ロータリーエンジン搭載車販売については、1台ごとにNSUへのロイヤリティーが発生あまりにも一方的な内容であった。 しかもNSUから送られてきた試作エンジンは、とんでもない欠陥を残したままの未完成品ともいうべきものだった。アイドリング時の激しい振動、オイルの過大な消費、それによるおびただしい白煙、さらにチャターマーク(ローターハウジング内壁に波状磨耗を起こす致命的なトラブル)によって40時間程でエンジンが停止。ロータリーエンジンは試験開発には成功したものの、とても実用化できるレベルのものではなかったのである。
駆動エンジンとしてではなく、発電用エンジンだと負荷も軽くフレキシビリティ(低回転から高回転まで使える性能)も不要なので活路があるかもしれませんね。
最近 Audi/NSUとマツダのロータリーエンジンでの提携も噂されていますので、今度は逆にマツダのノウハウを提供する番かもしれません。
▼マツダとアウディ、ロータリーエンジンで提携か | レスポンス (ビジネス、企業動向のニュース)
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マツダ―技術への「飽くなき挑戦」の記録