ホンダビートで北海道の雪道を走ってきた(凍結路は恐ろしい)
2023.03.18ホンダビートにできる限りの雪装備をした上で、北海道旅行(出張)に行ってきました。
その様子を動画でどうぞ。
以下雪道ビートのインプレッションです。
もともと長野の雪道をスタッドレスタイヤで走った時、最新スタッドレスタイヤ、ブリザックVRX3の雪上でのトラクションの高さ、そしてビートのもつ車両バランスの良さに舌を巻きました。もともとドライ路面でもとても楽しい車であるビートですが、圧雪路ではその重量バランス、トラクション、ハンドリングがマリアージュして意のままに操れるのでした。
特に雪道ではステアを入れたときに少しだけフロントタイヤが外にずれてからコーナリングフォースを生み出してラインにフロントタイヤが乗るタイミングでヨーモーメントが生まれ、リアが少しだけ外にずれてフロントタイヤのラインをトレースするようになりほぼニュートラルステア、フロントタイヤと同じラインにリアタイヤを通すことができます。アクセルを少し多めに開けていくとこのリアタイヤのスライド量は増え、フロントタイヤのラインの外側、つまりはオーバーステア傾向になって多少のカウンターステアで調整していきます。これをもっと大きく動かせばいわゆる派手なドリフト走行ができるわけですが、この調整範囲が非常にひろく、マッタリと動くので安心して動かすことができます。つまり意のままに操れるのです。
コーナリングの進入では絶対にオーバースピードにならないように慎重にブレーキ、ロックさせないように注意が必要ですが、いったんステアを入れてからはアクセル操作だけでコーナリングを調整できたり、さらには加速しながらコーナーを抜けられるのでかえってペースは速いほど。いわゆるスローインファーストアウトを体験できます。
車両重量も760kgと現代の車と比べると圧倒的に軽く、最新の軽自動車と比べても軽く、重心が低いのでどの二輪駆動よりも安定感が高いです。当時雪道ではNSXよりも速いと謳われましたが、それも納得。
そんな素晴らしいビートではありますが、やはり弱点はあります。それはやはり凍結路。
タイヤのグリップ、トラクションがある積雪路ではハンドリングの良さが光るのですが、いったんタイヤグリップがほぼゼロになってしまう凍結路では、ミッドシップの後輪駆動の宿命であるリアヘビーのデメリットが露呈してしまいます。
それはヨー中心よりも後ろ側に重いエンジン・ミッションがあることで慣性モーメントが強く働き、スピンモードに入ってしまうことです。また凍結路では不等長ドライブシャフトによるトルクステアが顕著にあらわれ、車自体が斜めに走ろうとするので常に修正舵が必要です。それに加え、暴風雪の強い風に軽い車体があおられ、フラフラとすることが多く、これも修正舵を求められます。タイヤが少しでもグリップしていれば修正舵やアクセルコントロールもきくのでしょうが、凍結路、いわゆるブラックバーンでは操作は反映されず、まさにカーリングのストーンのようにまっすぐ進みつつ、回転を始めてしまうのが恐ろしいところ。
今回地元車にまじって走行中、ついていけず落としたペースであったにも関わらず、ふきっさらしの直線路で突然単独スピンしてしまいました。対向車もなく、一回転してとまって路肩に寄せられたのはラッキーでした。
その数十分後、4台の絡む交通事故を目撃し、やはりどんな車でも凍結路であればコントロールできずにぶつかってしまうことを再認識しました。そのあとは自動車専用道路を法定速度で走ったのですが、それでも地元車にバンバン抜かれていき、掟破りの地元走りのすごさを感じた次第です。
ですので冬ビートはやはり雪道限定、凍結するような場所や時間は走らないのが身のためですね。皆様をお気をつけて冬、雪道をお楽しみください。