横須賀本部施設一般公開でJAMSTECに触れあってきました
2014.05.14JAMSTEC、ジャムステック。この言葉の響き、青い空、広い海。この大海原に繰り出してあらゆる自然現象、地球について調査している秘密組織...いや秘密でもなんでもありません。しかし普段は秘密のベールに包まれているJAMSTECの本部に堂々と潜入できる機会が1年に1度だけあるんです。それが一般公開。
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今年2014年、内部のモノの手引きもあり堂々と正面ゲートから潜入してきたのでそのレポートです。
普段は堅く閉ざされ、こわもてのガードマンが迷い込んだ人間を追い返すという鉄壁の守りの正面ゲート。朝9:30公開というのに、8:30amからすでに並び始めています。
正式名称「独立行政法人 海洋研究開発機構」
Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology (JAMSTEC)
このフォントがこの組織機構の孤高の存在を象徴しています。9:30amゲートオープン、緊張で震えながらゲートをくぐります。
広い敷地の中には研究棟から調査船を横付けできる港、機材を整備する整備棟までオールインワン。
真っ白な塗装が眩しい船は 「しんかい6500」の支援母船「よこすか」。
まずはその「しんかい6500」を見に行きます。
しんかい6500
潜水調査船整備場には有人調査船しんかい6500と無人調査船うらしまの展示。
改修により船尾のスクリューは左右2つに換装、小回り性能アップしています。従来あったスクリューはカバーされマンボウのようなお尻になりました。
最近ではニコニコ動画にでたりと硬軟併せ持つJAMSTEC。水圧で押しつぶされる発泡スチロールにもテレビちゃんのイラストが。
水圧に耐えるためにガラスはこの分厚さ。広い視界を確保するためにすり鉢状になっています。
深海巡航探査機「うらしま」は魚雷のような形。自立航行で海底の調査を行います。
無人探査機
お次は無人探査機整備工場。
有人と違い耐圧カプセルを擁さないので形は自由自在。より武骨、不格好な方向です。
かいこうシリーズは色々な種類、形があり、測定するものや深度の違いなど事細かに用途が分かれています。研究調査対象によって使い分けるのだとか。大鉄人17の飛行形態のような四角っぽさが特徴。
こちらもまた水圧によって潰される発泡スチロール。毎回もっていっているのでしょうか。最近のカップヌードルは容器が発泡スチロールではなくなったために発泡スチロール不足が悩みの種でしたが、すでにたくさんの発泡スチロール容器が寄贈されているので当面は大丈夫とのこと。
気候学者 堀正岳さん登場
JAMSTECに籍をおき、主に北極を中心として研究活動を続ける堀さん。今回は堀さんのアテンドにより、色々と詳しい説明を受けてより理解が深まりました。ありがとうございます。
その堀さん自身の昨年の北極海観測の内容や成果についても展示がありました。
北極海でラジオゾンデをあげて、大気観測しています。堀さんは左から2番目。
ヘリウムを入れて飛ばすラジオゾンデも展示。
北極海では毎日のようにオーロラが見られるとのことで、綺麗なオーロラの様子を撮影。
地球の気候変動を探る堀さんの深遠なる悩みは
「南極どうでしたか?」
「ペンギン可愛かったでしょ」
と言われること。
何度「北極」といっても、みんな南極と間違えているそう。南極はでかい大陸があって、探検隊ではないので船ではいけないのです。それはともかく、実際にはロシア領海に入れず、データが採取できないのが真剣な悩みです。
「南極じゃない、北極だ!」
エルニーニョを察知するブイ
m-TRITONブイはエルニーニョ現象を観測するために海上に浮かんでいるブイ。これは横倒しの状態で、実際には立てて観測機器を上につけて使用します。
観測機器には鳥がとまらないように見慣れた鳥よけのとげとげが。沖合数百キロの場所にも関わらず鳥が飛来し、糞害で計測機器が不調になるための対策です。
そしてもう一つ問題なのが、そのへんの住民がブイをみつけると鹵獲、売り払ってしまうとのこと。なので設置場所は秘密ということですが、住民を守るための気象観測用ブイなのになんというかかんというか。
海底地震計
海底に設置し、地震速報に活躍する海底地震計。現在ある地震速報はこのJAMSTECが設置した海底地震計で得たデータを瞬時に送り実現しているもの。意外なところで縁の下の力持ちなのです。
(写真の地震計は地震速報に使われているものとは限りません)
潜水艦ラジコンのデモ潜航
JAMSTECのプールは~ オレの海~
とばかりに自由な発想で作られた潜水艦ラジコンが自由自在にJAMSTECのプールをデモ潜航。
武骨な潜水機構再現ものから、スペースシャトル、はてはゴジラまで。まさに自由の海。協力はアクアモデラーズ・ミーティングでした。
高圧実験水槽設備
深海に行く時に問題となるのが水圧。その水圧に耐えうるか、耐圧試験の実験設備もあります。
鉄の玉が粉々に! ここで水圧試験を行い、安全性を確保できるからしんかい6500が出来るのですね。
水圧水槽の上から覗き込んだ様子。
中央操作盤。意外とシンプルです。
新青丸
2013年に竣工した新造船、東北海洋生態系調査研究船「新青丸」は今回が初公開。
真新しい塗装に最新の機材。
中にはとった魚をさばく理科実験室もあります。
海に投下するプローブ、採水装置。
クレーンは探査機を出し入れするためのもの。これが付いていると調査船という気がしますね。
その他色々
自動で上下動するプローブ、DEEP NINJA。
「よこすか」艦橋。かなりクラッシックな趣。
PC-9801が現役で稼働中。
「うらしま」や「しんかい6500」をこの格納庫からクレーンで出し入れします。
お昼ごはんは広い庭の出店で横須賀海軍カレー。ちょうどその日は横須賀でカレーフェスティバルを行っていましたが、ここで食べられて満足。
まとめ
学術的な展示や装備展示もさることながら、科学と触れあう文化祭的な要素もあり、男性だけではなく女性グループや家族連れ、子供の姿が目立ちました。
子供たちに人気のこのコーナーは「えびげっちゅ」。昔でいうところのシーモンキーのような小さなエビを捕獲して持ち帰れます。
追浜駅からは無料送迎バスが出ているほか、限られていますが駐車場に駐輪場もあります。交通の便があまり良くないところですが、早めにくるとゆっくりできます。
JAMSTECはなかなか馴染みのない機関ですが、海に囲まれた日本、その研究成果は相当生活に密着したものばかり。それを再確認できるのもよいポイント。
惜しいのはこの素敵な公開が1日しかないこと。土日の2日やってくれると時間的にも余裕ができるし、もっとじっくり見て回れると思いました。またガイドツアーがもっとあるとより理解が深まると思います。今回堀さんに説明を受けなければブイや地震計について見逃していたところでした。
内容盛りだくさんなので、JAMSTECさんにはぜひ、そのへんを考慮してただけると助かります。
2012年の訪問レポート JAMSTEC(海洋研究開発機構)一般公開レポート(1)地震予知・地震速報に貢献するしんかい6500編 - [の] のまのしわざ