カーデザインの明日はどっちだ? カーデザイントークイベント開催
2016.10.04カーデザインアカデミーがアルティメットカーデザインバトル2016のアフターイベントとしてトークショーを開催。
Car Design Academy : 代官山蔦屋書店にてカーデザイントークイベント
カーデザインバトルといえば昨年第一回が開催され、大盛況となった伝説のイベント。今年はパワーアップし「アルティ目とカーデザインバトル2016」として開催、その優勝者を迎えてカーデザインについて語りつくしました。
出演者)カースタイリング編集長 松永大演さん
デザイナー 根津孝太 さん
ハイパークリエイター やまざきたかゆき さん
デザイナー 杉山旅人 さん
金沢美術工芸芸大3年性 時岡翔太郎 さん(アルティメットカーデザインバトル2016優勝)
司会:カーデザインアカデミー校長 仲宗根悠 さん
アルティメットカーデザインバトル
場所を秋葉原の千代田アーツ3331に移し、多くの参加者を迎えてのカーデザインバトル。
予選をギリギリでくぐり抜けたという優勝者の時岡さんは決勝を前に戦略をこう考えたといいます。
・決勝は相対評価となるため、他の人と違うものにした方がよい
・画力という点ではNo.1となることができない、ならばアイディアでNo.1を狙う
その結果がこちら。
2050年のパーソナルモビリティというテーマに対して、まさかの4足歩行、乗馬タイプを提案してきました。その斬新なアイディアで見事優勝を決めたとのです。
予選、決勝を通じてハイレベルな戦いが繰り広げられたことは、スケッチからもうかがい知れます。優勝おめでとうございます。
まるいシールの数が投票数で、生々しいです。
トーク
・メーカーはどうなっていくのか?
なかなか難しい社会性テーマから展開。
ここではちょうど社長が来場されていた日本エレクトライクが紹介、そして無茶フリされていました。日本エレクトライクは3輪EVの今後の可能性に魅せられた元メーカーのエンジニアが立ち上げたベンチャー会社。
生産やコストの問題、さらに日本の法規制の難しさなど、EVバイクやパーソナルモビリティをデザインした根津さんと意気投合。
私も今業務でベンチャー企業支援、特に交通関係を担当しているだけに興味津々です。3輪の可能性はいま再び注目ですが、日本のがんじがらめの法規制ではベンチャーが出てくる目がありません。グレーゾーンをつくか、ロビー活動を行うか、もちろん両面から攻めないと難しいですね。
・車両の新しい価値について
続いては車両自体について。
昨今やまざきさんが手がけているのが、少し古いランクルの手直し、イメージチェンジすることで新しい価値を再発見するプロジェクト。
カースタイリング編集長の松永さんは、今後のメーカー、サプライヤーなどの役割が変化すると指摘。ただクルマを作って売る、だけではなく、多様な形態になるだろうと予測し、日本エレクトライク、orimo、WHILLEといったモビリティの多様化が進みそうです。
20代の若いデザイナーも新しい、未来的なデザインだけではなく少し前の、ヘリテージなデザインに注目しているということで、デザインの幅はますます広がっていくこと、そして車両が普遍的なものになるのに対し、デザインの果たす役割は今後ますます大きくなっているのではないか、とのことでした。
アイディアはどこにある?
ではアイディアはどこから湧いてでてくるのか、そのひとつの答えがこちら。
根津さんの新刊、「アイディアは敵の中にある」の紹介です。
トヨタの中でさまざまなセクションと戦い、スルリとかわしてきたように見える根津さんだからこそ、かける秘訣があるに違いありません。根津さんのトヨタ社内トークは抜群で面白いのですが、危険なので書けません、ぜひナマできいてみてください。
カースタイリング
最新のカースタイリング号。どうやったら「文字以外で表現ができるか」ということに挑戦した紙面作りとのことで、これまで表現といえば文字主体だったがゆえどうしても文学、ポエムになりがちでした。文字に頼らない表現の一つとして写真やスケッチの活用があり、それをどう活かしているか、気になる人はぜひどうぞ。
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次回に期待
カーデザインバトル、トークショーともに示唆に富む内容。デザインに興味がある人やデザイナーだけではなく、もっと色々なひとに感じてほしいですね。特に大人だけではなく、子供や学生にも触れてもらいたいものです。未来をつくるのは若人ですから。