アマチュア無線でFPV空撮を実現するガイダンス
2014.08.30FPV(ファースト・パーソン・ビュー)はカメラを機体に積み、映像を伝送することでまるでパイロットのように遠距離でも機体を操作できるもの。クワッドコプターによる空撮では特にカメラの画角をみたり、死角での操作に威力を発揮します。
ただ日本の電波法の関係から、海外で使われている安価なFPV機材は日本では使えません。そのためアマチュア無線局を開局して行う方法を模索しているホームページがあったのでご紹介。
そもそもアマチュア無線でそんなことをやっていいの? という指摘に対しての見解はこちら。
アマチュア無線でRC FPVを楽しむ筆者がアマチュア無線局を大昔に開局したのは今から半世紀以上前の話です。
当時、アマチュア無線の装置で国産で市販されていたものは組み立てkitでした。
私は当時中学一年生でしたから、高価なkitを買う小遣いはないので、ひたすら市内の廃品回収業者を徘徊して、部品を集め、無線機を自作し、電波管理局に申請して開局にこぎつけました。当時のアマチュア無線家のほとんどの機材は自作でした。
市内のアマチュア無線クラブに入会しましたが、会合では技術論議が盛んに行われました。
無線機の技術や無線工学、アンテナの設計、興味ある話ばかりでした。
無線で他局と「通信」してQSL(交信カード)を交換するのは、自作した無線システムの性能を確認するための「手段」ともいえました。要するに、当時のアマチュア無線というものの「目的」は無線機設計製作という技術への興味にあったわけです。
やがて、無線機が高度化すると、自作派は減少し、アマチュア無線機はすべて「買い物」になってしまい、アマチュア無線の本来の目的と手段は逆転し、やることは「通信」だけになってしまいました。
さらに時代が進んで、携帯電話やインターネットの時代になると、もはや「通信」もアマチュア無線ではその座を追われてしまいました。
現在短波帯を使ってアマチュア無線を楽しんでいる人の目的はなんでしょうか?
やはり、大枚はたいて買った無線機やアンテナという自前の「設備」の性能を確認すべく、海外との交信を楽しんでいるのです。
アマチュア無線の運用規則では真っ先にこのように記載されています。
アマチュア局は、金銭上の利益のためではなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究のためのものです(電波法施行規則第4条第1項第24号)。
アマチュア無線の本来の目的は「無線技術の興味によって行う技術的研究」であって、通信で楽しむだけではないのです。
FPVは映像の無線伝送技術によって実現するものですので、それを技術興味によって行う研究であればまったく問題ないどころか、本来のアマチュア無線の目的に叶っています。
その上で実際に行う場合の注意点。
冒頭に書いたように、模型飛行機にマイクロウエーブ送信機を積んでTVカメラの映像を地上の操縦者に伝送し、飛行機からの映像をモニタで見ながら飛行機を操縦するのがFPVですが、FPVを楽しむためには様々な条件もあり、筆者が実験して経験した範囲から提案と注意事項がありますので、熟読してください。
1)飛行機をFPV操縦で飛行させる範囲に人家がないことを確認すること
2)飛行範囲は2.4GHzプロポのカバー範囲内であること(概ね半径600m以内)
3)飛行前後には無線局のコールサインボードを撮影送信する、またはOSD(On the Screen Display)にコールサインを重畳すること
4)飛行させる飛行機は自律飛行が可能なオートパイロットを搭載していること
(オートパイロットFC:FlightControllerにより操縦用の送信機から手を放しても基本的に空中停止、あるいは直線飛行が可能であること)
5)オートパイロットではRTH(Return to Home)機能、Fail Safe-RTH機能があること
(飛行機の位置をロストあるいは、2.4Gリンク切れの場合、自動で帰還できること)
6)FPV 映像にはOSDを備えること(メイン電源の電圧、飛行時間、Homeからの距離、RSSI、Homeへの方角、高度などは必須)以上の飛行安全確認と機体の装備がなくてFPV操縦をすると危険ですから、十分に準備をすることが肝要です。特に5)のRTH機能は重要です。
技術的な理解と、アマチュア無線局開局申請といったハードルはありますが、「アマチュア無線は使えない」というこれまでの思いこみは覆されていますので、興味ある方はぜひ参考にしてチャレンジしてみて下さい。
(写真はイメージ)