普段乗れてなかったアレに乗ってみたら発見があった #日産ブロガー試乗会 (3) 伏兵シルフィ
2018.08.09日産の代表車種から好きな5車種を選んで乗ってOKな日産ブロガー試乗会。
最初は軽自動車デイズ、2番目はマーチを選択。軽自動車とベーシックカーときましたが、今回3番目として選んだのはシルフィSツーリング、価格約 245万円(税込)。
日産:シルフィ [ SYLPHY ] セダン | 価格・スペック
シルフィ?
元の名前で呼んだ方がわかりやすいでしょうか、ブルーバードです。ブルーバードからブルーバード・シルフィとなり、今はシルフィ単独の名称となりました。この移り変わり、ホンダで言えばシティのグレード名、シティ・フィットからフィットになったようなものみたいですね。
ブルーバードといえば1990年代を日産シルビアで過ごした私としては憧れたATTESA 4WDを搭載したSSSとラリー用のSSS-Rの存在。当時はスポーツセダンというカテゴリが熱く、たとえ後部座席がある4ドアセダンだったとしてもラリーなどで活躍したもので、SSSのバッジは歴史的にもそのスポーツ性を輝かせていたものでした。
その後ブルーバードは他のセダンと同様にオヤジくささを増していき、デザイン的にももっさりしていきます。あのかっこよかったSSSはどこへいったのか?沢田研二も
「お前の時代だ」といってたのに。
でふと気づくとシルフィになってました。
真面目に作りこんだ自動車としてのグッドバランス
今回の試乗でなぜシルフィを選んだかというと、ティアナやスカイライン、フーガといったセダンの中で最も小さく手頃な価格帯であったこと、そして乗ったことがないし今後も乗る機会はないだろう、さらにいえば今回の試乗会で他の人がほとんど乗らないから。ということであんまり期待してなかったんですけど、走り出してみたらこりゃまたたまげた。
まず静か。
セダンは他の実用車と比べるとより高品質なことが求められます。それは居住性だったり、遮音性だったり。静粛性が高いことは重要なことです。その点で言うとこれまで乗ってきた軽自動車やベーシックカーと比べるとワンランク、いやツーランク上の静かさです。
さらに驚くのはそのアクセルレスポンス。アクセルに対してのピックアップ、反応が早いのです。
昨今の自動車はDBW(ドライブバイワイヤ)技術でアクセルに対して燃費や急加速を防止する観点からわざと「なます」、つまり反応を鈍くする傾向にあります。またCVTはその構造から滑らかな変速は得意なのですが、ギアを2段落とすといった変速は意外と時間がかかるので、総合するとアクセルを全開にしても加速体勢に入るまで(体感的に)ワンテンポ遅れる印象があり、これが毎回繰り返されるたびに幻滅していってしまうんです。
ところがこのシルフィ、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間、CVTが一気に変速しエンジン回転数がすぐさは跳ね上がり加速していこうとするのです。これぞスポーツセダンの真髄、アクセルペダルのままに操れる!
アクセル全開で約40km/hから約100km/h加速するまで約8.5秒と、軽自動車やベーシックカーとは一線を画す短さ。
回転数はすっと5200回転、その後5500回転まで上がって加速を完了。
そしてハンドリングも明らかにこれまでの軽自動車、ベーシックカーと比べるとシャープな印象。それもそのはず、屋根が小さく低いことで低重心化に寄与していますし、ワイドトレッド化により3ナンバーなので横の踏ん張りがきき、それがシャープさに繋がっているようです。
絶対的なパワーもないし、タイヤもエコピアだし、全体的に見ればスポーツスポーツしてないのですが、とにかくバランスが良いのです。十分なパワー、十分なハンドリング、十分はブレーキ。そして静か。
サスペンションも硬いわけではないけれども、首都高速の継ぎ目を模した段差では、タタン、タタンとヨーロッパ車のような乗り味で上質感があります。
本当に目からウロコのこのシルフィ、その理由はどこにあるんでしょう。
ルノー日産アライアンスの効果
その理由の一つがリアに貼ってあったAUTECのステッカー。オーテックはNISMOを統合したメーカーチューンのブランドで、スポーツがNISMOとするとAUTECはそれ以外の上質感溢れる乗り味を実現するブランドといっていいでしょう。その意味では実に狙い通りになっていると思います。
そしてもう一つ、わかったことがこれがルノーと日産でプラットフォーム共通化戦略によって、ルノー・メガーヌ2、クリオ3と共通のBプラットフォームを採用していること。
ルノー・メガーヌ2はニュルブルクリンクFF最速を最初に謳い、現在のFFニュル最速バトルの嚆矢となったモデルR26.Rを持ちます。またクリオ3はR.S.を私が現在乗っていますが、これがまたいい乗り味で驚いているのですが、そのモデルとプラットフォームが共有されていると言うことで素性がいいのもうなづけると言うものです。
特筆したいのはエンジンマウント方式、ペンデュラム式を採用しており、エンジンの上下左右の振動は逃しながら、前後方向の動きを抑制しつつ、トラクション方向につなげていること。これによりアクセルレスポンスが高まるのです。
地味すぎる名車になっている?
シルフィがまずマイナーな上、スペック上も取り立てて大きなトピックがないSツーリングはWEB上での存在感も薄いのは事実。
しかし国外を見るとエンジンをパワーアップした1.6LターボのSSSがラインナップされ、さらにはNISMOバージョン、SSS-Rのコンセプトが出るなど結構注目度が高いモデルです。と言うのもグローバルでは日産の車種の中でエクストレイルに次いで2番目に売れているモデルとのこと。単純にセダン不人気な日本で存在感が薄かっただけでした。世界的には大注目のシルフィ、アメリカ名はセントラ(元々のサニー)です。
【動画】40km/h-100km/h加速比較
【動画】NVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)比較
日産の、オーテックの実力におののきながら、次はついに4番バッターの登場。
(つづく)